評     価  

 
       
File No. 1389  
       
製作年 / 公開日   2010年 / 2011年03月26日  
       
製  作  国   韓  国  
       
監      督   チャン・チョルス  
       
上 映 時 間   115分  
       
公開時コピー   もう、
救いなんてない
 

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   ソ・ヨンヒ [as キム・ボンナム]
チ・ソンウォン [as ヘウォン]
パク・チョンハク
 
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あ ら す じ    ソウルの銀行に勤務する30代の独身女性ヘウォンは、仕事で後輩の女子行員とトラブルになった末、上司から強制的に休暇を取るよう命じられてしまう。そこでヘウォンは、幼なじみのボンナムから何通も手紙が来ていたこともあって、子供の頃に暮らした島・無島へ訪れてみることにした。
 わずか9名の住民が暮らす絶海の孤島・無島でヘウォンを出迎えたボンナムは、生まれて一度も島を出たことがなかった。ヘウォンの帰郷を子供のように喜ぶボンナムだったが、その笑顔の裏には島での地獄のような苦しみに耐えてきた日々があった。島の女たちからは奴隷のようにこき使われ、夜は男たちの慰み者にされ、唯一の心の拠り所である一人娘・ヨニの父親が誰であるかもわからなかった。
 ボンナムはヘウォンに、自分とヨニを一緒にソウルに連れ帰って欲しいと懇願する。理由を尋ねたヘウォンに、ボンナムは夫・マンジョンがまだ幼いヨニの体を慰み者にしているからだと言う。面倒なことに関わるのが嫌で見て見ぬふりのヘウォンにとって、それはボンナムの作り話だとしか思えず、彼女の頼みを拒絶してしまう。そこでボンナムは、マンジョンの隙を見てヨニをつれて島を離れようとするが、マンジョンに見つかって連れ戻されてしまい、殴る・蹴るの暴行を受けた挙げ句、マンジョンを制止しようとして突き飛ばされたヨニが頭を打って亡くなってしまうという、最悪の事態に及んでしまった。
 一人娘・ヨニの死が、今まで地獄のような毎日に耐え続けてきたボンナムの怒りはつに限界を超えてしまう。そして、島を血みどろの地獄絵図に変える惨劇の幕が開けられるのだった・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    先日の『悪魔を見た』にせよこの作品にせよ、韓流のバイオレンス描写の徹底ぶりには、「そこまでやるか?」と思わずにはいられないものがある。そして、『悪魔を見た』のイ・ビョンホン扮する主人公がそうだったように、この作品の主人公ボンナムに対しても、同情こそせよその残虐な殺戮に対して微塵も非難する気になれないのだ。それどころか、むしろ彼女が残虐であればあるほどカタルシスさえ感じてしまう始末だ。
 この作品のボンナム役をオファーされた多くの女優が断ったとのことだが、確かに無理もないことかもしれないと思う一方で、過激な台本だと出演を断る、キム・ギドク監督作だと敬遠する、そのキム・ギドク監督作でも主演がオダギリ・ジョーだと主演希望が殺到するなど、韓流女優のミーハーさが残念に思えてしまう。ここで力説したところで何が変わるわけでもないが、彼女たちにとっての女優という仕事とは、自分をPVのように綺麗に撮ってもらえればそれでいいのか、と問いかけてみたくなるのだ。野暮ったいことを言うようだが、職業としての女優なのか、それとも生き様としての女優なのか、見た目は美人だがどうやら前者の職業女優が多いように思えて仕方ない。
 人間の中に相反しながらも併存する聖性と獣性。ボンナムのヨニやヘウォンに対する側面は明らかに前者で、長年にわたり自分を虐げてきた夫やその弟、そして村の老婆たちに対して、抑圧し続けてきた獣性がついに解き放たれる。そんな人間の二面性を描いただけでは飽き足らなかったかのように、積極的に動かない、傍観者に留まることに起因する消極的な「罪」についても考えざるを得なくなるという構成の巧みさは、これが初めて長編作品でメガホンを執った監督の作品とは思えないほどだ。そして、この作品で典型的な“傍観者”の役割を演じているのは言うまでもなく、幼なじみであるボンナムの苦境を見て見ぬふりをし、結果的にボンナムを極限まで追い込んでしまうこととなったヘウォンだ。
 思えば、子供の頃から仲が良かったと思えるボンナムとヘウォンだが、ボンナムのヘウォンに対する打算のない愛情に対して、ヘウォンのボンナムへの思いとは、自分の方がボンナムより勝っているという優越感が常に根底にあったとしか思えない。つまり、ボンナムを自分の引き立て役にしていたというわけだ。そんなヘウォンに対しては、何かにつけてボンナムに暴行を加えた夫のマンジョンと同等の嫌悪感を感じてしまう。いや、表面上はボンナムの友達として振る舞っているくせに、肝心な所で裏切るヨウではマンジョンよりもなおタチが悪いと言えるかもしれない。