評     価  

 
       
File No. 1528  
       
製作年 / 公開日   2010年 / 2011年12月23日  
       
製  作  国   アメリカ  
       
監      督   グレッグ・モットラー  
       
上 映 時 間   104分  
       
公開時コピー   ヒッチハイクしてきたのは・・・なんとエイリアン!?
友情は星を超える!
 

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最初に観たメディア  
Theater Television Video
 
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キ ャ ス ト   サイモン・ペッグ [as グレアム・ウィリー]
ニック・フロスト [as クライブ・ゴリングス]
ジェイソン・ベイトマン [as ゾイル捜査官]
クリステン・ウィグ [as ルース・バッグス]
ビル・ヘイダー [as ハガード]
ブライス・ダナー [as タラ・ウォルトン]
ジョン・キャロル・リンチ [as モーゼス・バッグス]
シガニー・ウィーヴァー [as ビッグ・ガイ]
ミア・ストールラード [as 少女時代のタラ]
ジェフリー・タンバー [as アダム・シャドーチャイルド]
デヴィッド・ハウス [as 警備員]
ジェーン・リンチ [as パット・スティーヴンス]
デヴィッド・ケックナー [as ガス]
ジェシー・プレモンス [as ジェイク]
セス・ローゲン [as ポール(声の出演)]
 
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あ ら す じ    1947年、アメリカ、ワイオミング州のムーアクロフト。そこで暮らす幼い少女は、ある夜、怪しい光を放つ飛行物体が愛犬ポールに向かって墜落してくるのを目撃した。そして、この不可解な出来事から60余年が経過した現在。イギリス人のSF作家クライブ・ゴリングスとイラストレーターのグレアム・ウィリーは、世界中のマニアが集うアメリカのコミケ、通称“コミコン”に参加した翌日、もう一つの目的のためにキャンピングカーをレンタルして出発した。その目的とは、2人の長年の夢だったアメリカ西部のUFOスポット巡りだった。
 2人を乗せたキャンピングカーは、ネバダ州のエリア51付近で1台の暴走車の事故現場に遭遇する。恐る恐る事故現場に近づいてみた2人の前に姿を現したのは、ポールと名乗る正真正銘の宇宙人だった。彼は地球に不時着した60年前に、政府の秘密施設に拘束されて散々協力させられたうえに、解剖されそうになったために逃げ出してきたと言うのだ。神秘的な宇宙人を想像していたグレアムとクライブは、長年の地球暮らしですっかりアメリカナイズされた毒舌と陽気な性格のポールに驚きつつも、彼に協力することとなった。
 死んだ生き物を生き返らせる不思議な能力を持ち、人知れず世界中の大衆文化に影響を与えてきたと語るポールに、2人は徐々に打ち解けてゆく。そんな彼らを、ビッグ・ガイと称する何者かの命令でポールを捕えるために派遣されたゾイル捜査官が追跡していたことを、一行はまだ知らなかった。凄腕のゾイルは間もなく、クライヴとグレアムがポールの逃亡を手助けしていることを突き止め、次第に距離を縮めていくのだった。
 一方、ポール一行は宿泊先のモーテルで働く敬虔なクリスチャンのルース・バッグスを誘拐する羽目に。ルース以上に過激なキリスト教原理主義者の父モーゼス・バッグスは怒り、ライフルを手に彼らの後を追う。ゾイルやモーゼスの激しい追撃を危機一髪のところでかしながら、次第に固い絆で結ばれてゆく一行は、目的地に向かう前に寄り道をする。そこは、60年前にポールと遭遇して傷を負った彼を介抱した少女タラ・ウォルトンの家だった。
 一行はタラの家でくつろいでいる時に、ゾイルと配下のエージェント2名、それに加えてモーゼスの襲撃を受け、やむを得ずタラも一緒に連れてキャンピングカーで逃げ出す。追撃を交わしながら目的地に到着した一行は、そこで想像を絶する驚きの光景を目撃することになる・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    今年最初の作品は、1週間も前から映画の日である元旦に観ようと決めていた『宇宙人ポール』となった。劇場に到着したのが上映開始の50分ほど前で、正月早々のことだからさぞかし空いているだろうと思ったのだが甘かった。80名のキャパの小さなスクリーンとはいえ、その時点で既に7割の座席が埋まっており、上映開始時にはほぼ満席という信じ難いような盛況ぶりだった。
 あの『ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!』のコンビ、サイモン・ペッグ×ニック・フロストが脚本・主演とあれば、期待せずにはいられない。そして何より、初めてこの作品のチラシを見た時に、振り向いてニヤッと笑っているポールの姿が完全に目に焼き付いてしまっていたのだ。これはタダモノじゃないぞ、と。
 スピルバーグ作品『未知との遭遇』や『E.T.』に対するオマージュが溢れる作品で、その意味では『SUPER8』が比較の対象となっているのもわかる気がする。ただ、見た目も醜悪で人間に対して危害を加える『SUPER8』のエイリアンに対して、この作品のポールは英語がペラペラ、下手なアメリカ人よりもアメリカ人らしい宇宙人ときている。シリアスなドラマとコメディという違いはあるが、個人的には迷わずこの作品に軍配を挙げたい。コメディ作品だから笑い所が満載なのは当然のことだが、ただ笑えるだけじゃなくて胸にグッとくる感動シーンもあり、文句なしに楽しめる作品だと自信を持ってお勧めしたい。ただし、ポールを筆頭に結構汚い言葉遣いが飛び交うけど(笑)。
 その宇宙人ポールだが、その表情や仕草が実に上手く作られているのには感心してしまう。彼を一目観て気絶する人間が多数登場するような外観なのだが、見慣れてくると実に愛嬌があって愛すべき奴だと思えてくる。そのうえ、60年もアメリカで暮らしたせいで、言動が完全にアメリカナイズされてしまっているのが妙に笑える。エイリアンのくせにビールとなぜかピスタチオ・ナッツをこよなく愛し、タバコや果てはハッパまでやっちゃうという、とんでもない不良宇宙人なのだ。ちなみに、「『X-FILE』のモルダー捜査官は自分の案だ」だなんてポールの台詞、クリス・カーターの了解をとってるのかな?
 ポールを拾ったのがオタクのイギリス人グレアムとクライブの2人で、その3人の掛け合いだけでも笑ってしまうのに、そこへ半ば拉致された形でルースが加わり、最後はタラも同行することになって実に賑やかだ。彼ら一行を追うのは、ルースを取り戻すためには手段を選ばない無茶苦茶な彼女の父親モーゼス、そしてポールを追うゾイル捜査官と2人の新人捜査官。ゾイルがポールを追う理由にはどんでん返しが用意されているので注目。そして、影でゾイルに命令するビッグ・ガイを演じたのがあのシガニー・ウィーヴァーだとは、一瞬我が目を疑ってしまった。こういうシーンでソックリさんを起用するってパターンは結構観られるからね。元祖『エイリアン』のヒロインをこんな役柄で登場させるとは、そのウィットもさることながら、彼女自身もよくまぁこんな役柄を引き受けたものだとほとほと感心してしまう。
 ラストシーンではポールが自らの身の危険も顧みずグレアムを助けようとするのは、充分に予期していてもなお胸にグッとくるものがある。そして、『未知との遭遇』ではリチャード・ドレイファスがUFOに乗り込んでいったように、この作品ではタラがポールの星へと同行することになる。「歯ブラシを忘れた」と言うタラに「歯は必要じゃなくなる」と答えたポールに歯があるのは謎だけど(笑)。