評     価  

 
       
File No. 1501  
       
製作年 / 公開日   2011年 / 2011年11月05日  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   佐藤 東弥  
       
上 映 時 間   133分  
       
公開時コピー   おかえり、クズの皆様。  

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   藤原 竜也 [as 伊藤カイジ]
伊勢谷 友介 [as 一条聖也]
吉高 由里子 [as 石田裕美]
生瀬 勝久 [as 坂崎孝太郎]
松尾 スズキ [as 大槻太郎]
光石 研 [as 石田光司]
山本 太郎 [as 船井譲二]
柿澤 勇人 [as 村上保]
嶋田 久作 [as 黒崎義裕]
香川 照之 [as 利根川幸雄]
 
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あ ら す じ    数々の命懸けのゲームに勝利し、多額の借金を帳消しにした伊藤カイジだったが、まさに人生の逆転を果たしたと思ったのもつかの間、1年も経たないうちに再び借金まみれの負け組になっていた。地下の賭博で大槻太郎のイカサマを見破り、109万円5千円の現金を手にしたカイジは、仲間を解放するための資金2億円を稼ぐために皆の期待を背負って地上へと戻った。与えられた2週間という猶予期間内に、カイジは何が何でも109万を2億に増やさなければならなかった。
 地上に戻ったカイジは、かつて帝愛のディーラーとしてカイジと戦って敗れ、今は帝愛から4,000万円の借金を背負わされてカイジと同じ負け組に身を落とした利根川幸雄と偶然再会する。そして、2週間で109万を2億に増やさなければならないという事情を話したカイジに、利根川は一通のカードを渡す。それは、帝愛が経営する裏カジノへの招待状だった。
 再逆転をめざし、帝愛の裏カジノを訪れたカイジは、リストラで家族に見放され一発逆転を夢見てカジノに通う坂崎孝太郎と出会う。そして、坂崎がカイジを案内した先には当たれば10億円以上を稼げるという、玉1発4,000円のモンスターパチンコ台、通称“人喰い沼”だった。一目見て“沼”が裏カジノによって完全にコントロールされていることを見抜いたカイジは、逆にその裏をかけば攻略できると直感し、坂崎と手を組んで“沼”の攻略に取り組むことになった。そして坂崎はカイジに、カジノで働く石田裕美を仲間として紹介した。彼女は鉄骨の上でカイジに娘を託して散っていった石田の娘だったのだ。
 “沼”を攻略するためには最低2,000万円の軍資金が必要だったが、そんなカイジたちの弱みにつけ込んだ裏カジノの支配人一条聖也が、「チャンスを差し上げたい」と提案してくる。それは、成功すれば3,000万円を獲得できるが、失敗すればライオンの餌食になるという、“姫と奴隷”ゲームだった。3つのボタンのうちひとつを押せば助かるが、残り2つは死に直結する。そんなカイジに悪魔の囁きを投げかけてきたのは、かつてカイジをだまし討ちにして今はゲームの進行役を務める船井譲二だった。判断に苦しむカイジに、暗号でヒントを送ったのは利根川だった。そのおかげで見事ゲームに勝利し、軍資金を手にしたカイジと坂崎は、利根川をも加えて“沼”攻略のための驚くべき作戦を実行に移すのだった・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    1作目と比較すると、明らかに大きくパワーダウンしているとしか言いようがない。前作で藤原竜也扮するカイジに負けた、香川照之扮する利根川が借金を背負わされ、今回はカイジと共に帝愛に挑むという設定は面白い。利根川に代わり新たに登場した、帝愛の裏カジノ支配人・一条を演じた伊勢谷友介の鬼気迫る演技も悪くない。また、原作でも人気を誇るというモンスターマシン“人喰い沼”(なぜ沼なのかは謎だが)を登場させたのも悪いとは言わない。だが、まさか“人喰い沼”だけで終わるだなんて、そりゃないだろう。
 そもそもこの作品の最大の売りは、1作目でのグー・チョキ・パーのカードゲームやラストで利根川とカイジが戦った“eカード”のような緊迫感のある頭脳戦だと私は思う。だからこそ、1作目の評価に星を9個も付けたのだ。でも、この作品の“人喰い沼”は頭脳戦などではなく、ひたすら金を注ぎ込むという大味な物量作戦に過ぎず、そんなものを見せられても面白いと感じるワケがない。むしろ“人喰い沼”の前座的な役割に過ぎない“姫と奴隷”の方がよっぽど頭脳戦と呼ぶにふさわしい。特に、利根川がカイジに言った言葉が“姫と奴隷”をクリアするための意外なヒントになっているという小技には完全に一本取られてしまった。
 このところ立て続けにお目にかかっている生瀬勝久だが、この作品ではあまり彼らしさが感じられなくて残念。というか、生瀬勝久といえば『TRICK』の矢部謙三の強烈なイメージが定着してしまっていて、あのキャラを基準にしてしまうとたいていの役柄では物足りなく感じてしまうのも仕方ないかな。前作で父親を殺されてその復讐のため(?)帝愛に潜り込んだという設定の吉高由里子扮する石田裕美は、どうも大人しすぎていてもいなくてもいいようなキャラに思えてしまう。前作で紅一点だった天海祐希の存在感があまりに圧倒的だったせいかもしれないが。