評 価
File No.
1512
製作年 / 公開日
2010年 / 2011年11月26日
製 作 国
アメリカ
監 督
マルコム・ヴェンヴィル
上 映 時 間
108分
公開時コピー
信じたら、だまされる。
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最初に観たメディア
Theater
Television
Video
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キ ャ ス ト
キアヌ・リーヴス
[as ヘンリー・トーン]
ヴェラ・ファーミガ
[as ジュリー・イワノワ]
ジェームズ・カーン
[as マックス・ザルツマン]
ピーター・ストーメア
[as ダレク]
ジュディ・グリア
[as デビー・トーン]
ダニー・ホック
[as ジョー]
カリー・グレアム
[as サイモン]
デヴィッド・コスタビル
[as アーノルド]
フィッシャー・スティーヴンス
[as エディ・ヴァイブス]
ビル・デューク
[as フランク]
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あ ら す じ
ニューヨーク州バッファローのハイウェイ料金所で働く
ヘンリー・トーン
は、その日も夜勤を終えて妻・
デビー・トーン
が待つ自宅に帰り朝食を摂っていた。そこへ訪ねてきたのは、悪友の
エディ・ヴァイブス
と
ジョー
だった。草野球の試合に向かう途中だった彼らは、急にジョーの具合が悪くなったために、ヘンリーに代役を頼みたいというのだ。やむを得ず代役を引き受けたヘンリーだったが、途中ATMで金を下ろすと言って銀行へ入っていた彼らは実は銀行強盗で、ヘンリーは何も知らないまま彼らの共犯にされてしまう。警備員の
フランク
に捕らえられたヘンリーは逮捕され、何も弁明をしないままに懲役3年の刑に服することとなった。
ヘンリーは刑務所で、同房となった詐欺犯の
マックス・ザルツマン
と親しくなる。ヘンリーに対して意義のある人生を送るよう諭す、刑務所生活をこよなく愛するマックスは、冗談半分に無実の罪で刑務所送りになったのだから、本当に銀行強盗をやれと言う。この時は気にも留めていなかったマックスのその言葉がやがて現実のものになるとは、その時のヘンリーは夢にも思っていなかった。そして、1年後にヘンリーは仮釈放となるが、面会時に恋人ができたと告白したデビーは妊娠しており、相手はあのジョーだった。やむなく家を出たヘンリーは、例の銀行の前でぼんやりしているところを、通りかかった車に撥ねられてしまう。
彼を撥ねたドライバーは、テレビのCMで見覚えのある、舞台女優の
ジュリー・イワノワ
で、銀行の隣の劇場でチェーホフの「桜の園」に主演することになっていた。幸い大した怪我もなかったヘンリーは、強引に彼女と食事の約束を取り付ける。そして、食事の後訪れたバーのトイレの壁に貼られた古い記事で、銀行と劇場の間にトンネルがあった事を知る。そして、やってもいない罪で刑務所に入ったのだから、思い切って実際に銀行強盗をやってしまおうという考えが芽生えるのだった。
ヘンリーは、マックスに面会するために刑務所を訪れ、一緒に銀行強盗をやるために釈放されるよう頼み込む。刑務所から出ることを拒否し続けてきたマックスだったが、ヘンリーの頼みを聞き入れて釈放され、2人は銀行強盗計画を練り始めた。そして、トンネル掘りの人手が欲しい2人は、ジョーを仲間に誘い入れる。そして、ジュリーに恋したことを自覚したヘンリーは、自分とマックスが計画している銀行強盗についてすべて打ち明けるのだった・・・・・。
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たぴおか的コメント
この作品での最大の収穫は、キアヌにコメディは無理だってことかな。それどころか、前々から感じてはいたが、コメディはおろか普通の演技もあまりに表情が乏しくて決して上手いとは言えないんじゃないかと確信してしまった。共演がジェームズ・カーンだからなおさらそう感じるのかも知れないが、彼の老獪な演技に比べてキアヌの演技は硬い。そして、髪型のせいで顔がやたらとデカく見えて仕方ない。まぁ、実際彼の顔はデカいんだろうけど(笑)。
そんなワケで、キアヌが主演じゃなければもっと面白い作品になっていたかも知れないが、残念ながら今ひとつという印象だったこの作品。ジェームズ・カーンはさすがの貫禄で、彼が登場すると画面が引き締まるようにさえ思える。また、随分と若作りしたヴェラ・ファーミガも、今までは感情をあまり現さない冷静な役柄が多かったように思えるのに対し、この作品ではよく怒鳴るしよく叫ぶ。こういう彼女を観るのも悪くない気がした。
銀行の金庫室まで地下道を掘るという銀行強盗(厳密に言えば強盗罪は暴行・脅迫を伴うから、この場合は強盗ではなく窃盗になる)、の手口は、シャーロック・ホームズの「赤毛連盟」がモチーフになっているのは間違いない。「赤毛連盟」では家の主人を追い出してそこから銀行までトンネルを掘ったが、この作品では・・・・・それは観てのお楽しみってことで。それにしても、いくら内部の手引きがあったとはいえ、あんなに簡単に成功しちゃっていいのか?現実ならば銀行の金庫の下につながる地下道なんて、発見されたら即コンクリートで埋められて、この作品のように手作業で掘るなんて不可能なはず。もしもシリアスなクライム・サスペンス作品だったらこれは致命的な突っ込み所になるところだが、コメディ作品だからそれもありなんだろうけど。
ヘンリーの目的が金ではなく、銀行強盗という行為自体であることを受けてか、クライマックスでの焦点も強盗が成功するかどうかじゃなくて、ヘンリーが果たしてジュリーを口説き落とせるかに切り替わっていく。そして、劇場で大勢の観客が見守る舞台の上でヘンリーがジュリーに告白するというのが見所。劇中では汽車で去ったはずのヘンリーがなぜか客席から舞台に上がり、いかにも芝居の中の台詞のようにジュリーに真意を告白する。そして、それを誰も止めさせようとしないばかりか、逆に半分は唖然とさせられながらも興味津々で観ているように受け取れる。変に余韻を残さない幕切れも潔くていいと思う。