評     価  

 
       
File No. 1544  
       
製作年 / 公開日   2011年 / 2012年02月03日  
       
製  作  国   アメリカ  
       
監      督   ブレット・ラトナー  
       
上 映 時 間   104分  
       
公開時コピー   全財産は、最上階(ペントハウス)。
  
この世には
タワーに棲める者と
タワーに勤める者がいる。
 

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最初に観たメディア  
Theater Television Video
 
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キ ャ ス ト   ベン・スティラー [as ジョシュ・コヴァックス]
エディ・マーフィ [as スライド]
ケイシー・アフレック [as チャーリー]
アラン・アルダ [as アーサー・ショウ]
マシュー・ブロデリック [as Mr.フィッツヒュー]
マイケル・ペーニャ [as エンリケ]
ティア・レオーニ [as クレア・デンハムFBI捜査官]
ガボレイ・シディベ [as オデッサ]
ジャド・ハーシュ [as Mr.サイモン]
スティーヴン・ヘンダーソン [as レスター]
ニナ・アリアンダ [as ロヴェンコ]
マルシア・ジーン・カーツ [as ローズ]
ジュアン・カルロス・ヘルナンデス [as マニュエル]
ジェリコ・イヴァネク
ロバート・ダウニー
 
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あ ら す じ    ニューヨーク・マンハッタンにそびえる65階建ての超高級マンション“ザ・タワー”。管理マネージャーのジョシュ・コヴァックスが、居住者のあらゆる欲求と優越感を満たす最上級のサービスを取り仕切っている。ある日ジョシュは、黒い車から現れた謎の男たちが、ペントハウスに暮らすウォール街の大富豪アーサー・ショウを拉致するのを見つける。ショウが誘拐されると思ったジョシュは、ショウを助けるために車を追ったが、クレア・デンハムFBI捜査官に制止されて、思いもよらない事実を知らされる。ショウは、証券詐欺罪でFBIに逮捕されて連行されるところだったのだ。ショウを尊敬していたジョシュは、裏切られた思いを隠せない。しかもショウは、ザ・タワーの使用人の年金運用を請け負い、そのお金を私的流用していた。年金だけでなく全財産をショウに巻き上げられた老ドアマンのレスターは、ショックのあまり地下鉄に飛び込んで自殺を図り、病院へ担ぎ込まれてしまうほどだった。
 ショウはペントハウスでの自宅監禁を条件に、1,000万ドルで保釈される。ジョシュはショウのもとに乗り込むが、謝罪もせず開き直るショウに怒りを爆発させ、リビングに飾られたフェラーリをゴルフクラブで叩き壊した。そのことが原因で総支配人からクビを言い渡されたジョシュだったが、ショウが逃亡資金として用意していたはずの隠し金2,000万ドルが見つからないという情報をクレアから聞き、従業員たちのためにもショウの隠した金を奪い取る決意をする。ペントハウスの壁に埋め込まれた金庫に金があると睨んだジョシュは、コンシェルジュのチャーリー、新米エレベーター・ボーイのエンリケ、ザ・タワーを強制退去させられたウォール街の負け犬フィッツヒュー、幼なじみの泥棒スライドとともに、ショウの財産強奪を計画するのだった。
 ところが、実は盗みの教えを請おうと思っていたスライドが、実は大金を盗んだこともなく、ショウの部屋にある隠し金庫を開けることもできないとわかり、錠前職人の父親を持つメイドのオデッサをも仲間に引き込んだ。300万人のパレード見物客で賑わう感謝祭の日、ジョシュたちは、FBIの24時間監視態勢に置かれたショウの住むペントハウスへ、スライドの裏切りに遭いながらもたどり着く。ところが、狙い通り壁に仕込まれた隠し金庫を開けてみると、中は空だった。
 茫然とするジョシュの目は、フェラーリの傷に釘付けになった。そして、フェラーリの塗装を剥がしてみると、その下から現れたのは金色に輝くボディだった。ショウは現金を金に替えて隠しており、その金額は4,500万ドルにも及ぶものだった。フェラーリを盗み出すことにしたジョシュたちは、使いようによってはフェラーリをはるかに上回る価値を生み出す品物を、車内から見つけ出すのだった・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    製作にも名を連ねているエディ・マーフィの持ち込んだ企画に、ベン・スティラーが賛同して2人の共演が実現した作品。普通に考えれば、当然主役のジョシュを演じるのはエディってことになるのだろうが、なぜか助演に収まっている。そのせいか、エディ扮するスライドというキャラクターがいなくても充分に成立するような内容で、付け足しに思えて仕方ない。
 難攻不落と言われる超高級マンションの“ザ・タワー”で暮らす大富豪のショウが、証券詐欺ばかりか従業員から預かった年金にまで手を付けてしまうという大悪党で、ジョシュに対して詫びるどころか平然と開き直る様は、誰が観ても不愉快に感じるだろう。おかげでラストでは爽快なカタルシスを味わうことができる。やはり悪役はこうじゃなきゃいけないね。
 観る前はベン・スティラーお得意のドタバタコメディかと思われたけど、ストーリーは意外とシリアスに展開し、特に間もなく退職・隠居を控えた老ドアマンのレスターが全財産を奪われて自殺未遂なんていうのは他人事とは思えずに考えさせらる。もっとも、そのお陰でショウに対する腹立たしさが倍増するってもんだけど。
 実際に素人集団がペントハウスで盗みを行うシーンは本当に素人感丸出しで、あんなじゃFBIの目を逃れることなんて無理!と思ってしまうが、この作品ではそれもアリだと思う。そして、フェラーリを屋上からクレーンで吊すシーンは、多分高所恐怖症の人が観たら卒倒するんじゃないだろうか。トム・クルーズの『M:i ゴースト・プロトコル』とは違う意味でハラハラドキドキさせられることは間違いない。
 周囲を固める脇役陣も個性的で、『プロデューサーズ』以来に観るマシュー・ブロデリックの落ちぶれぶりがなかなかいい感じ。ジョシュからダメ出しされてばかりのコンシェルジュ、チャーリーを演じたケイシー・アフレックも、今までとは全く異なる新たな一面を見せてくれている。『プレシャス』も良かったけど、ガボレイ・シディベにはこの作品のような役柄の方が似合っていると思うし、多分本人も嬉々として演じていたんじゃないかな。そして嬉しかったのは、オープニングのキャスト名の中にティア・レオーニの名を見つけた時。今までの役柄とは違う女傑だったが、それもまた魅力的だった。余談だけど、あのロバート・ダウニー・Jrの父親ロバート・ダウニー・Srが出演していたようだけど、気づいた人いる?