評     価  

 
       
File No. 1395  
       
製作年 / 公開日   2010年 / 2011年04月23日  
       
製  作  国   アメリカ  
       
監      督   デレク・シアンフランス  
       
上 映 時 間   112分  
       
公開時コピー   永遠に変わらない愛なんて、ないの  

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   ライアン・ゴズリング [as ディーン]
ミシェル・ウィリアムズ [as シンディ]
フェイス・ウラディカ [as フランキー]
マイク・ヴォーゲル [as ボビー]
ジョン・ドーマン [as ジェリー]
マーシャル・ジョンソン [as マーシャル]
ジェン・ジョーンズ [as グランマ]
メアリーアン・プランケット [as グレンダ]
ジェームズ・ベナッティ [as ジャミー]
 
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あ ら す じ    夫・ディーンと妻・シンディは娘のフランキーとの3人で平凡な生活を送っていた。シンディは長年の努力の末に資格を取得し、病院で働き生計を担っていた反面、ディーンの仕事は芳しくなく、朝から酒に浸ることも少なくなかった。2人は共に相手に対して不満がないわけではなかったが、今の平和な生活に亀裂を生じさせることを恐れて、決して口にすることはなかった。
 上昇志向が強いシンディは朝から酒を飲みまともな定職に就こうとしないディーンに歯がゆさを募らせ、一方のディーンは、家族3人で幸せに暮らせればそれ以上必要だとは考えず、より多くを求めようとするシンディが理解できずにいた。2人の間の溝は深まる一方で、ディーンはそんな一触即発の夫婦関係を修復しようと焦っていた。そしてある日、ディーンはフランキーを父親に預け、シンディをラブホテルへと誘うのだったが・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    『きみに読む物語』『ラースと、その彼女』のライアン・ゴズリングと、先日の『ブローン・アパート』でその可愛らしさが印象に残っているミシェル・ウィリアムズが共演したラブ・ストーリー。ミシェル・ウィリアムズはこの作品でアカデミー賞とゴールデン・グローブ賞に主演女優賞としてノミネートされている。そのミシェルだが、この作品を観て「あれ?彼女、こんなに太ってたっけ??」という疑問がまず浮かんだ。確かに決してスリムな体型ではなく、どちらかといえばスカーレット・ヨハンソンのように肉感的な彼女だったが、この作品に臨むにあたりさらにウェイトを増やしたらしい。ライアン・ゴズリングもまた、ウェイトを増やして髪を抜いてまで役作りに取り組んだとのこと。先日の『ザ・ファイター』のクリスチャン・ベイルといい、ハリウッドの俳優の役への打ち込み方には頭が下がるものがある。
 “永遠に変わらない愛なんて、ないの”という作品のコピー、これは明らかにシンディの胸中を表しているのだが、果たして本当にそうなのだろうか?出会った頃の2人は若く、お互い相手に夢中だったが、それは“愛”ではなくて“恋”だ。恋は見返りを求め、激しく燃え上がる分、いつか必ず終わりが訪れる。愛は見返りを求めないし、激しくはないがいつもそこにある。激しい恋で結ばれた夫婦も、やがて穏やかな愛情へと変化していくもので、ディーンとシンディは恋から愛への転化がうまくいかなかっただけではないのか。確かに昔のような激しい恋は終わりを告げているが、その代わりとなる深い愛情を築くことができなかった、あるいは、ちゃんと愛情を育んでいながらもそれに気づかなかったのだと思えてならない。
 『ブルーバレンタイン』というタイトルのブルー、これは情熱の象徴である赤と対極的な冷めた色だ。本来であれば『レッドバレンタイン』であるべきところがブルーになってしまった、それがディーンとシンディの夫婦を象徴する色だったのかもしれない。おそらくは観る者によって、解釈は千差万別になるであろうと思われる、久しぶりに含みの多い奥が深い作品だった。