評     価  

 
       
File No. 1481  
       
製作年 / 公開日   2011年 / 2011年10月01日  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   熊澤 誓人  
       
上 映 時 間   114分  
       
公開時コピー   「本気で叱ってくれた。本気で愛してくれた」
沖縄の小さな弁当屋で生まれた、奇跡の実話
 

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   阿部 寛 [as 大城陽]
ミムラ [as 大城美智子]
桜庭 ななみ [as 比嘉アヤ]
矢野 聖人 [as 真喜志ユウヤ]
森崎 ウィン [as 伊野波カイ]
野村 周平 [as 仲村ヨシキ]
吉田 妙子 [as 大城千代]
ヒガリノ [as ミキ]
前原 エリ [as タウン誌の記者]
田辺 啓太 [as 赤峰清順]
きゃんひとみ [as 真喜志愛子]
謝敷 玲来
吉田 瑠歌
玉城 たず子
玉城 満
田原 雅之
 
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あ ら す じ    沖縄の田舎町、本部町で小さな弁当屋・あじさい弁当を営む大城陽は、弁当を買いに来る高校生比嘉アヤ伊野波カイ仲村ヨシキらが放課後にバンドの練習をする場所がなくて困っているのを見るに見かね、弁当屋のガレージを貸すことにした。ところが、近所からのクレームがあり、陽は家の敷地内に明いている土地を使って、防音設備を備えた本格的なスタジオを作ろうと決心した。
 陽には、音楽が好きな彼らを支えてやりたいと思うある理由があった。やはり音楽で成功するという夢を抱いて上京した高校時代の彼の親友が、あと一歩で夢を実現しようという時に、バイクの事故で亡くなってしまったのだ。借金までして自分でスタジオを建てようとする陽を見て、次第にアヤたちや音楽を志す高校生たちが手伝うようになり、こうしてあじさいスタジオは完成に至った。
 陽は、「挨拶をすること。赤点は取らないこと。人の痛みがわかる人間になること」などを条件に、スタジオを高校生たちに無料で開放する。ことあるごとに本気で自分たちを叱ってくれる陽から、音楽以上に生きていくうえで大切なことを陽から学びながら、高校生たちはいつしか彼を“ニイニイ”と呼んで慕うようになる。一方の陽もまた、地元のラジオ局でCDのオンエアを頼み込むなど、プロデビューしたいという夢を持つアヤたちのバンド“Hi-drangea”に対しての思い入れは強かった。やがて“Hi-drangea”の人気に火が点き、音楽フェスティバルからの招待を受けるまでに成長したが、そんなさなかに陽は病で倒れてしまう・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    沖縄の本部町で小さな弁当屋を営む傍ら、音楽スタジオ“あじさい音楽村”をつくりバンド活動をする高校生に無料で提供して応援し続けた、仲宗根陽さんの実話を映画化した作品。今の時代に資材をなげうつばかりか借金をしてまでも、高校生のためにスタジオを作るという信じがたいような奇特な人物がいたとは・・・・・まだまだ日本人も捨てたもんじゃないと思わせる感動作だった。
 主役の大城陽を演じた阿部ちゃん曰く、「身近な人間がモデルだけに演じるのが難しい」というのは真理だろう。これが昔の偉人を演じるのであれば、その俳優が独自の解釈でキャラクターを作り上げるのもいいだろうが、これほど身近なキャラクターとなると忠実なオリジナルの模倣が要求される。もちろん、見た目は仲宗根陽さんに似ても似つかないだろうけど、阿部ちゃん本来の爽やかさが生かされたながらも本人のイメージを損なうことのない大城陽を作り上げたと言っていいんじゃないかな。
 それにしても、せめて高校生が自分の小遣いから払える程度の使用料を取ればいいと思うのに、陽は無料でスタジオを貸し出すとは、そのおおらかさはやはり沖縄という独特な土地の風土と無関係ではないと思う。桜庭ななみをはじめとする高校生たちもなんだかんだ言っても根は素直だし、とにかく“イヤな奴”が作品中に全く登場しないというのが、この作品自体の快さに寄与しているところは大きいと思う。
 陽の妻・大城美智子を演じた女優がとにかく可愛くて、一体誰が演じているのかがわからないまま映画が終了してしまい、エンド・クレジットで彼女を演じたのがミムラであることをやっと思い出した。ミムラがあれほど可愛いというイメージがなかっただけに、彼女が出演していることは前々から知っていたが、それが大城美智子役の女優と結びつかなかったのだ。