評 価
File No.
1454
製作年 / 公開日
2010年 / 2011年08月20日
製 作 国
アメリカ
監 督
ミカエル・ハフストローム
上 映 時 間
105分
公開時コピー
そこは、愛が命取りになる街。
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最初に観たメディア
Theater
Television
Video
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キ ャ ス ト
ジョン・キューザック
[as ポール・ソームズ]
コン・リー
[as アンナ・ランティン]
チョウ・ユンファ
[as アンソニー・ランティン]
デヴィッド・モース
[as リチャード・アスター]
渡辺 謙
[as タナカ大佐]
フランカ・ポテンテ
[as レニ]
ジェフリー・ディーン・モーガン
[as コナー]
菊地 凛子
[as スミコ]
ベネディクト・ウォン
[as キタ]
ヒュー・ボネヴィル
[as ベン・サンガー]
ユアン・オン
[as ユアン]
タン・ホンピン
[as チェン]
クリストファー・ブッフホルツ
[as カール]
ローナン・ヴィバート
[as マイキー]
ニコラス・ロウ
[as ラルフ]
ミカエル・カルキン
[as ビリー]
ウルフ・カーラー
[as ドイツ領事]
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あ ら す じ
1941年、太平洋戦争開戦直前の中国・上海。米国諜報員の
ポール・ソームズ
は、親友でもある同僚の
コナー
に会うために上海を訪れたが、彼が対面したのは無残にも殺害されたコナーの遺体だった。そして、上官の
リチャード・アスター
からコナーの遺体が日本の租界で発見されたこと、コナーは日本人と取引して裏の仕事を請け負う上海三合会のボス・
アンソニー・ランティン
を内偵していたことをソームズは知らされる。
コナーを殺した犯人を自分の手で探し出そうと決意したソームズは、友人であるドイツ領事館の技師夫人・
レニ
のつてを頼り、ランティンが出席するパーティに潜り込む。そして、ランティンと接触することに成功したソームズは、ランティンから日本軍情報部の大佐
タナカ
や彼の妻・
アンナ
を紹介される。ソームズは初対面の挨拶を交わしたが、実は前夜にカジノですでにアンナと出会っていたのだった。
ソームズはコナーが使っていた日本領事館の情報屋・
キタ
と接触し、コナーに
スミコ
という名の日本人の愛人がいたことを知る。そしてソームズはアスターと共にスミコのアパートに踏み込むが、すでにそこにはスミコの姿はなかった。しかし、スミコにも知られずにコナーが借りていたアパートの暗室からは、彼が隠し撮りしたランティン夫妻とタナカのおびただしい枚数の写真が発見された。
やがてソームズは、アンナが反日組織の一員であり、スミコをかくまっているのもアンナであること、そしてスミコが実はタナカの愛人であり、そこに目を付けたコナーがスミコを介して日本軍の情報を入手しようとしていたことを知る。スミコを密出国させようとするアンナたちレジスタンスと、それを執拗に追うタナカ。そしてタナカから妻を守ろうとするアンソニーと、不覚にもアンナに思いを寄せてしまったソームズ。複雑に絡み合った彼らの運命は、間もなく大きな転機を迎えることとなるのだった・・・・・。
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たぴおか的コメント
もっと固い内容の歴史スペクタクルかと思っていたら、意外に娯楽要素の強い作品で、尺もこの手の作品にしては短めの105分ということもあり、誰でも抵抗なくすんなりと入っていける作品に仕上がっていた。この作品で特筆すべきはやはりそのキャストの豪華さで、主演のジョン・キューザックにコン・リー、チョウ・ユンファ、それに日本からは渡辺謙と、私の好きな俳優がこれだけ揃えば退屈なんてするわけがない。ちなみに、菊地凛子は私にとってはどーでもよく、クレジットにも名前が載っていなかったようだ。
第二次世界大戦中に日本の占領下にあった中国で、上海があれほどの人種の坩堝と化していたことは、この作品を観て初めて知った。街の中は「租界」と呼ばれる各国の自治区のような地域に分割され、それぞれの国が思惑を抱いてシャンハイに集まっていたという、まさに一触即発の状態にあったわけだ。そして、日本との交戦はできる限り避けたいという態度のアメリカに対し、日本は密かに真珠湾奇襲攻撃の準備を進めていて、当時の日本がいかに驕り高ぶっていたかがよくわかる。そして、日本軍情報部のトップである、我らが渡辺謙扮するタナカが悪役として描かれているのは仕方ない。そもそも、当時の中国やアメリカが「善」であったかはともかくとして、対する日本が「悪」であったことは間違いないのだから。
『王家の紋章』『SAYURI』などで何度かお目にかかったコン・リーだが、この作品で見せる彼女の美しさには完全に目を奪われた。さらに驚いたのは、彼女がこの作品の撮影時にすでに44歳という年齢だったこと。恥ずかしながら、私は彼女をせいぜい30代半ばだと信じていて、映像を観る限りその考えに疑いを抱く余地など全くなかったから。あれじゃ、ジョン・キューザック扮するポールや、チョウ・ユンファ扮するアンソニーが彼女に夢中になるのも頷けるというものだ。
そんなコン・リー扮するアンナを取り巻く、ポール、タナカ、そしてアンソニーの三人が三つどもえとなり繰り広げる腹芸は観ていて非常に面白い。表面上は紳士を装い柔和に接するものの、それでいて決して相手に腹の内は読ませないという微妙な駆け引き。そして、交わされる洗練された会話の数々は、字幕の翻訳が優れているからこそ味わえるのだろう。英語だけでなく、中国語、果ては日本語と3カ国語が交錯するようなこの作品では、なおさらのこと字幕が作品の評価自体に影響する割合は大きいと思う。