評 価
File No.
1427
製作年 / 公開日
2010年 / 2011年06月18日
製 作 国
アメリカ / イギリス
監 督
ダニー・ボイル
上 映 時 間
94分
公開時コピー
あきらめるな、
未来を笑え。
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最初に観たメディア
Theater
Television
Video
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キ ャ ス ト
ジェームズ・フランコ
[as アーロン・ラルストン]
ケイト・マーラ
[as クリスティ]
アンバー・タンブリン
[as ミーガン]
ショーン・ボット
[as アーロンの友人]
コレマン・スティンガー
[as 5歳のアーロン]
トリート・ウィリアムズ
[as アーロンの父]
ジョン・ローレンス
[as ブライアン]
ケイト・バートン
[as アーロンの母]
ベイリー・ミシェル・ジョンソン
[as 10歳のソニア]
レベッカ・C・オルソン
[as モニーク・メイジャー]
パーカー・ハドレー
[as 15歳のアーロン]
クレマンス・ポエジー
[as ラナ]
リジー・キャプラン
[as ソニア・ラルストン]
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あ ら す じ
金曜日の夜、
アーロン・ラルストン
はいつものようにロッククライミングを楽しむため、誰にも行き先を告げることなくひとりブルー・ジョン・キャニオンへ向かい出発した。近くのキャンプ場で車中泊したアーロンは、翌朝自転車で出発し、途中で道に迷っていた
クリスティ
と
ミーガン
の案内役を買って出て、翌日に行われる彼女たちのパーティに行く約束を交わして2人と別れた。
そこからはいつものように岩の間を進むアーロンだったが、運命の悪戯が彼を襲う。岩の隙間に落下した岩に右腕を挟まれたアーロンは、身動きが取れなくなってしまったのだ。助けを求めてクリスティとミーガンの名を出せる限りの大声で叫んでみても、彼の叫びは誰にも届かない。持ち合わせた万能ナイフで岩を削ろうと試みるが、岩を削るほどますます岩は彼の腕に強くのしかかってくる。ロープを使って岩を持ち上げようとしても、岩はビクともしない。
やがてわずかな食料は尽き、水もなくなって、アーロンの体は確実に衰弱していく。死を目前にして初めて、自分勝手に生き決して心を開かなかった自分の人生と向き合うアーロン。そんな彼に強烈な後悔が襲いかかる。それでも彼は生への執着を捨てることはなかった。そして、岩に腕を挟まれてから127時間が経過した木曜日、彼はついにある決断をする・・・・・。
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たぴおか的コメント
『スラムドッグ$ミリオネア』のダニー・ボイル監督が、青年登山家アーロン・ラルストンが自らの体験を綴った小説を映画化した作品。本人が第二の故郷と豪語するブルー・ジョン・キャニオンで、思わぬ事故から右腕を岩に挟まれて身動きができなくなってしまうアーロン。そもそも事故というのは予想もしない状況や原因で発生するもので、いくら慣れ親しんだ場所であっても自然の脅威には常に配慮すべきで、この事故は彼が自然をナメてかかっていたことに起因している。事実、この事故以降の彼は常に行き先のメモを残しているという。
上映が開始してから20分ほどで彼は右腕を岩に挟まれ、そこで初めて“127 Hours”とタイトルが映される。そしてそこからはほとんどがアーロンのひとり芝居となるのだが、実際に彼が想像したであろう情景を上手く挿入しながら、観ている者を全く飽きさせない。水がなくなった時、クリスティたちのパーティへ行ってコーラやビールを次から次へと手にする場面を想像したり、あるいは清涼飲料水のCMを思い出したりする気持ちがよくわかる。しかし現実には水はなく、自分の尿を飲まなければならない状況にまで追い込まれ、さすがに観ていた私も気分が悪くなりそうだった。
そんな状況にまで追い込まれた時、人はあるいはそのままのたれ死んだ方が楽だと、生きることを諦めてしまいかねない。だが、アーロンは違った。そして、残された究極の手段、それは腕を切断すること以外にないのだが、それも簡単にはいかない。彼が持っていたのは切れ味が非常に悪い中国製の小型ナイフのみで、それも骨に行き当たった時点で一度は断念してしまう。そして、彼はさらに驚くべき行動に出るのだ。さすがに腕を切断するシーンは直接的な描写を避けてはいるものの、それでも観ているこちらは気がついたら体を硬直させ、終わった時にはヘトヘトになっている自分に気づく。中には、本当に気分が悪くなったらしく、アーロンのようにうなり声が場内に響き渡らせたため、周囲の観客が「だいじょうぶですか?」と声をかけ、一時劇場内が騒然となったというオマケが付くほどだった。
ただここで特筆すべきなのは、アーロンが救助隊のバイトをしていたために非常時の措置の知識を持ち合わせていた点だ。ロープとカラビナを上手く使って止血の処置をちゃんとしていたからこそ助かったのであって、素人が下手に自分の腕を切断しようものなら、おそらくは救助が来る前に失血死してしまうだろうから。