評     価  

 
       
File No. 1397  
       
製作年 / 公開日   2011年 / 2011年04月23日  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   大森 立嗣  
       
上 映 時 間   123分  
       
公開時コピー   カムバック、しあわせ  

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   瑛太 [as 多田啓介]
松田 龍平 [as 行天春彦]
片岡 礼子 [as ルル]
鈴木 杏 [as ハイシー]
本上 まなみ [as 三峯凪子]
柄本 佑 [as 山下]
横山 幸汰 [as 由良]
梅沢 昌代 [as 山下の母]
大森 南朋 [as 囲炉裏屋亭主 山田]
松尾 スズキ [as シンちゃん]
麿 赤兒 [as 岡]
高良 健吾 [as 星]
岸部 一徳 [as 早坂]
 
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あ ら す じ    東京から神奈川へ突き出るようににある街、まほろの駅前で便利屋を営むバツイチ男・多田啓介は、新年早々常連客のから、バスの運行監視の仕事を依頼される。仕事を終え、バスに間引き運転の事実はないことを岡に報告した多田は、年末に女性客から預かり一緒に連れてきたチワワの姿が見えないことに気づく。チワワを探す多田は、終バスも終わったバス停で男に抱かれているチワワを見つける。なれなれしく多田に話しかけてくるその男は、中学時代に同級生だった行天春彦だった。厚かましく一晩泊めてくれと頼む行天を断り切れず、多田は行天とチワワを乗せて戻った。翌日、チワワを返しに行った多田と行天は、依頼人が夜逃げしたことを知る。幸い転居先を突き止めるが、飼い主である依頼人の娘から、優しい飼い主を探すよう頼まれてしまう2人。こうして、一人と一匹が多田の同居人となった。
 チワワの飼い主を募集する張り紙を見て、自称コロンビア人の娼婦ルルが便利軒を訪れるが、多田はこの申し出を断ってしまう。代わりに立て付けの修理を頼まれてルルのアパートを訪れた2人は、ルルの恋人で麻薬の売人のシンちゃんを撃退し、シンチャンと手を切ることを条件にチワワを譲ると行天は勝手に約束してしまう。こうしてチワワは、シンチャンと別れたルルとそのルームメイトのハイシーに引き取られることとなった。
 小学生・由良の塾への送迎を依頼された2人は、由良が麻薬の運搬のバイトをさせられていることに気づく。多田は麻薬の元締めであると取引をして由良を解放することに成功するのだが、今度は行天が厄介な事態に巻き込まれる。ハイシーにつきまとうストーカーの山下に逆恨みされ、悪いことに山下は星の組織の一員で、星は以前からもてあましていた山下を消すと共に、警察沙汰になり余計なことを喋られないよう行天も一緒に始末すると、多田の事務所に訪れて宣告したのだ。行天は警察より先に行天を見つけ出すと星に言い放つと、行天を探しに事務所を飛び出すのだった・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    どうでもいいことから書かせてもらうと、以前から何と読むのか気になっていた“麿赤兒”。今回初めて調べてみたところ“まろ・あかじ”と読むらしい(いくら芸名だといっても、メチャクチャな名前だ)。そして驚いたことに、この作品の監督・大森立嗣(おおもり・たつし)と大森南朋(おおもり・なお)が実の兄弟であり、その父親が麿赤兒だということも判明した。一家総出の作品だが、それにしても揃いも揃って名前が読みにくいことといったら・・・・・大森南朋なんて、読み方がわかっている今でも私の中では“おおもり・なんとも”だし(笑)。
 便利屋を営む瑛太扮する多田の元にチワワのように転がり込んだ行天。真面目な多田は真面目であるがために、融通が利かなくことがしばしあり、それとは対照的に普段はのらりくらりしているようでも肝心な時に的を射た判断ができる行天のデコボココンビが、微妙に歯車がかみ合っているようでずれている、そんな不協和音が意外と心地いい。「子供はいるが会ったことがない」などと言う行天を、最初はいい加減でテキトーな奴だと思ったが、後にその裏に隠された真実が明らかになり、実は人に対して誰よりも優しくなれる男だとわかる。それはハイシーをストーカーの山下から身を挺して救ったことからもうかがえる。
 そのせいか、この作品では多田よりも行天により共感してしまい、そんな行天に多田は終始圧倒されっ放しのように感じた。おまけに、星の手下に軽トラのフロントガラスを粉々にされた多田が「なんじゃぁ、こりゃぁ〜!?」と叫ぶのに対して、行天がボソッと一言「似てねぇ」なんてギャグもあったりして、おいしい所を総取りしているんじゃないかとさえ思う。ちなみにこの台詞、知る人ぞ知る、『太陽にほえろ』で松田優作扮するジーパン刑事が、腹を撃たれて出てくる血を見て叫んだ、あまりに有名な台詞だ。
 意外なところで意外なキャストに遭遇するのも面白い。もともと目つきがあまりよろしくないから、こういう役柄が似合っている星を演じる高良健吾。異常なストーカーの山下役がピッタリな柄本佑。松尾スズキ扮するケチな麻薬売人のシンちゃん。そして、自称コロンビア人(どう見ても“自称”で、絶対にコロンビア人には見えない)のハイシーを演じた鈴木杏チャンといった個性的な面々が個性的なキャラを演じている。