評     価  

 
       
File No. 1451  
       
製作年 / 公開日   2009年 / 2011年08月06日  
       
製  作  国   イギリス / オーストラリア  
       
監      督   クリストファー・スミス  
       
上 映 時 間   99分  
       
公開時コピー   私が私を殺し続ける  

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   メリッサ・ジョージ [as ジェス]
マイケル・ドーマン [as グレッグ]
レイチェル・カーパニ [as サリー]
ヘンリー・ニクソン [as ダウニー]
エマ・ラング [as ヘザー]
リアム・ヘムズワース [as ヴィクター]
ジョシュア・アクアイヴァー [as トミー]
ジャック・テイラー [as ジャック]
ブライアン・プロベッツ [as タクシードライバー]
 
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あ ら す じ    自閉症の幼い息子トミーと暮らすシングルマザーのジェスは、ある日友人にヨットセーリングに誘われる。ヨットハーバーに訪れたジェスのなぜか浮かない様子を気にしながらも、ジェスの友人でヨットの持ち主でもあるグレッグは彼女を明るく出迎える。そして、ダウニーサリーの夫婦、それにヘザーヴィクターの計6名はヨットに乗り込んだ。
 ヨットは快晴の海を順調に滑っていたが、突如として急激な悪天候に巻き込まれ、暴風雨にさらされたヨットは転覆して全員が海に投げ出されてしまう。天候はあっという間に回復したものの、救助を求める術もなく絶望的な状況にあった彼らの前に、偶然豪華客船が通りかかる。九死に一生を得たとばかりにその船に乗り込んでみたジェスたちだったが、船内には人影も全くなくまるで幽霊船のようだった。そして、ジェスはなぜかその船に乗ったことがあるというデジャヴに囚われるのだった。
 悲劇はそれから立て続けに起こった。いきなりジェスに襲いかかってきたヴィクターを誤って死なせてしまったジェスが船内の劇場にたどり着くと、そこではグレッグが銃で撃たれて死亡していた。さらに、何者かが放った銃弾が、ダウニーとサリーを次々と射殺していく。そしてやがて、覆面をした狙撃手の正体が自分自身であるという信じ難い事実を、ジェスは知ることになるのだった・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    仕事を終えてからの2本連続はやはりキツイ。この日(08/08)渋谷のシアターNがメンズデーなのをいいことに、『モンスターズ 地球外生命体』に続けて『トライアングル』もまとめて観てしまえ!ってことで臨んだのだが、もし順番が逆だったら意識を失っていたかもしれない。この『トライアングル』は眠気など完全に忘れてしまうほど作品に引き込まれる、そんな出来だったのは幸いだった。
 ポスターを見ると、主人公のジェスが大型客船のデッキらしき場所での画像が使われているにもかかわらず、ジェスたちが実際に乗り込んだのは小型のヨットだったために、「あれ?記憶違いだったかな?」といきなり冒頭から混乱させられる。そして、ヨットが遭難して問題の豪華客船に乗船することとなるのだが、そこで次の疑問「だったら最初から豪華客船に乗ればいいのでは?」が浮かぶ。だがそれにも、最初から乗船していては成立しないというれっきとした理由があった。予想以上に細部にまで緻密に計算されているのだ。
 だから、随所に後々への布石が敷かれている。例えば、クルーズに出発する前にジェスがトミーを「ママが怖い夢を見た時は、目を閉じ楽しいことを思うの」とあやすシーン。トミーは一体何を見て怯えていたのか。また、同じく出発前にジェスが隣で芝生を刈っているジャックに「誰か見なかった?」と声をかけるシーン。あるいは、嵐に見舞われたヨットの通信で傍受した助けを求める通信。それを発したのは一体何者だったのか。いずれも後半になってその意味が見えてきて、「なるほど、そういうことだったのか」と感心させられることになるだろう。
 主人公のジェスだけが豪華客船の中で無限のループに陥ってしまうのだが、ここで時間のパラドックスが生じてくる。鶏が先か、それとも卵が先か。そもそも、無限ループの入り口はどこだったのか?そして、ラストではやっとのことで無限ループから抜け出したかと観る者をホッとさせておいて、実はまだループの中にいたことを知らされ打ちのめされるという念の入った作りになっている。