評     価  

 
       
File No. 1439  
       
製作年 / 公開日   2011年 / 2011年07月16日  
       
製  作  国   アメリカ  
       
監      督   ジョン・エリック・ドゥードル  
       
上 映 時 間   80分  
       
公開時コピー   密室<エレベーター>が、お前たちの地獄になる  

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   クリス・メッシーナ [as ボーデン刑事]
ローガン・マーシャル=グリーン [as アンソニー・ジェーンコウスキー]
ジェニー・オハラ [as ジェーン・コウスキー]
ボヤナ・ノヴァコヴィッチ [as サラ・キャラウェイ]
ボキーム・ウッドバイン [as ビル・ラーソン]
ジェフリー・エアンド [as ビンス・マコーミック]
ジェイコブ・バルガス [as ラミレス]
マット・クレイヴン [as ラスティグ]
ジョシュア・ピース [as マルコヴィッツ刑事]
キャロライン・ダヴァーナス [as エルザ・ナハイ]
ジョー・コブデン [as ドワイト]
ゾーイ・パーマー [as シェリル]
ヴィンセント・ラレスカ [as ヘンリー]
ラディ・ウェッブ [as 老守衛]
クレイグ・エルドリッジ [as ドネリー]
 
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あ ら す じ    オフィスビル街で、一人の男が投身自殺を図った。現場に駆けつけたボーデン刑事は、ビルの2階から飛び降りたにしては、遺体が落ちた車のルーフのへこみ方が不自然であることに気づき、投身したビルが遺体発見現場から離れたビルではないかと見当をつけた。そんなボーデンの無線に、エレベーターに5人の男女が閉じ込められた事故の連絡が入る。その事故が起こったのは、奇しくも彼が自殺の現場ではないかと推測して駆けつけたビルだった。
 エレベーター内に閉じ込められたのは、セールスマンらしき男、老婦人、若い女性、ビルの警備員、そして若い男だった。エレベーター内の監視カメラを見て事態に気づいた警備員のラスティグラミレスは、すぐさま整備員のドワイトに命じてエレベーターを点検させたものの、エレベーター自体に異常は見られず、停止した原因は不明だった。
 そんな中、エレベーター内の照明が突如消えてしまい、再び灯りが点灯すると、若い女性の背中が何者かによって切りつけられて出血していた。これを見たラスティグが、傷害事件だと考えて警察に通報したのだ。警備室に到着したボーデンは、レスキュー連絡した上で5人の身元を調べるために、入館者名簿を調べに向かった。すると、ボーデン不在の間に再びエレベーターの照明が消え、ガラスが割れたような音と叫び声がして、再び点灯した時にセールスマンの首にはガラスの破片が突き刺さり、彼はすでに絶命していた。
 入館者名簿から、亡くなった男の名はビンス・マコーミック、老婦人はジェーン・コウスキー、背中に傷を負った若い女性はサラ・キャラウェイ、そして警備員の名はビル・ラーソンだと身元が判明したが、もう一人の若い男性が何者かは不明だった。そして、悲劇はそれだけでは済まなかった。屋上からワイヤーを伝って降りようとしていたドワイトが転落死し、エレベーター内でも老婦人のコウスキーに警備員のラーソンが次々と殺されていくのだった・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    てっきりM・ナイト・シャマラン監督作だと思っていたら、実は彼がスタッフやキャストに期待の新鋭を起用して映画化していく、“ザ・ナイト・クロニクル”と称するプロジェクトの第1弾となる作品だったようだ。なるほど、どうりでニワトリの鳴き声みたいな名前の監督を筆頭に、キャストにも誰ひとりとして名前を知る者がいないわけだ。シャマラン監督、新たな才能を発掘しようというその意気込みは買うが、他人よりも自分の心配をすべきじゃないかな?『ヴィレッジ』、『レディ・イン・ザ・ウォーター』、『ハプニング』とコケ続けて、『エアベンダー』の続編の噂もなく、自分の尻に火が点いていることに気がついていないのだろうか。
 シャマラン監督自身がメガホンを取っていないとはいえ、彼のアイデアが原案となっていることを考えると、またしても大コケしたと言っていいこの作品。尺が80分と短いのがせめてもの救いで、これで2時間近くまで引っ張ろうとしたら、おそらく私は途中で意識を失っていたことだろう。
 まず言わせてもらうと、高層ビルで起きた投身自殺からストーリーは展開していくのだが、あの自殺が何を意味するのかが不明。誰が自殺したのか、そしてなぜ自殺したのか。それに、その自殺がその後に起きる事件にどう関わりを持っているのかも全く理解不能だ。
 エレベーターに偶然乗り合わせた5人が、実は偶然ではなく神の配剤・・・・・ではなく悪魔の導きによるものだったようだが、悪人ばかりを集めて悪魔が制裁を加えるという設定はどう考えてもおかしい。これが神のなせる業だというのであればまだしも、悪魔が悪を裁くなんて矛盾もはなはだしい。そもそも、あのビルには大勢の人間がいたわけで、その中で“悪人”と呼べる人間は他にもいないはずがない。その中からなぜあの5人が選ばれたのかという説明はないし、もちろん必然性もない。ジェーンコウスキーとジェーン・コウスキーなんていうトリックもあざとく感じるだけで、しかも私は帰宅してキャストの役名を見るまでは気がつかなかったし。
 ラストにアンソニーの過去のエピソードが明かされ、それがボーデン刑事と絡み合っていたことがわかるが、取って付けたようにヒューマンドラマ的な要素をいきなり持ってこられても、そこだけ浮いてしまっているようにしか感じない。結局、ナイト・シャマランに期待したら裏切られるという今までの失敗を再確認した以外には、全くと言っていいほど収穫のない作品だった。