評     価  

 
       
File No. 1485  
       
製作年 / 公開日   2010年 / 2011年10月08日  
       
製  作  国   アメリカ  
       
監      督   ダニエル・スタム  
       
上 映 時 間   87分  
       
公開時コピー  
カメラの前で“それ”は起こった
 

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   パトリック・ファビン [as コットン・マーカス牧師]
アシュリー・ベル [as ネル・スウィーツァー]
アイリス・バー [as アイリス・ライゼン]
ルイス・ハーサム [as ルイス・スウィーツァー]
ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ [as ケイレブ・スウィーツァー]
トニー・ベントレー [as マンレー牧師]
ジョン・ライト・Jr [as ジョン・マーカス]
シャナ・フォレストール [as シャナ・マーカス]
ジャスティン・シャファー [as ジャスティン・マーカス]
 
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あ ら す じ    ルイジアナ州バトンルージュで、幼い頃から牧師の父に仕込まれて説教を行い、エクソシズムを行ってきたコットン・マーカス牧師。彼は聖職にありながらも、神や悪魔の存在を信じず、悪魔祓いとはそれを信じる敬虔な信者たちを安心させるためのサービスだと割り切って行ってきたのだった。
 ところが、悪魔祓い中の事故が多発する現状を憂えたマーカスは、悪魔祓いが手品のようなトリックを用いた一種のショーに過ぎないことをカメラの前で暴露し、そんな儀式を止めさせようと考えて、悪魔祓いの真実を描くドキュメンタリー映画への出演を決意した。そして、彼の元へ届いた悪魔祓いの依頼の中から1件を選び、彼が行う儀式の一部始終を撮影させることとなった。
 マーカスはディレクターのアイリスとカメラマンを伴って、依頼人のルイス・スウィーツァーが住むアイヴァンウッドの農場を訪れる。ルイスの16歳になる娘・ネル・スウィーツァーが悪魔に取り憑かれ、毎夜次々と家畜を殺しているというのだ。マーカスは早速今まで通り、家具を動かすピアノ線や悪魔の声を流す小型スピーカーなどトリックを利用して儀式を行い、それをアイリスたちに撮影させる。彼の経験では悪魔憑きの多くは精神的なもので、ネルの奇行もまた何らかの心の病によるものだとたかをくくっていたのだ。無事に偽の儀式を終えたマーカスたちは、近くのモーテルに宿をとった。
 ところが真夜中、マーカスはアイリスに呼び起こされる。宿泊先を知らないはずのネルが、彼女のベッドに座っていたのだ。ネルを病院へ連れて行き、マーカスは精神科の検査を受けさせるようルイスに勧めるのだが、病院を嫌うルイスは娘を家に連れ帰ってしまう。そして、帰宅したネルの行動は、完全に狂気を帯びたものと化していく。初めての体験に戸惑うマーカスと撮影隊の前で次々と超常現象が発生し、ようやくマーカスは自らの考えが間違っていたことを悟る。そして、初めて真摯に悪魔祓いに取り組もうとするが、もはやすべては手遅れだった・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    新宿バルト9での上映とあって早々と座席をオンライン予約したのだが、その後千葉市内のシネコンでも上映されることを知って少し後悔(千葉市のシネコンだったら、金券ショップで優待券が1,300円で買えるのに)。で、実際に観てみたらさらに後悔。『ブレアウィッチ・プロジェクト』に端を発したいわゆるフェイク・ドキュメンタリー作品も、『パラノーマル・アクティビティ』に至ってネタは出尽くしたという感がある。
 主人公のマーカス牧師が、実はエクソシズム(悪魔祓い)はすべてフェイクだと考えているばかりか、神や悪魔の存在すら信じていないというのは面白い。そして、自分以外に行われているエクソシズムもすべて偽物であることを照明するために撮影を依頼し、次々と種明かしをしていくというのが発端。そんなマーカスのなんちゃってエクソシズムは、観ていて笑える。袖に超音波発信器(?)を仕掛けて悪魔に取り憑かれたネルを混乱させたり、十字架の裏に発煙装置を仕掛けたりして、それを次々と自らの手で明かしていくのだ。それってつまり、今まで自分が確信犯として詐欺行為を繰り返してきたってことの証明にもなるワケなんだけどね(笑)。
 マーカスはネルの父親には言わないものの、ネルの症状はすべて心の病に起因するものだと確信している。ところが、そんな彼もさすがにネルには本当に悪魔が取り憑いていると認めざるを得ない状況に追い込まれ、一度も行ったことのない本物のエクソシズムを行わないわけにはいかなくなる。そりゃぁ、普段は神を信じずに説教も金儲けのパフォーマンスと断言する男が、いざ悪魔に遭遇した時ににわかエクソシズムを行ったって、神(もし存在するならば)だってそんな不敬虔な牧師に救いの手を差し伸べてくれるわけがないよ。
 そこまではいいとしても、ラストにはとんでもないどんでん返しが用意されていて、実はそのラストのオチがこの作品に対して失望した最大の理由なのだ。そのあまりの荒唐無稽さにはただ呆れるしかなく、言葉すら出やしない。ラストにショッキングなシーンを持ってきて、観る者をビックリさせればいいってもんじゃないでしょう。強烈なネタバレになるけれど、「神も悪魔も信じないエクソシストがエクソシズムに失敗して、人間に殺されました」だなんて、要約するとあまりに陳腐過ぎる。