評     価  

 
       
File No. 1371  
       
製作年 / 公開日   2010年 / 2011年02月26日  
       
製  作  国   韓  国  
       
監      督   キム・ジウン  
       
上 映 時 間   144分  
       
公開時コピー   欲望の果てに、
あなたは何を見るのか
 

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   イ・ビョンホン [as スヒョン]
チェ・ミンシク [as ギョンチョル]
オ・サナ [as ジュヨン]
チョン・グクァン [as チャン]
チョン・ホジン [as オ課長]
キム・ユンソ [as セヨン]
チェ・ムソン [as テジュ]
キム・インソ [as セジョン]
 
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あ ら す じ    ある雪の夜。車が立ち往生してしまったために呼んだレッカー車を待つ間、婚約者である国家情報院捜査官のスヒョンと携帯で話していたジュヨンに、車外から声をかけてきた男がいた。男はジュヨンに手を貸すとしつこく持ちかけてきたが、ジュヨンは彼の申し出を断った。すると次の瞬間、男は手にした鈍器で車のガラスを割って押し入ると、その鈍器でジュヨンの頭を殴った上に、意識を失った彼女を自分の車でどこへともなく連れ去ってしまった。
 それから間もなく、ジュヨンは無残なバラバラ死体となって発見される。現場に駆けつけたスヒョンは最愛の女性の変わり果てた姿に愕然とすると同時に、彼女を助けてやれなかった自分の不甲斐なさを呪い、事件の犯人を自分の手で追い詰め、ジュヨンが受けた苦しみを倍にして返してやろうと心に誓うのだった。
 スヒョンは重犯罪課の元班長だったジュヨンの父・チャンに頼んで事件の捜査資料を入手し、警察の先手を打って容疑者をひとりひとり当たっていくうち、ギョンチョルという学習塾の送迎車の運転手をしている中年男にたどり着く。そして、ギョンチョルがジュヨンの遺体を解体したと思われる作業場で婚約指輪を発見したスヒョンは、徹底的にギョンチョルを追い込むために知り合いの刑事から捜査に用いる追跡用のGPSカプセルを借り受ける。
 すぐにギョンチョルを見つけたスヒョンは彼を叩きのめした後、その場でとどめを刺さずにGBSカプセルを飲み込ませて解放した。そして、それ以来ギョンチョルが再び残忍な殺人を企てようとするたびにGPSで探し当てて怒りの制裁を加えることを繰り返した。ところが、ギョンチョルはスヒョンに怯えるどころか、逆にスヒョンにさらなる報復をしようと執念を燃やす。そして、ギョンチョルの魔手はスヒョンの唯一の弱みであるチャンとジュヨンの妹・セヨンに伸びようとしていた・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    韓国映画のこの手の作品は一昨年の『チェイサー』もそうだったが、救いもカタルシス何もあったもんじゃなく、観終えた後に残る陰惨とした後味の悪さは他に類を見ないんじゃないかな。確かにイ・ビョンホン扮するスヒョンの恋人・ジュヨンをあまりに残酷な方法で殺害した犯人・ギョンチョルは悪魔と呼ぶにふさわしい。彼には良心の呵責というものが欠如していて、スヒョンが復讐を宣言したことに対して怯えるどころかむしろそれを喜ぶような始末。そのうえ、ジュヨンの父親や妹までをも手に掛けるとはまさに外道の逆恨みで、ただ殺すだけでは飽き足らないと思うスヒョンの気持ちがよくわかる。
 そんな悪魔のような男・ギョンチョルを演じたチェ・ミンシクの鬼気迫る演技が、この作品の最大の見所なのだが、あまりに悪魔的な男に徹するあまり、彼を観ていると非常に不愉快な気持ちが際限なく湧いてきてしまうのは困りものだ。確かにイ・ビョンホン扮するスヒョンのギョンチョルに対する報復は痛い。だが、この作品に限って言えば、彼のギョンチョルに対する残忍なまでの制裁すら、ギョンチョルという男に対しては生ぬるく思えてしまう。ラスト近くになって、やっとギョンチョルがスヒョンに対して泣きを入れて許しを乞うシーンが、唯一ギョンチョルも鬼畜とはいえ痛みを感じる人間なのだとわかるシーンで、この作品での数少ない溜飲の下がるシーンだった。