評     価  

 
       
File No. 1465  
       
製作年 / 公開日   2011年 / 2011年09月10日  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   橋本 一  
       
上 映 時 間   125分  
       
公開時コピー   何かあったら
電話してくれ。
 

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
キ ャ ス ト   大泉 洋 [as 探偵<俺>]
松田 龍平 [as 高田]
小雪 [as 沙織]
西田 敏行 [as 霧島敏夫]
田口 トモロヲ [as 松尾]
浪岡 一喜 [as 佐山]
有薗 芳記 [as 田口幸平]
竹下 景子 [as 近藤百合子]
石橋 蓮司 [as 岩淵恭輔]
松重 豊 [as 相田]
高嶋 政伸 [as 加藤]
マギー [as 源ちゃん]
安藤 玉恵 [as 峰子]
榊 英雄 [as スポーツバーのマスター]
片桐 竜次 [as 桐原組組長]
桝田 徳寿 [as ケラーオオハタのマスター]
カルメン・マキ [as マキ]
本宮 泰風 [as 岩淵貢]
吉高 由里子 [as 近藤恵]
街田 しおん [as 近藤京子]
阿知波 悟美 [as 田口康子]
野村 周平 [as 則天道場塾生]
新谷 真弓 [as スナック元従業員]
中村 育二 [as 南]
 
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
あ ら す じ    札幌のススキノで、空手の腕は立つが暇さえあれば寝ているグータラな高田を助手に、探偵業を営む。携帯も持たない俺は、いつも行きつけのバー“KELLER OHATA”の名刺を持ち歩き、依頼も“KELLER”の黒電話で受ける。そんな俺はある夜、いつものように“KELLER”で高田相手にオセロに興じていた時、1本の依頼の電話を受けた。相手はコンドウキョウコと名乗る若い女性で、すでに俺の口座に報酬の10万円を振り込んだという。そしてその女は、「南という弁護士に、去年の2月5日加藤はどこにいたか?」と質問して、そのリアクションを報告して欲しいという妙な依頼を持ちかけてきた。
 彼女の依頼からヤバい匂いを感じながらも引き受けてしまった俺は、の事務所を訪れてキョウコから言われた質問を南にぶつけてみた。明らかに南が動揺したのが見て取れたものの、事務所からヤクザ者とドライブするハメになり、挙げ句に雪の中に生き埋めにされてしまった。危ういところで高田に助けられた俺は、もはやコンドウキョウコの依頼など抜きにして、報復を決意した。
 ある日俺は、以前に仕事の依頼を受けた記者・松尾に連れて行かれた高級クラブで、美人ママの沙織と出会い、一目惚れしてしまった。聞くところによると沙織は未亡人で、彼女の夫というのが1年前に見ず知らずの女性を助けようとして暴行されて亡くなった、有名な霧島グループの社長・霧島敏夫だという。そして、一見無関係だと思われた霧島の死とコンドウキョウコの依頼が、やがて深く関わっていることに俺は気づいた。捜査資料の中から一昨年のビル放火事件の記事を見つけ、その犠牲者の名前が近藤京子であることを知り、京子の母・近藤百合子を訪ねた俺は、京子が霧島の実の娘であることを百合子から知らされた。そして、霧島が殺されたのがコンドウキョウコの最初の依頼にあった2月5日だったのだ
 さらに、沙織は霧島が亡くなった途端に新興勢力“銀漢興産”のボス・岩淵恭輔の息子・岩淵貢に乗り換えて婚約までしていて、“銀漢興産”の顧問弁護士が南であり、南の指示で俺を生き埋めにした男の名が加藤であることが次々と判明して、俺の中で断片的だった事件が次第に繋がっていったのだが・・・・・。
 
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
たぴおか的コメント    ルパン三世と次元大介をイメージしたとかしないとか、主演の大泉洋と松田龍平のデコボココンビが妙にしっくり噛み合っていて、予想以上に楽しめた作品だった。どうやら当初からシリーズ化を想定して製作された作品のようで、大泉洋に至っては自費でも続編を作りたいとまで息巻いているらしい(笑)。彼が主演の作品だけに、軽いノリのコメディを予想していたのだが、意に反して結構重い内容で、しかも結構血を見るシーンが多いので、値が苦手な人は観ない方が無難かもしれないね。
 主人公の探偵を演じた大泉洋の、持ち前の飄々としたキャラクターが巧く生かされているのは監督の手腕だろうか。そして、相棒の松田龍平だが、どうも『まほろ駅前多田便利軒』の行天とイメージがダブって仕方ない。彼の若さで演じるキャラクターのイメージが定着してしまうのは、いかがなものかと思うが。
 2人の周囲を取り巻くキャスト陣の豪華さもも見所のひとつだ。謎めいたヒロインの沙織役にマツケンと結婚した小雪、その夫で大物実業家の霧島敏夫に西田敏行、探偵の依頼人役で田口トモロヲ、随分年とったなぁと痛感させられた竹下景子、その娘役で写真のみのカメオ出演の吉高由里子、お約束の貫禄充分な悪役で石橋蓮司、そして小悪党の浪岡一喜。そして何より驚いたのは、似てるとはずっと思っていたのだが、ヤクザ組織清輪会の加藤を演じていたのが高嶋政伸だったとは・・・・・随分若作りしていたとは言え、未だに信じられない。いつもは正義漢的な役柄が多い彼だが、あんなクレイジーなアブナイ男が似合っているとは思ってもみず、改めて彼の演技力が抜群であることを知らされた思いだ。
 大泉洋演じる主人公の探偵が、携帯はおろか事務所すら持たず、連絡先が行きつけのバー“KELLER OHATA”の電話だから『探偵はBARにいる』なんだね。なんでも“KELLER OHATA”のカウンターの一枚板には、相当なお金をかけているようで、この作品1作だけでは元が取れないとか。そして、探偵への連絡が入る、今ではまったくと言っていいほど見ることができない黒電話。昭和を思わせる“KELLER OHATA”のレトロな内装が観ていて心地いい。探偵が携帯を持っていないのも不自然に思えない・・・・・なんてことはないか(笑)。
 このキャスティングだと、探偵が対決する連中の黒幕が西田敏行というのがありがちなパターンだが、呆気なくお役ご免になってしまうのは意外だった。でも、そこからの小雪の存在感は圧巻で、充分あのマツケンが惚れた気持ちが初めてわかるような気がした。モデル出身の彼女だけあって、さすがに何を着てもよく似合っていたね。