評     価  

 
       
File No. 1387  
       
製作年 / 公開日   2008年 / 2011年04月02日  
       
製  作  国   ペルー  
       
監      督   クラウディア・リョサ  
       
上 映 時 間   97分  
       
公開時コピー  
南米ペルー近代史の悲劇が生んだ一人の女
ファウスタ。
彼女の歌声と秘密、そして旅立ちを、鮮やかに描きだす。
 

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
キ ャ ス ト   マガリ・ソリエル [as ファウスタ]
スシ・サンチェス [as アイダ]
エフライン・ソリス [as ノエ]
 
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
あ ら す じ    南米・ペルーの貧しい村で、一人の老女が今際の際にに娘に残した歌、それはかつてペルーにテロが横行し暴力がまかり通っていた時代に、老女が受けたあまりに酷い仕打ちを物語る歌だった。残された娘・ファウスタは、母の母乳から母の受けた苦しみを受け継いだと信じていた。そして、叔父一家の家で暮らす彼女は、成長した今でもなお外で一人歩きすることができなかった。
 どうしても母を故郷の村に埋葬してあげたいと思うファウスタだったが、彼女はもちろんのこと、貧しい叔父一家では間もなく一人娘が嫁ぐための結婚費用すらままならない状況で、母を埋葬する費用など捻出できるはずもなかった。そんな中、叔母がファウスタのために仕事を見つけてきた。それは、街の裕福な白人ピアニストの家でのメイドの仕事だった。
 叔父一家の誰もがファウスタを送り迎えできない中、ファウスタは生まれて初めて一人で白人ピアニスト宅へ往復することを決意した。初めて一人で外出して初めての仕事と初めてずくめのファウスタにとって、無愛想だが優しく接してくれる庭師のノエだけが唯一の味方だった。そんなある日、ピアノの発表会間近で曲作りに行き詰まっていた雇い主のピアニストは、ファウスタが口ずさんでいた歌を気に入り、真珠一粒と引き替えに歌を1回歌うという約束を交わすのだが・・・・・。
 
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
たぴおか的コメント    2009年のベルリン国際映画祭で、最高賞である金熊賞に輝いた作品。例によって何の予備知識もなしに劇場へ臨んだのだが、それが災いして今ひとつ作品の意図がよくわからなかった気がする。この作品を真に理解しようとするならば、どうやら予めペルーの社会情勢等を予習をしておく必要があるかもしれない。
 冒頭から、主人公・ファウスタの母の壮絶なまでの歌に度肝を抜かれる。ここで敢えてその内容を書く気にはなれないが、母が受けた屈辱と苦痛はそのまま娘であるファウスタに引き継がれ、彼女は一人で外を出歩くことさえできないのだ。それだけじゃなく、レイプされないためにとジャガイモを(絶句)・・・・・そして、そのジャガイモが発芽してしまうなんて、絶対に体に悪影響がないわけがない。それを発見した医師が「非常に珍しいケース」だなど叔父に説明していたが、「珍しいケースだ」などと冷静に言っている場合じゃないだろう。
 そんな彼女を彼女の叔父は、母親の母乳で娘へ伝染した“恐乳病”だと信じているのだ。姪の体で発見されたジャガイモにはお構いなしで、医師にひたすら“恐乳病”だと訴える叔父を見ていると、無知であるということがいかに恐ろしいかを痛感する。まぁ、シャーマンの類いが登場しないだけまだ良かったが。
 決して一人で外を出歩けないファウスタが、意を決して白人女性宅に奉公に出るのだが、ここでもまた悲劇が彼女を待ち受けている。思えば、長い間スペインの植民地下にあり、独立後も人口のわずか10%に過ぎない白人によって支配されてきたというペルーの歴史を、この作品で“白人による搾取”という表現方法で訴えようとしているのだと私には思える。
 ただ残念なのは、予備知識なしで作品を観ると、一体何をどう訴えようとしているのかが読み取りにくい・・・・・と言うより、正直何を言いたいのかがわからないのだ。そのうえ、あまりにも淡々と展開するために、途中で睡魔に襲われてしまった。主人公のファウスタを演じる女優が、もうちょっと可愛ければ眠気に襲われることもなかったかもしれない、なんて思ったりする(笑)。