評 価
File No.
1433
製作年 / 公開日
2010年 / 2011年06月11日
製 作 国
アメリカ
監 督
ジュリー・テイモア
上 映 時 間
112分
公開時コピー
私に抱かれて、世界よ眠れ。
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最初に観たメディア
Theater
Television
Video
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キ ャ ス ト
ヘレン・ミレン
[as プロスペラ]
ラッセル・ブランド
[as トリンキュロー]
リ−ヴ・カーニー
[as ファーディナンド王子]
トム・コンティ
[as ゴンザーロー]
クリス・クーパー
[as アントーニオ]
アラン・カミング
[as セバスチャン]
ジャイモン・フンスー
[as キャリバン]
フェリシティ・ジョーンズ
[as ミランダ]
アルフレッド・モリナ
[as ステファノー]
デヴィッド・ストラザーン
[as アロンゾー王]
ベン・ウィショー
[as エアリエル]
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あ ら す じ
娘の婚礼から帰途にあったナポリ王
アロンゾー
の一行を乗せた船が、突然の大嵐に見舞われ、弟王の
セバスチャン
、老顧問官の
ゴンザーロー
、ミラノ大公
アントーニオ
、そしてアロンゾー王の息子
ファーディナンド王子
らは近くの孤島へ流れ着いた。しかし、それは決して偶然の結果ではなく、彼らを島におびき寄せるために仕組まれたものだった。
その孤島で暮らしていたのは、かつて名君と呼ばれたミラノ大公の妃であり、夫である大公亡き後に弟アントーニオの策略でまだ幼い娘だった
ミランダ
と共に追放された
プロスペラ
だった。孤島での生活の中、魔術の腕を極めたプロスペラは、空気の妖精
エアリエル
を自在に操り、邪悪な怪物
キャリバン
に雑事をこなさせる生活を送りながら、彼女を陥れたアントーニオたちに復讐する機会を待ちわびていたのだった。
島に流れ着いた一行からひとりはぐれたファーディナンド王子はエアリエルの歌声に導かれ、美しく成長したプロスペラの娘ミランダと出会う。そして、2人はたちまち互いに恋に落ちるが、これは実はプロスペラの目論見通りだった。一方、王子が死んだものと思いながらも、森の中を探索していたアロンゾー王の一行では、アントーニオがセバスチャンにアロンゾーに取って代わり王にるようたきつけ、アロンゾー王とゴンザーローの殺害がもくろまれていた。また、王の道化師
トリンキュロー
と酒蔵係の
ステファノー
はキャリバンと出会い、2人から“神の水”と称して飲まされた酒に感動したキャリバンは、2人を主人と仰いでプロスペラを亡き者にするようけしかけていた。
様々な思惑を抱えた一行はやがて一カ所に集い、彼らの前にプロスペラが姿を現す。果たして、アロンゾー王一行に対してプロスペラはいかなる復讐を果たそうとしていたのか?そして、ミランダとファーディナンド王子の恋の行方は・・・・・?
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たぴおか的コメント
何とも捉えどころのない、不思議な雰囲気に包まれた作品だった。映像は美しく時には幻想的な雰囲気を醸し出しながらも、シリアスなどラマのようでもあり、それでいてどこかコミカル。ベン・ウィショー扮する妖精エアリエルは、凄まじい力を持ちながらナゼかヘレン・ミレン扮するプロスペラには頭が上がらず言いなりになるしかなく、まるで祖母に逆らえない孫のようで滑稽でもある。
極めつけはジャイモン・フンスーの演じるキャリバンで、私はてっきりどこかの未開の地から流れ着いた人間だと思っていたら、実は魔女が生み出した邪悪な怪物という設定だったとは夢にも思わなかった。つーか、あの映像を観てそこまで思い至る者がいるとはとうてい思えない。頭は悪いし、プロスペラに雑事を押しつけられるのが嫌で簡単に裏切って、後で後悔して小さくなっているなんて。『ブラッド・ダイヤモンド』でオスカーの助演男優賞にノミネートされた俳優だとはとても思えない(笑)。
一方、妖精エアリエルの幻想的な描写は気に入った。あれならばジャイモン・フンスーのキャリバンと違って、誰が観ても明らかに妖精に見えるというものだ。そんなエアリエルを自在に操るヘレン・ミレンの貫禄はさすがで、貫禄だけならともかくあの気品は誰にでも出せるというものではないだろう。ちなみにシェイクスピアの原作では、主人公は元ミラノ大公のプロスペローという男性だとのこと。この大胆なアイデアは監督のジュリー・テイモアによるものらしいが、そこにヘレン・ミレンというオスカー女優を起用したことで、おそらくは男性を主人公にするよりもさらに幻想的で深みのある作品にすることに成功していると思う。
また、プロスペラの娘・ミランダを演じたフェリシティ・ジョーンズの可愛さがいい意味でアクセントになっている。いくら世間知らずとは言っても、初めて観る人間の男性であるファーディナンド王子と、あんなに簡単に恋に落ちてしまっていいのかな?なんて余計な心配をしてしまったりして。
見た目も中身もバラエティーに富んだキャラクターばかりで退屈することがないのだが、肝心なストーリーは今ひとつ盛り上がりに欠けるように思えた。プロスペラが積年の恨みを晴らす復讐劇が、あれほどあっさりとしていてたのは意外で、それは愛すべき娘を持つ母親ならではの情の深さだと解釈すべきだろうが、正直観ている私にとっては物足りなく感じてしまった。