評     価  

 
       
File No. 1434  
       
製作年 / 公開日   2011年 / 2011年07月02日  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   篠原 哲雄  
       
上 映 時 間   104分  
       
公開時コピー   愛する人を
斬ることなど、
出来るのか。
 

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   東山 紀之 [as 戊井朔之助]
菊地 凛子 [as 田鶴]
勝地 涼 [as 新蔵]
片岡 愛之助 [as 佐久間森衛]
尾野 真千子 [as 幾久]
松原 智恵子 [as 以瀬]
笹野 高史 [as 助川権之丞]
西岡 徳馬 [as 鹿沢堯伯]
藤 竜也 [as 戊井忠左衛門]
 
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あ ら す じ    海坂藩士・戌井朔之助は、家老・助川権之丞に呼び出されて、佐久間森衛を討つよう命じられた。佐久間は藩の農政を批判して農政改革の言上書を提出した上に、藩主を面前で批判して脱藩した男だった。佐久間は朔之助にとって親友であり、妹田鶴の夫でもあった。そんな佐久間を討つことはできないと藩命を辞退した朔之助だったが、佐久間を討つほどの腕を持つのは朔之助しかおらず、田鶴を死なせないためにも朔之助以外にこの命を果たせる者はいないとの言葉に、朔之助は佐久間を討つことを決心した。
 帰宅した朔之助は、父・戊井忠左衛門と母・以瀬、そして妻・幾久の前で、佐久間を討つ命を受けたことを報告した。そして、それを知った奉公人の新蔵から、自分を佐久間討伐の旅に随伴して欲しいと頼まれる。新蔵は幼い頃から朔之助や田鶴といつも一緒で、田鶴のことを誰よりも気遣っての申し出に、朔之助は新蔵と共に佐久間が潜伏していると思われる行徳までの旅に出るのだった。
 行徳の宿に到着した作之助は、自ら進んで佐久間の居場所を突き止めるという新蔵n言葉に任せ、ひたすら宿で新蔵からの報告を待つ。そして、新蔵はやがて田鶴を見つけ、密かに後をおって佐久間の居場所を発見する。それから5日後、田鶴が2日毎にしばらくの間出かけることを確認した新蔵は、田鶴の留守を見計らって朔之助を佐久間の隠れる小屋へと案内した。そして、佐久間はあたかも朔之助が自分を討ちに訪れることを予期していたかのように、取り乱すことなく朔之助に応じる。こうして、互角の腕前の作之助と佐久間との真剣勝負が始まるのだった・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    これでも時代劇は結構好きで、主演が東山紀之、共演が片岡愛之助に尾野真千子とあれば、キャスティングだけでも観る意欲をそそる。しかも、上意とはいえ東扮する戌井朔之助が親友で妹の夫でもある、片岡愛之助扮する佐久間森衛を討たなければならないという一種の極限状態において、朔之助と佐久間のいずれが相手の刃に倒れるか、また田鶴がどう絡んでくるのか、高まる期待を抱えて向かった劇場の観客は、覚悟はしていたものの私より年下の人間はぱっと見た感じではひとりもいなかった気がする。
 東山紀之の時代劇は初めて観るが、意外に髷が似合っている。そして、彼も既に44歳、次期暴れん坊将軍か?なんて思うほど貫禄も充分だ。片岡愛之助と比べてしまうと、台詞回しがちょっと今風かな?とも思えるが、許容範囲内だと思う(そもそも歌舞伎役者と比べるのは酷だよね)。そして、一本気で曲がったことができない佐久間役の片岡愛之助は期待通りの好演を見せてくれている。
 ただ、過度に期待したせいか、クライマックスの盛り上がりに今ひとつ欠けるように感じた。そして、その理由のひとつは菊地凛子にあったような気がする。個人的な好みの問題もあるとは言え、田鶴役には尾野真千子の方がふさわしく思えて仕方がないのだ。勝地涼演じる新蔵が想いを寄せる相手として、菊地凛子では歳が上過ぎて不自然だし、やたらと意思の強さだけを感じさせる菊地凛子より、強さの中にもどこか儚さや憂いを感じさせる尾野真千子の方が田鶴にふさわしいと思うのは、身贔屓だけではない・・・・・と思う。