評     価  

 
       
File No. 1483  
       
製作年 / 公開日   2011年 / 2011年10月07日  
       
製  作  国   アメリカ  
       
監      督   ルパート・ワイアット  
       
上 映 時 間   106分  
       
公開時コピー   これは
人類への
警鐘
 

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   ジェームズ・フランコ [as ウィル・ロッドマン]
フリーダ・ピント [as キャロライン]
ジョン・リスゴー [as チャールズ・ロッドマン]
ブライアン・コックス [as ジョン・ランドン]
トム・フェルトン [as ドッジ・ランドン]
デヴィッド・オイェロウォ [as スティーヴン・ジェイコブス]
タイラー・ラビーン [as ロバート・フランクリン]
ジェイミー・ハリス [as ロドニー]
デヴィッド・ヒューレット [as ハンシカー]
タイ・オルソン [as ジョン・ハミル所長]
マディソン・ベル [as アリス・ハンシカー]
マケンナ・ジョイ [as アリス・ハンシカー(10代)]
  
<APES>
アンディ・サーキス [as シーザー]
カリン・コノヴァル [as モーリス]
テリー・ノタリー [as ロケット/ブライト・アイズ]
リチャード・ライディングス [as バック]
クリストファー・ゴードン [as コバ]
デヴィン・ダルトン [as コーネリア]
ジェイ・キャプトー [as アルファ]
リチャード・ダーウィン [as 赤ん坊のシーザー]
 
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あ ら す じ    サンフランシスコの製薬会社の研究所に勤める神経科学者ウィル・ロッドマンは、アルツハイマー病の特効薬を開発していた。そして、新薬の効果を試すべく、一匹のチンパンジーに新薬を投与したところ、めざましい効果が現れた。ところが、新薬のプレゼン当日にチンパンジーは突如暴れ出し、警備員に射殺されてしまう。所長のスティーヴン・ジェイコブスはウィルに、もはや新薬開発には資金を出せないと開発中止を言い渡すのだった。
 射殺されたチンパンジーは妊娠しており、彼女が産み落とした生まれたばかりのチンパンジーの赤ん坊は処分される運命にあった。けれども、幼い命を奪うことなどできなかったウィルは、やむなく赤ん坊を自宅に連れ帰り、彼に“シーザー”と名付けて育てることとなった。ところが、シーザーは自分の手でほ乳瓶を持ってミルクを飲むなど、驚くべき知性の片鱗を現し始める。新薬の効果を確信したウィルは研究所に顔を出さなくなり、自宅で密かに新薬の研究を続ける。ウィルにはアルツハイマーを患う同居中の年老いた父チャールズ・ロッドマンがいたために、是が非でも新薬の開発を急がねばならなかったのだ。
 3年後、ウィルのもとですくすくと育ったシーザーは、家の中を縦横無尽に駆け回るようになった。ウィルとシーザーとの間には強い絆が生まれており、同時に母親のチンパンジーの特殊な遺伝子を受け継いだ彼は、人間のそれをも上回る知性を発揮し始めていく。新薬が脳を活性化させる効果を確信したウィルは、研究所から持ち出した新薬を父に投与したところ、翌朝にはチャールズ昨日までの病状が嘘であったかに思えるほど回復する。そして5年後。ウィルは動物園の獣医キャロラインと相思相愛の仲になり、体長5フィートにもなったシーザーは、より複雑で多様な感情を表すようになっていた。
 そんなある日、チャールズが再び病状悪化の兆候を示し、隣人の車を自分のものと思い込んで運転してしまい、挙げ句に事故を起こしてしまう。車の持ち主がチャールズに詰め寄ると、その様子を屋根裏部屋から目撃したシーザーは、チャ−ルズを助けようとしてその隣人に襲いかかっる。そして、相手に怪我を負わせてしまったシーザーは、ウィルと引き離されて霊長類保護施設送りとなってしまう。檻に閉ざされた施設でシーザーを待ち受けていたのは、飼育係のドッジ・ランドンロドニーらによる陰湿な動物虐待だった。次第にてシーザーは人間に対する失望を募らせ、その失望はある固い決意へと変わっていく・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    1968年に『猿の惑星』が製作・公開されて以来、『続・猿の惑星』『新・猿の惑星』『猿の惑星・征服』『最後の猿の惑星』と続編が製作され、2001年にはマーク・ウォールバーグ主演でティム・バートン版リメイクの『PLANET OF THE APES 猿の惑星』も製作されたという、人気シリーズ『猿の惑星』の発端に相当するビギニング物。『猿の惑星』シリーズをリアルタイムで観るにはまだ幼かった私にとって、このシリーズに初めて接したのはマーク主演のリメイク版だった。そして今回、『バットマン』や『X-MEN』同様に後付けでビギニング的なエピソードが製作されたわけだ。
 今まで製作された一連のシリーズと今回の『創世記』、その最大の違いと言えば、多分(というのは旧作を観てないから)今までの猿は役者に特殊メイクを施していたのに対し、今回の猿はフルCGであるという点だろう。パッと見本物の猿に演技を仕込んだのではないかと思えるその動きは、『アバター』でその威力をまざまざと見せつけてくれたパフォーマンス・キャプチャーによるもので、シーザーを演じたアンディ・サーキス以下の俳優陣の演技のたまものだ。
 『猿の惑星』シリーズでは、未来の地球が猿に支配された惑星になっていたという設定だから、じゃぁ、なぜ地球はそうなった?という疑問は当然に湧いてくるわけで、私もその理由を自分勝手に想像してみたものだ。そして今回の『創世記』で明らかにされたその回答がアルツハイマー特効薬の実験の副作用とは、おそらく1968年当時では考えもつかなかった理由付けなんじゃないかな。
 『127時間』では自らの腕をチョン切ったアーロンを演じたジェームズ・フランコが主人公ウィルを演じ、彼の恋人キャロライン役が『スラムドッグ$ミリオネア』でラティカを演じたフリーダ・ピントだとは、奇しくもダニー・ボイル絡みの役者の共演となったわけだ。ウィルとシーザーの間に育まれた絆がこの作品のひとつのテーマだが、ウィルがシーザーを見つめる優しい眼差しが暖かい。それに対するシーザーの複雑な感情の入り混じった眼が、ウィルに輪をかけて素晴らしい。猿にあんな複雑な表情をさせることができるなんて、映像技術の進歩は留まるところを知らないね。そして、個人的にはこの手の作品にヒロインの存在が不可欠だと思うわけで、一抹の清涼剤の役割を果たすキャロラインの存在は有り難い。まして彼女が美人とあればなおさらのことだ(笑)。
 シーザーは収容された霊長類保護施設で飼育係の虐待に遭うワケだが、その飼育係ドッジが『ハリポタ』で憎まれ役のドラコ・マルフォイを演じたトム・フェルトンというのは実に微妙なキャスティングだ。『ハリポタ』のドラコでこそ脚光を浴びた彼だが、『ハリポタ』から離れてしまえば有象無象の俳優たちに埋もれてしまうしかなく、「それならば思い切って悪役で」と言わんばかりの開き直りが感じられる。そして、アルツハイマーを患うウィルの父親役はリチャード・ジェンキンス・・・・・なワケないよね(笑)。