評 価
File No.
1388
製作年 / 公開日
2011年 / 2011年04月09日
製 作 国
アメリカ
監 督
ミカエル・ハフストローム
上 映 時 間
114分
公開時コピー
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最初に観たメディア
Theater
Television
Video
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キ ャ ス ト
アンソニー・ホプキンス
[as ルーカス神父]
コリン・オドナヒュー
[as マイケル・コヴァック]
アリシー・ブラガ
[as アンジェリーナ]
キアラン・ハインズ
[as ザビエル神父]
トビー・ジョーンズ
[as マシュー神父]
ルトガー・ハウアー
[as イシュトヴァン・コヴァック]
マルタ・ガスティーニ
[as ロザリア]
マリア・グラツィア・クチノッタ
[as ロザリアの叔母・アンドリア]
アリアンナ・ヴェロネーシ
[as フランチェスカ]
クリス・マークエット
[as エディ]
トーレイ・デヴィート
[as ニナ]
ベン・チーザム
[as 少年時代のマイケル]
マリヤ・カラン
[as サンドラ]
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あ ら す じ
葬儀屋を営む父・
イシュトヴァン・コヴァック
と暮らす青年・
マイケル・コヴァック
は、父の後を継ぐことを嫌い、神に仕える者を育成する神学校へと進んだ。ところが、神の存在を信じ切れないマイケルは、司祭となることを辞退してしまう。そんなマイケルの素質を見抜き惜しんだ恩師の
マシュー神父
はマイケルに、バチカンで行われているエクソシストの養成講座を受講するよう勧められるのだった。
マシュー神父に勧められるままにバチカンを訪れたマイケルだったが、講義においても常に懐疑的な態度に終始してしまう。そんなある日、マイケルは教官である
ザビエル神父
から、異端だが一流のエクソシストである
ルーカス神父
を紹介され、彼の元を訪ねるよう言い渡される。渋々ルーカス神父を訪ねたマイケルは、ルーカス神父の悪魔払いの儀式に立ち会うこととなった。神父が悪魔払いを行う相手は、16歳で父親の子供を身籠もった少女
ロザリア
だった。儀式が始まるとロザリアの態度は豹変し、マイケルが袋に隠した物が1ドル札であることを言い当てたり、知るはずのない英語を喋ったりと信じがたい光景を目の当たりにするのだった。
それでもなおエクソシストを信じられないマイケルは、彼と同じくエクソシストの講義を聴講していた女性
アンジェリーナ
と知り合う。彼女はかつて悪魔に憑かれたと思われる弟を亡くしたというトラウマを抱えており、そのためにエクソシストの真実を知るべく講義を受けていた。そして、何度も面会を断られたルーカス神父についてマイケルから情報を得ようとしていたのだった。ルーカス神父、いや、エクソシスト自体を疑っていたマイケルは、自分がルーカス神父の元で体験した出来事を彼女に話し、ついにはルーカス神父の元へ彼女を帯同して訪れた。ところがそこで、アンジェリーナはもちろん、エクソシストに否定的な態度をとっていたマイケルでさえ、悪魔の存在を認めないわけにはいかなくなった。あろうことか、ルーカス神父自身が悪魔に取り憑かれてしまったのだ。頼る当てのザビエル神父は出張でバチカンを離れており、悪魔払いの経験もないマイケルが単身悪魔と対峙することとなってしまう・・・・・。
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たぴおか的コメント
地震の影響で公開が延期(または中止)となった作品のひとつ。観た者に元気をくれるような明るい内容でないことは確かだが、かといって『唐山大地震』や『世界侵略:ロサンゼルス決戦』のように地震や災害、あるいは破壊というシーンが登場するわけでもなく、公開延期というワーナー・ジャパンの決断には疑問を感じなくもない。まぁ、とりあえずは無事に公開されてひと安心というところだ。
この作品は実話に基づくもので、ルーカス神父やコヴァック神父は現在もエクソシストとして活動しているらしく・・・・・えっ!?ということは、エクソシストって実在するのか??これがこの作品を観た私にとって最大の衝撃だった。劇中でマイケルが「お前(悪魔)を信じる、ゆえに神を信じる」と言っていたように、神を信じると同時にその対極的存在である悪魔をも信じてこそ、エクソシストという職業が成立しているのだと思う。おそらく、日本でいえば陰陽師のような存在なのだろうな。
元祖・『エクソシスト』(1973年)を観て以来、悪魔払いをテーマにした作品に接するたびに私の中ではある疑問が大きくなっていったのだが、その疑問にこの作品が答えてくれた形となった。その疑問とは、ミイラ取りがミイラにならないのか?つまり、エクソシストは悪魔に憑依されないのか?ということだ。なぜなら、最も悪魔に多く接するエクソシストが悪魔に取り憑かれる危険性は、一般人とは確率的には比較にならないほど高いはずだから。そして、この作品では一流のエクソシストであるルーカス神父が悪魔に取り憑かれるわけだ。
さすが名優アンソニー・ホプキンス、悪魔に憑かれたルーカス神父の演技には鬼気迫るものがある。そして、前半は控えめに感じたマイケル役のコリン・オドナヒューの演技も、クライマックスでルーカスから悪魔を追い払うシーンではなかなかの熱演を見せてくれている。
勘違いされがちだとは思うが、この作品は『エクソシスト』のようなホラー作品ではない。むしろ、何物をも信じることができないために自分をも信じられなかったマイケルが、神を信じることができて初めて悪魔に打ち勝つことができたように、信じるものがない人間の弱さと、何かを信じることによって人は強くなれる、そんなヒューマンドラマが根底に流れているように感じた。