評     価  

 
       
File No. 1419  
       
製作年 / 公開日   2011年 / 2011年06月04日  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   田中 誠  
       
上 映 時 間   125分  
       
公開時コピー   私たちの青春は、
一冊の本から始まった。
 

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   前田 敦子 [as 川島みなみ]
瀬戸 康史 [as 浅野慶一郎]
峯岸 みなみ [as 北条文乃]
池松 壮亮 [as 柏木次郎]
川口 春奈 [as 宮田夕紀]
西田 尚美 [as 宮田靖代]
青木 さやか [as 五十嵐(書店の客)]
石塚 英彦 [as 保谷(書店主)]
大泉 洋 [as 加地誠]
 
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あ ら す じ    予選で1勝もできない、万年初戦敗退の弱小高校野球チーム、都立程久保高校野球部に、病気で入院している宮田夕紀の代わりのマネージャーとして入部した、彼女の幼なじみで親友でもある川島みなみ。みなみは小さい頃から将来はプロ野球選手になりたいと思うほど野球が大好きで、夕紀もそんなみなみに憧れて野球部のマネージャーをしていたのだ。
 そんなみなみにとって、しまりのない程久保の野球部は歯がゆくて仕方なく、夕紀から「あの野球部はもっと強くなれる」と聞いていたこともあって、勢いで「この野球部を甲子園に連れて行く」と豪語してしまった。ところが、その言葉に対してキャッチャーの柏木次郎が、まずはマネージャーの仕事ができてからだと冷たく切り返してきた。そこでみなみは、マネージャーの仕事とは何かを学ぼうと書店へと向かうのだった。
 書店であれこれと書籍を物色するみなみに、店主の保谷と偶然居合わせた客の五十嵐が揃ってみなみに勧めた本は、経営学の父ピーター・F・ドラッカーの名著「マネジメント」だった。早速「マネジメント」を買って帰ったみなみだったが、本を開いてみてその勘違いな内容に驚く。野球部のマネージャーとはほど遠い、会社経営について書かれた本だったのだ。けれども、「マネジメント」に書かれていることが野球部にも応用できるのではと考えたみなみは、ドラッカーの教えを野球部に置き換えて実践してみるのだった。
 みなみのマネジメントは消極的だった監督・加地誠のやる気にも火をつけ、加地は独自の型破りな理論で古いセオリーを打ち破っていく。みなみのやり方が浸透していった部員たちは急激に力を付け、加地の主張するノーバント、ノーボールを掲げた野球部は予選を次々と勝ち上がっていく・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    成海璃子と共演した『あしたの私のつくり方』以来の前田敦子の主演作。彼女は文乃を演じた峯岸みなみと共に、AKB48の第1期生に選ばれた24名のうち、現在も在籍している数少ないメンバー(現在6名のみ在籍)とのことらしい。作品の総合プロデュースがあの秋元康だから、AKBを全面に押し出すような作品になるのは避けられず、主題歌もAKB48の「Everyday,カチューシャ」が使われている。
 ピーター・F・ドラッカーの大著『マネジメント』(ちなみに、前田敦子扮するみなみが読んでいたのは『マネジメント』のエッセンシャル版)を野球部に応用しようという設定がユニークだ。私は『マネジメント』を読んだことはないが、この作品を観ただけでも、単にビジネスにとどまらず、広く一般的にも通用するような一種のバイブルとも言える著書のようだ。
 なぜAKBの中でもトップクラスの人気を誇るのか、未だに理解できない前田敦子だが、演技の方は『あしたの私のつくり方』同様安心して観ていられる。大泉洋の監督も、最初は違和感を感じたが、次第に監督業に熱が入ってきた辺りから、彼らしさがにじみ出してくる。そして、最も野球部員らしかった池松壮亮。彼の存在はこの作品では重鎮とも言うべきで、チームの要であるキャッチャー役が板に付いていた。
 そんな中で大きな不満があるキャスティングが、野球部のエースに瀬戸康史を持ってきたことだ。旬の俳優かもしれないが、なぜ『ランウェイ★ビート』の瀬戸康史なのだ?あのニヤケ顔がどうしても好きになれないし、ナヨっぽいし、溝呂木美糸じゃないんだからあの髪型はあり得ない。私だったらば、たとえあまりに当たり前過ぎて面白味に欠けると言われようが、絶対に林遣都君をキャスティングしていたのに。『モンスター』のシャーリーズ・セロンや、『ザ・ファイター』のクリスチャン・ベイルほどに役作りに徹底しろとは言わないが、いくら昔とは違って高校球児が坊主頭ばかりじゃないといっても、せめて役作りのためにスポーツ刈りにするくらいの意気込みを見せられなかったものだろうか。