評 価
File No.
1476
製作年 / 公開日
2011年 / 2011年09月23日
製 作 国
アメリカ
監 督
スコット・スチュワート
上 映 時 間
87分
公開時コピー
人類史上最強
究極のヴァンパイア・ハンター解禁!
ヴァンパイアを倒すために鍛えられた戦士
それが<プリースト>。
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最初に観たメディア
Theater
Television
Video
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キ ャ ス ト
ポール・ベタニー
[as プリースト]
カール・アーバン
[as ブラック・ハット]
カム・ジガンデイ
[as ヒックス]
マギー・Q
[as プリーステス]
リリー・コリンズ
[as ルーシー・ペイス]
ブラッド・ドゥーリフ
[as セールスマン]
スティーヴン・モイヤー
[as オーウェン・ペイス]
クリストファー・プラマー
[as オレラス大司教]
アラン・デイル
[as チャンバーレイン大司教]
メッチェン・エイミック
[as シャノン・ペイス]
ジェイコブ・ホプキンス
[as 少年]
ジョエル・ポリンスキー
[as トムリン医師]
タノアイ・リード
[as プリースト]
アーノルド・チョン
[as プリースト]
ヘンリー・キンギィ・Jr
[as プリースト]
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あ ら す じ
かつて、人類よりも身体能力に勝るヴァンパイアたちの前に窮地に立たされた人類。教会は神の名の下ヴァンパイアと戦うスペシャリスト・“プリースト”を組織し、彼らの活躍でヴァンパイアを封じ込めることに成功した。そして、ヴァンパイアの脅威から解放された今、プリーストたちは解散して人々の間に埋もれていった。
ある辺境に住む一家がヴァンパイアの襲撃を受け、夫・
オーウェン
は重傷を負い、妻・
シャノン
は殺され、娘・
ルーシー
が拉致されるという事件が起きる。事件を保安官でルーシーの恋人でもある
ヒックス
から知らされた
プリースト
は、教会の上層部に謁見を願い出た。そして、大司教たちにヴァンパイアとの闘いのためにプリーストの特権の復活を願い出た。しかし、
オレラス大司教
たちは封じ込めたヴァンパイアが活動を再開したという話を一笑に付し、プリーストの申し出を却下するのだった。
プリーストは権威に凝り固まった教会の対応に耐えられず、破門を覚悟でヒックスと共にかつてヴァンパイアのハイブ(巣窟)だった場所を目指し、バイクで出発した。こうして反逆者の汚名を帯びることとなったプリーストに対して教会は、3名のプリーストと1名の
プリーステス
に後を追わせた。ところが、3名のプリーストと別行動を取ったプリーステスは、ハイブ内でプリーストと出会い、彼と行動を共にするのだった。
ハイブ内には明らかにヴァンパイアが活動していた痕跡があり、事態はプリーストたちが想像していたよりも深刻なものだと思われた。ハイブを出た3人は、近くの街へと訪れるが、そこで彼らが見たものは、磔にされた3名のプリーストたちの無残な姿だった。3人ものプリーストを倒すほどのヴァンパイが存在するはずはなく、明らかにヴァンパイアたちの背後には強大な力を持つ何者かが存在していた。果たして、3人のプリーストを倒した者の正体は?そして、プリーストたちはその何者かを倒し、無事ルーシーを助け出すことができるのだろうか・・・・・?
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たぴおか的コメント
前作『レギオン』と言いこの作品といい、スコット・スチュワート監督作には独特の世界観があって、それを受け入れられるか否かによって評価は大きく分かれそうだ。そして、前作の主役で神のしもべである大天使ミカエルを、本作の主演でヴァンパイアを倒す事を天職とするプリーストを演じているのがポール・ベタニーだ。彼は『ダ・ヴィンチ・コード』でも色素欠乏症のシラスというキャラを演じているように、フツーじゃない特異な役柄が似合うようだ。
このところ『サンクタム』、『ラビット・ホラー3D』、『グリーン・ランタン』と立て続けに3D作品に遭遇していて、この作品もまた3D作品なのだが、映像を観る限りは3Dにする必要性が全く感じられず、2Dで充分だと思う。しかも、上映劇場が新宿のバルト9だから、貸し眼鏡代も込みで2,100円も払わされるとは、こんな金額は初日舞台挨拶を除いては初めての経験だ(ちなみに、TOHOシネマズだと無料パスポートがあるから3D作品でも300円で観られるのに)。
この作品でのヴァンパイアは、他の作品(例えば『トワイライト・サーガ』)に共通するようなヴァンパイアとは一線を画している。ヴァンパイアは生まれる時からヴァンパイアとして生まれ、人はヴァンパイアに噛まれると“感染者”となるがヴァンパイアにはならないようだ。そして、通常のヴァンパイアは見た目は人間と変わりがないが、この作品のヴァンパイアは四つん這いで歩き衣服など着用せず目を持たないという、見た目からして全く人間とは違う異形のモンスターだ。そして、首筋を噛んで血を吸うというお約束のスタイルも観られず、生きた人間をむさぼり喰うようなシーンもあり、ヴァンパイアと言うよりもむしろリビングデッド(ゾンビ)に近いように思えるのが、この作品のヴァンパイアたちだ。
『トワイライト・サーガ』と言えば、今回ポール・ベタニー扮するプリーストと行動を共にするヒックスを演じるカム・ジガンデイ、どこかで観たことがあると思ったら、『トワイライト−初恋−』でベラを狙ってカレン一家に殺されたヴァンパイア・ジェームスを演じていたのが彼だった。そして、プリーステス(女性プリースト)でポール・ベタニーのプリーストに想いを寄せるのがマギー・Q。どうやら、プリーストは殺された女性シャノンを思い続けているようで、そのためにプリーステスの思いがプリーストには通じないようだが、その辺りの相関図をもっとしっかり描いて欲しかった。
プリーストは教会の指揮下にあるという設定で、クリストファー・プラマー演じるオレラス大司教彼がどうやらそのトップに立つ大司教のようだ。そして彼は、教会という権威の象徴であり、それはいわゆる“体制”の象徴でもある。かつてはヴァンパイアと戦うために、教会は神と人々を結びつける拠点として機能していたが、やがて戦争が終わり平和が訪れた時(実はそれはうわべだけの平和だったのだが)、もはや教会は本来の目的を見失い形骸化し、ただ人々を統制する組織でしかなくなっているのだ。そして、P・ベタニーのプリーストはそんな形式だけの教会に従うはずがない。ヒーローは常に孤独な闘いを強いられるものなのだ。