評     価  

 
       
File No. 1511  
       
製作年 / 公開日   2011年 / 2011年11月19日  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   瀬々 敬久  
       
上 映 時 間   131分  
       
公開時コピー   それでも、遺されたのは未来。  

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   岡田 将生 [as 永島杏平]
榮倉 奈々 [as 久保田ゆき]
松坂 桃李 [as 松井新太郎]
鶴見 辰吾 [as 古田]
檀 れい [as 岡島あかね]
染谷 将太 [as 山木信夫]
柄本 明 [as 井上正志]
堀部 圭亮 [as 大沢稔]
吹越 満 [as 永島信介]
津田 寛治 [as 萩原先生]
宮崎 美子 [as 美智子]
原田 泰造 [as 佐相]
 
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あ ら す じ    3年前。生まれつき軽い吃音のある高校生・永島杏平は、同じ山岳部の松井新太郎たちに陰でからかわれていた。そんな中、松井による陰湿ないじめと周囲の無関心に耐えられなくなった山木信夫が飛び降り自殺をしてしまう。それ以来、松井の悪意は表立って杏平へと向かうことになる。
 登山合宿で松井と二人きりになった時、ふと魔が差したように杏平に殺意が生まれる。崖から足を踏み外した松井を杏平は突き落とそうとするが、正気を取り戻した杏平は松井を助ける。松井は、「滑落した杏平を助けたのは自分だ」と周囲にうそぶくが、文化祭当日に、山岳部の展示室には松井を助ける杏平の写真が大きく飾られていた。顧問の教師萩原が撮影していたのだ。それは、教師や同級生たちが松井の悪意や嘘を知っていながら、それを見過ごしていたという証拠だった。杏平は再び松井に殺意を抱き「なんで黙ってるんだよ」と叫びながら松井に刃を向ける。
 高校時代に山木の自殺を止められず、松井を突き落とそうと思ってしまった杏平は、それを“親友を殺した”と思うようになり、以来心を閉ざしてしまっていた。そんなある日、杏平は父・永島信介の紹介で遺品整理業を営む会社“クーパーズ”で働くことになる。社長の古田は「荷物を片付けるだけではなく、遺族が心に区切りをつけるのを手伝う仕事だ」と杏平を迎える。先輩社員・佐相久保田ゆきとともに現場に向かった杏平。死後1ヶ月経って遺体が発見されたその部屋では、ベッドは体液で汚れ、虫がチリのように部屋中に散乱していた。最初は誰もが怖気づくという現場に杏平は黙って向き合うが、ゆきに遺品整理のやり方を教わっている最中、彼女の手首にリストカットの跡を見つける。
 ある日、ゆきは仕事中に依頼主の男性に手を触られ、悲鳴をあげ激しく震えた。心配した杏平は、仕事帰りにゆきを追いかけ、彼女はためらいながらも少しずつ自分の過去に起きた出来事を杏平に告げる。そのことでゆきは自分を責め続けていた。なぜ自分は生きているのか。自分の命は何なのか。何かを伝えようとするが言葉が見つからない杏平。そして、ゆきは杏平の前から姿を消してしまう・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    榮倉奈々と岡田将生、「またこのコンビかぁ・・・」が第一印象だったが、よく考えてみると『余命1ヶ月の花嫁』は男性が瑛太だったし、『雷桜』、『瞬 またたき』、『僕の初恋をキミに捧ぐ』は女優がそれぞれ蒼井優、北川景子、井上真央で、私にとっては意外だったのだが榮倉・岡田の共演はこれが初めてのようだ。そして、岡田将生を観るたびに「一体コイツのどこが良くて起用されるのだろう?」という疑問を、またしても感じてしまった。さらには、こういうふうに思っちゃいけないとは思いながらも、エンド・クレジットで「原作 さだまさし」とあるのを観たら、一気に興醒めしてしまった。
 確かこの作品の初版のチラシには、“アントキノイノチ”というタイトルの下に、“あの時の命”という副題が添えられていたはず。いつ、そしてなぜ副題がなくなったのかわからないが、アントニオ猪木でもアントキの猪木でもないこの作品には、2人は登場しない(当たり前)。ただ、海辺のシーンで小ネタとして使われてはいるが、全体の作品の雰囲気と比べると、そこだけ妙に軽薄で浮いてしまっているように思える。
 配給が松竹でしかも主人公2人の職業が“遺品整理業”となると、イヤでも『おくりびと』を連想してしまう。まさか二匹目のドジョウを狙ったわけではないだろうけどね。ただ、随所に笑いの要素がちりばめられながらも心を動かされる『おくりびと』と比べてしまうと、終始重たい雰囲気に包まれたこの作品は観ていて疲れるし、ほとんど心を動かされることもない。「あの時の命が今の自分に繋がっている」なんて言われても、それがしみじみと感じられるどころか、むしろ無理矢理こじつけているようにすら感じてしまうのは、映画の出来云々ではなくて原作起因していると思う。そして、命の繋がりよりもむしろ、心にトラウマを持った若い2人のラブストーリーといった方がしっくりくる内容だった。
 岡田将生扮する永島杏平が「親友を二人殺した」というが、一人はわかる。だが、もう一人は果たして殺したと言えるのだろうか?しかも、とうてい親友とは呼べない、と言うよりも、むしろ相手が杏平を一方的に嫌っているのは明らかだ。オープニングでいきなり全裸の杏平が屋根の上に座っているという設定も意味不明だった。
 対する榮倉奈々は、『東京公園』でも感じたように、以前と比べると格段に演技が上手くなったように思える。もしかしたら、最初があまりに下手だったせいかもしれないけど。そして、杏平と榮倉奈々扮するゆきの先輩社員・佐相を演じた原田泰造が渋くていい。