評     価  

 
       
File No. 1428  
       
製作年 / 公開日   2011年 / 2011年06月18日  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   青山 真治  
       
上 映 時 間   119分  
       
公開時コピー   まっすぐにあたなを見つめる。大切な人への思いがあふれだす優しい物語。  

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   三浦 春馬 [as 志田光司]
榮倉 奈々 [as 富永美優]
小西 真奈美 [as 志田美咲]
井川 遥 [as 初島百合香/志田杏子]
高橋 洋 [as 初島隆史]
染谷 将太 [as 高井ヒロ]
長野 里美 [as 光司、美咲の母]
小林 隆 [as 光司、美咲の父]
宇梶 剛士 [as 原木健一]
 
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あ ら す じ    公園に出かけては「家族」をテーマの写真を撮影していた大学生の志田光司は、ある日幼い娘を連れた美しい女性百合香に惹かれ、つい断りもなく遠くから望遠レンズで撮影してしまった。そんな彼の方を叩いたのは、彼女の夫らしき歯科医の初島隆史だった。そして光司は初島から、これから毎日百合香が訪れる公園で彼女の写真を撮影するという、奇妙なバイトを半ば強制的に依頼されるのだった。
 夜にはゲイのマスター、原木健一が営むすカフェバーでバイトをする光司の元へ訪ねてくる、常連客の女性が2人いた。ひとりは幼なじみの富永美優で、亡くなった光司の親友で同居人の高井ヒロの元カノでもあった。明るくはつらつとした性格の富永は、ヒロを失ったショックからも立ち直ったようで、ヒロがいない今も食べ物を持参しては光司の家に出入りしていた。そしてもうひとりは、血の繋がらない姉の志田美咲で、光司にこの店のバイトを紹介したのも美咲だった。
 そんなある日、が倒れたという報せを受け、光司と美咲は両親が住む大島へと向かう。その夜、光司は美咲に、初島からの奇妙な依頼についての話をすると、突然機嫌が悪くなったような美咲に富永のことを問われ、光司は戸惑う。幸い母は大事に至らず、再び東京に戻った光司は、旅先で美咲と何かなかったかと富永から訪ねられる。富永は、美咲が光司を愛してしまっていて、その気持ちを抑えようとしていると言うのだ。そしてさらに富永は、光司が百合香に惹かれた理由は、彼女が亡くなった光司の母・杏子とそっくりだからだと指摘するのだった。
 普段は健気に振る舞っている富永の心の中にある深い悲しみ、美咲が心の中にしまってきた切実な愛情、言葉を交わしたこともない百合香の眼差しに触れながら、光司の心は次第に変わり始めていく・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    小西真奈美、井川遥、榮倉奈々の美女3人(特に小西真奈美)に強く惹かれて観てしまった作品。「東京を説明すると、真ん中に大きな公園(多分皇居のことだろう)があり、それを沢山の公園が取り巻いている」、劇中のとある人物のセリフだが、それが『東京公園』というタイトルの由来だろう。言われてみれば都内には23区だけでも意外なほど多くの公園があることに気づいた。そんな公園をモチーフに描かれた、穏やかで優しい作品なのだが、観ていてなんだか不安な気持ちにさせられてしまった。
 その理由は、主人公の三浦春馬扮する光司、榮倉奈々扮する富永、そして小西真奈美演じる美咲の3人の、実に微妙なバランスの上に成り立っている関係にある。おそらく光司は、富永をただの幼なじみで親友の元カレとしか思っていないだろうし、美咲を姉としか意識していないと思う。もしかしたら、本人も意識しない深層心理ではそうじゃないかもしれないが、それは本人すら知らないことなのだ。けれども、美咲と富永は違う。美咲は弟を異性として意識してしまっていて、その気持ちを光司にはひた隠しにしている。それは感情の赴くままに任せるようなことをせず、あくまで理性的に振る舞おうとする美咲の良識なのだが、恐るべき富永は女の勘で美咲の思いを察してしまうのだ。真っ直ぐ向かい合った美咲と光司のキスシーンは、今までに観たどの作品のそれも比較にならないほど観ていて緊張してしまった。それは、美咲の繊細で微妙な心の動きが観る者に如実に伝わってくるために、果たして光司がその思いを受け止めることができるのか、それとも冷たく突き放すのか、気が気でなかったからだろう。
 そんな富永はあくまで第三者として光司に美咲の気持ちを教えてアドバイスをするのだが、その富永の言動には困惑させられる。美咲の思いが光司に通じることが彼女の本意だとは、とうてい思えないのだ。いくら幼なじみとはいえ、彼氏であるヒロがいなくなっても当たり前のように光司の家に出入りするとは、富永本人も気づいていないが、実は彼女も光司を愛していたのではないだろうかと思えてならない。だから、富永はラストでヒロがくらしていた部屋に越してきたのは、あくまでヒロと訣別するためであり、それを察したからこそヒロも光司の目の前から姿を消したんじゃないかな(なんて書くと、作品を観ていない人には混乱をきたしてしまうかな?)。