評     価  

 
       
File No. 1402  
       
製作年 / 公開日   2010年 / 2011年04月29日  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   川崎 博嗣  
       
上 映 時 間   98分  
       
公開時コピー   守るべきは 鬼か、人か。  

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最初に観たメディア  
Theater Television Video
 
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キ ャ ス ト
(声の出演)
  小野 賢章 [as 天童純]
石原 さとみ [as 水葉]
近藤 隆
森久保 祥太郎
伊藤 健太郎
加瀬 康之
小森 創介
咲野 俊介
東條 加那子
相ヶ瀬 龍史
野島 昭生
塚田 正昭
中村 獅童 [as 源雲]
 
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あ ら す じ    今を遡ること1,200年余り、平安の都では貴族たちと“鬼”との間に壮絶な戦いが繰り返されていた。次第に力を増していく“鬼”そんな中、強力な呪術を使う僧侶源雲は、鬼退治の切り札として八岐大蛇を操ることのできる“救いの御子”を味方につけ、鬼の一掃を図ろうと考えた。
 京都に住む15歳の中学生、天童純は、7年前に父親を事故で亡くして母親と2人で暮らしていた。ある日、学校帰りの純は、空から突如現れた謎の魔物に追われ、とある古刹に逃げ込んだ。すると、その寺の住職・源雲は傷の手当てをするからと純を中に招き入れ、そのまま純は時間を遡り平安時代へと連れて行かれるのだった。
 貴族たちと“鬼”との戦いに否応なく巻き込まれていく純だったが、彼の前に傷を負った“鬼”の一族である少女・水葉が現れる。水葉を一族の元へと送り届けた純は、そこで“鬼”とは自然と共存しながら暮らす人間たちのことであり、源雲の言うような邪悪な存在ではないこと、すべてを我が物にしようと企む源雲こそが真に立ち向かうべき相手だと告げられる。
 どちらの言うことが正しいのか、そして、自分はおろちを操り何を守るべきなのか?戸惑い苦しむ純だったが、やがて自分が何をすべきかを決断せざるを得ない状況が訪れるのだった・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    どこかで観たような観ないような、そんな作画がずっと気になっていて調べてみたら、川崎博嗣監督が『劇場版NARUTO』の監督であることがわかり納得。なるほど、そう思ってみると確かに主人公の純はNARUTO顔だった。
 平凡な中学生である主人公が平安時代にタイムスリップし、“鬼”を相手に戦う、そんな単純な内容の伝奇ファンタジーを予想していたのだが、観てみるとちょっと予想とは違う内容だった。“鬼”というから、『陰陽師』に登場したような魑魅魍魎の類いだと思っていたのだが、実は“鬼”ではなく“隠”で、貴族たちが歴史から隠蔽したい人々のことを意味していた。この作品は、有史以来繰り返されている人と人との争いの物語だったのだ。そうなるとどちらが正しくどちらが間違っているかという善悪の概念が絡んできて、素直に楽しむというわけにはいかなくなってしまった。
 とは言うものの、冒頭で都の兵に向かって襲ってくる“鬼”は明らかに異形の物で、とても同じ人間とは思えないし、ましてや都を襲った蜘蛛の化け物が人間であるはずがない。おそらくは源雲が強力じゃ呪術を使うのと同様に、これと対立する“鬼”たちもまた呪術を使い、生み出しされた産物なのだろうと解釈するしかないんだろうな。そこへ源雲によって現在から平安の時代に純が連れてこられるのだが、戸惑うのも無理はない、と言うより、戸惑わない方がおかしい。
 古来から人に災いをもたらす「悪」の象徴とされてきた“鬼”だが、“鬼”とは本来は病魔や厄災などの象徴であって、決して人ではない。ましてや、権力階級によって虐げられた弱者が鬼であるはずがない。むしろ、弱者を虐げてきた権力者たちこそ“鬼”と呼ぶべきだろう。ただ、いきなり過去の世界へと連れてこられた純にとっては、あまりに判断の材料が少なすぎるのだ。それが持ち前の自信のなさと相まって、観ている側としてはかなりもどかしく感じてしまう。
 復活した八岐大蛇(やまたのおろち)には頭も尾もひとつしかなく、どう見ても竜にしか見えないのにはクレームを付けたかったが、実はあんな仕掛けが用意されていたとは思わなかった。クライマックスでの戦闘シーンは、ちょっと呆気なかったとは思うが、ちょっと幻魔大戦を思わせるような迫力が味わえた。
 どうでもいいけど、水葉の声を担当していたのが石原さとみだったとは・・・・・だったら、もっと水葉を可愛く描いてもらいたかったものだ・・・・・なんてね(笑)。