評     価  

 
       
File No. 1407  
       
製作年 / 公開日   2010年 / 2011年05月14日  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   本田 隆一  
       
上 映 時 間   121分  
       
公開時コピー   地獄に落ちて、
シアワセになろう。
 

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最初に観たメディア  
Theater Television Video
 
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キ ャ ス ト   竹野内 豊 [as 大木信義]
水川 あさみ [as 大木咲]
樹木 希林 [as 占い師]
片桐 はいり [as 但馬]
荒川 良々 [as いいじま]
橋本 愛 [as ヨシコ]
でんでん [as 赤い人]
山里 亮太 [as 浦澤ヒデ]
柄本 明 [as 濡れた男]
 
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あ ら す じ    大木信義の夫婦は、長い同棲生活からなし崩し的に結婚してしまったため、新婚にもかかわらず既に倦怠期を迎えていた。新居に引っ越してみたものの、その日も炊飯ジャーが見当たらないという些細な出来事からいつもの痴話喧嘩を始めてしまう2人だった。仕方なしに近所のスーパーへ買い物に出かけた咲は、スーパーのエスカレーターで咲たちのものらしき炊飯ジャーを抱えた“濡れた男”とすれ違う。あわてて男を追って屋上にたどり着いた咲だったが、男の姿は見当たらず、最上階で怪しげな占い師から地獄ツアーの誘いを受けて帰宅するのだった。
 その翌日、信義と咲は半信半疑ながらも好奇心を抑えきれずに占い師の元へと訪れる。そして、占い師とガイド役の但馬に勧められるがままに、2人は一泊二日の地獄ツアーに参加するハメになってしまう。そして、旅支度を調えてスーパーの屋上にやってきた2人は、地獄への入り口だという濁った水がはられたバスタブに吸い込まれ、地獄へと落ちていくのだった。
 地獄に到着した信義と咲は、占い師から「絶対に振り返ってはいけない」と注意された一本道で、どうしても後ろが気になって振り向いてしまったために、得体の知れない“赤い人”たちに襲われそうになる。そんな2人を助けてくれたのは“青い人”のヨシコだった。そして、ヨシコの車に乗せられて無事宿泊先であるホテル「いいじま屋」にたどり着いた2人は、やはり“青い人”である支配人らしき男いいじまに出迎えられ、奇妙なホテルでビーフシチューの温泉や地獄甘エビ食べ放題を堪能(?)するのだが・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    珍しく竹野内豊がコメディに主演する作品だが、元々彼にはコメディが似合っていると『ロング・バケーション』を観た時から思ってはいた。その竹ノ内が演じる大木信義と、水川あさみ扮する妻・咲との、新婚なのにナゼか倦怠期を迎えたような夫婦が、こういう怪しげな役柄を演じさせると活き活きとして見える樹木希林と片桐はいりというコンビニ勧められ、地獄旅行をするという奇想天外な設定に興味をそそられる。
 2人が到着した場所、つまり地獄だけど、いつも想像している血の池や灼熱など、罪を犯した人々が責め苦に遭うような場所とはちょっとどころか、大きく違う。きっと、地獄に落ちた人々が苦しんでいるような残酷な場所は、ツアーの行き先には組み込まれていないのだろうな、と好意的に解釈してみた。2人が訪れた地獄では、人々が普通に暮らしていて、ホテルや温泉、果てはナイトマーケットまで存在するという、一大娯楽施設のような場所なのだ。
 そこで暮らす人々が、“青い人”と“赤い人”の2種類に分かれているというのは珍説だ。そして、2人が地獄で最初に遭遇するのが、顔と体が真っ赤なでんでんで、以前に観た『冷たい熱帯魚』の再現じゃないか、なんて錯覚を起こしてしまいそう(笑)。そして、サイコーなのがホテルの支配人らしき“青い人”のいいじまを演じた荒川良々だ。特に“地獄甘エビ”(その正体が一体何物なのか、真相は未だに不明)と格闘するシーンは、あまりのおバカさ加減に笑わずにはいられない。
 徹頭徹尾おバカなコメディかと思うとそうではなく、2人を“赤い人”から助けてくれた、橋本愛扮するヨシコとその弟たちとの大木夫妻との触れ合いが微笑ましくていい。ホテルに帰る車の中で、ヨシコと咲が涙を流すのには、ちょっとばかり感動させられる。きっと、信義と咲に子供ができたら、最初が女の子で2人目と3人目は男の子なんだろうな、なんて思ったりした。地獄を去って行く信義と咲の繋がれた手が、これまでとは違う2人であることを象徴していた。