評     価  

 
       
File No. 1391  
       
製作年 / 公開日   2010年 / 2011年03月12日  
       
製  作  国   アメリカ  
       
監      督   フローリア・シジスモンディ  
       
上 映 時 間   107分  
       
公開時コピー   “普通の女の子”で
いたくなかった
 
音楽が、
バンドが
すべてだった
 

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   クリステン・スチュワート [as ジョーン・ジェット]
ダコタ・ファニング [as シェリー・カーリー]
マイケル・シャノン [as キム・フォーリー]
ステラ・メイヴ [as サンディ・ウエスト]
スカウト・テイラー=コンプトン [as リタ・フォード]
アリア・ショウカット [as ロビン]
ライリー・キーオ [as マリー・カーリー]
ジョニー・ルイス [as スコッティ]
テイタム・オニール [as シェリーの母]
ブレット・カレン [as シェリーの父]
ハンナ・マークス [as タミー]
ジル・アンドレ [as エヴィ叔母]
レイ・ポーター [as バンドメンバー]
アリー・グラント [as クラブの女性]
ブレンダン・セクストン三世 [as デレク]
シャミー・ディー [as DJ]
アーロン・パーカー・マウサー [as 太った店主]
 
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あ ら す じ    1975年。ロックを志すギタリストのジョーン・ジェットは、ひょんなことで敏腕プロデューサーキム・フォーリーと出会い、彼からドラマーのサンディ・ウエストを紹介される。2人はバンドのメンバー探しをキムに依頼し、当時は男社会であったロック界に10代の女性だけのバンドをデビューさせれば売れると感じたキムは、メンバーを集めにかかった。
 間もなくリード・ギタリストのリタ・フォードが加わるが、キムは「まだ何かが足りない」と感じていた。それは、強烈なインパクトを与えることができるセクシーなボーカルの存在だった。そして、間もなくその答えは見つかった。クラブでキムの目に留まったのは、派手なファッションとメイクの少女シェリー・カーリーだった。こうして、ランナウェイズのメンバーは揃い、翌年にはマーキュリー・レコードとの契約が成立した。
 男社会で差別を受けながらも、彼女たちは着実に力をつけていき、やがてその存在はアメリカにとどまらず世界中に知られることとなる。色物バンドに見られるのではというメンバーの心配をよそに、シェリーのコルセットとガーターベルトという下着姿という過激な衣装が話題を呼び、特に日本では絶大な人気を誇った。しかし、そんな状況の中、シェリーの姉・マリー・カーリーから父親が倒れたとの知らせが入り、シェリーの精神状態は不安定になっていく。さらには、過激なシェリーの衣装にばかり人気が集まったことから、バンドのメンバーの間に軋轢が生じていく・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    当時まだ洋楽になどまったく興味もなかった小学生の私でさえ、ランナウェイズのことはハッキリと覚えている。来日した彼女たちが一大センセーションを巻き起こしたのは事実で、小学校のクラスでも誰もが「チ・チ・チ・チ・チ・チ・チ チェリーボム!」と口ずさんでいたほど。ちなみに、もちろんその頃は“Cherry Bomb”の意味など知る由もなかったが。テレビでは歌番組以外でもゲストとして登場して歌いまくっていた、ボーカルのシェリーのランジェリー姿が、小学生だった私にとってはとても衝撃的だった。当時は自分より年上の女性は皆20代以上に見えた私にとって、彼女たちがまだ10代だったことこの作品で知ってさらに驚いた。
 ボーカルのシェリー・カーリーの自叙伝が原作となっていて、リーダーのジョーン・ジェットが製作総指揮に名を連ねているから、おそらくはほぼ事実通りの内容になっているのだろう。“Cherry Bomb”で一世を風靡したにもかかわらず、そう言えばなぜかその後は打ち上げ花火のように姿を消してしまったランナウェイズ。今にして思えば、一体どうなってしまったのがが不思議で仕方なかった。ほんの短い期間とは言え、あれほど爆発的な人気を博したバンドのことだから、当然内部の不和もあっただろうし、事実作品中でもリタが「自分たちはシェリー・カリーのバックバンドか」という趣旨の発言をしていることからも察しがつく。確かに当時の私もボーカルのシェリー以外には全く目が行っていなかった。
 主役のジョーンを演じたクリステン・スチュワートと、シェリーを演じたダコタ・ファニングは『トワイライト・サーガ』でも共演していて、お互い気心も知れた仲なのか、ピッタリと息の合った演技を見せてくれている。そして、クリステン・スチュワートのジョーンは、当時のランナウェイズをよく知る人によると、驚くほど本人にソックリらしい。ダコタの演じたシェリーも違和感がないのはさすがで、ラストではメイクを落とした素顔のダコタ・・・・・じゃなくてシェリーが見られるが、やっぱり彼女は素顔の方が可愛い。もしかして、過激な衣装とメイクばかりが話題になったものの、本物のシェリーも実は素顔はフツーの少女だったんじゃないかな。普通の少女でいたくなかった彼女が、最後には普通の少女に戻りたいと願った。そこにはきっと周囲の者には想像もできないようなプレッシャーと常に戦う毎日があって、そのためにドラッグに頼らざるを得なかったのかもしれない。