評 価
File No.
1383
製作年 / 公開日
2010年 / 2011年03月26日
製 作 国
イギリス / アメリカ
監 督
マーク・ロマネク
上 映 時 間
105分
公開時コピー
この命は、誰かのために。
この心は、わたしのために。
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
最初に観たメディア
Theater
Television
Video
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
キ ャ ス ト
キャリー・マリガン
[as キャシー]
アンドリュー・ガーフィールド
[as トミー]
キーラ・ナイトレイ
[as ルース]
シャーロット・ランプリング
[as エミリ先生]
イゾベル・ミークル=スモール
[as キャシー(子供時代)]
チャーリー・ロウ
[as トミー(子供時代)]
エラ・パーネル
[as ルース(子供時代)]
サリー・ホーキンス
[as ルーシー先生]
ケイト・バウズ・レナ
[as ジェラルディン先生]
ハンナ・シャープ
[as アマンダ]
アンドレア・ライズブロー
[as クリーシー]
ドーナル・グリーソン
[as ロドニー]
ナタリー・リシャール
[as マダム]
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
あ ら す じ
キャシー
、
ルース
、そして
トミー
の3人の男女は、生まれた時からずっと一緒に、豊かな自然に囲まれた寄宿学校“ヘールシャム”で暮らしてきた。外界から完全に隔離されたこの施設で暮らす子供たちは皆、ある特殊な“目的”のために生まれ育てられてきた。その“目的”とは、自分たちの“オリジナル”である人に対して、自らの体を提供することであって、生徒たちは皆その“目的”を知りながらも、限りある生を生きていたのだった。
やがて18歳になった3人は、生まれて初めて“ヘールシャム”を離れ、コテージと呼ばれる施設で生活することとなった。やがてルースとトミーは恋仲になり、キャシーはひとり孤立してしまう。折しも、本当に愛し合っている男女は、数年の期間は提供を猶予されるという噂が飛び込んでくる。そんな中、介護士として生きることを志したキャシーは、生まれた時から一緒だったルースやトミーと離れてひとりで暮らすこととなった。
数年後。キャシーはルースと再会する。すでに二度の“提供”を経験して弱り切っていたルースはキャシーに、別の施設にいるトミーに会いに行こうと提案した。久しぶりに3人が揃った時ルースはキャシーに、本当は自分ではなくキャシーがトミーと付き合うべきだったのに、自分が孤立するのが怖くてトミーと恋人になったという事実を告白する。そして、今キャシーとトミーが愛し合っていることを証明し、“提供”の猶予を認めてもらうよう申請してはどうかと持ちかけるのだった・・・・・。
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
たぴおか的コメント
現実味が全く感じられず、まるでお伽噺のように不思議な世界での出来事を観ているような感覚にとらわれた(実際、不思議な世界ではあるんだけどね)。物語の設定はマイケル・ベイ監督のユアン・マクレガー&スカーレット・ヨハンソン主演『アイランド』と全く同じで、いずれも見知らぬオリジナルに臓器を提供するためだけに生まれ育った主人公が描かれている。しかし、その後の両作品の展開は正反対で、自分たちが臓器提供のために存在することを知った2人が宿命に逆らって生き延びようとする『アイランド』に対し、この『わたしを離さないで』の場合は、自分たちがやがてオリジナルに臓器を提供して死ぬことを知りながらも、その運命に微塵も逆らうことなく受け入れている点だ。
人間だけに留まらずあらゆる生き物の最も根本的な本能は、言うまでもなく生き延びるて子孫を残すことにある。なのになぜ、この作品に登場する者誰もが自らの運命にただ唯々諾々と従うだけで、逆らおうとはしないのか?生きることを初めから放棄しているなんて、もはや人間とは呼べない単なる操り人形、いや、生きながらにしてすでに死んでいるようなものだ。そんな彼らを見せられても、心が動かされることがないどころか鬱憤が溜まって仕方ない。提供までの猶予?そんなことを考えるなら、なぜさらに一歩進んで提供という事態を回避しようとしないのか。「生きる」という意思を去勢されてしまっているのだろうか。そんな疑問というか、信じられないような登場人物のために、この作品に対して現実感が欠如しているように思えたのだ。
キャリー・マリガンは相変わらず年齢不詳なルックスで、顔立ちは子供のようだがアップで目尻や口元を観てみるとは年齢相応であることがわかる。そんな彼女のアンバランスなルックスがどうしても好きになれないのだが、演技力の方は共演のキーラ・ナイトレイ同様に確かなようだ。そしてそのキーラは、キャリー・マリガンとは逆に年齢以上に大人びて見えて、どうしても2人が同じ年齢だとは思えない。ただ、キャシー役にキャリー・マリガンを、ルース役にキーラ・ナイトレイを配したのは2人の資質を把握した適切なキャスティングではあったと思う。