評     価  

 
       
File No. 1546  
       
製作年 / 公開日   2011年 / 2012年02月04日  
       
製  作  国   アメリカ  
       
監      督   ダニエル・バーンズ  
       
上 映 時 間   86分  
       
公開時コピー   魔法を解くのは、真実の愛。  

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最初に観たメディア  
Theater Television Video
 
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キ ャ ス ト   ヴァネッサ・ハジェンズ [as リンディ・テイラー]
アレックス・ペティファー [as カイル・キングソン]
メアリー=ケイト・オルセン [as ケンドラ]
ピーター・クラウス [as ロブ・キングソン]
リサゲイ・ハミルトン [as ゾラ]
エリック・ヌードセン [as テリー]
ダコタ・ジョンソン [as スローン]
ニール・パトリック・ハリス [as ウィル]
ジャスティン・ブラッドリー [as 生徒]
デヴィッド・フランシス [as デイヴィス医師]
ロック・ラフォーチュン [as リンディの父]
ジオ・ペレス [as ヴィクター]
 
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あ ら す じ    17歳の高校生カイル・キングソンは、母親がいなかったものの、父ロブ・キングソンは有名キャスターで仮定は裕福、その上にルックスにも恵まれていたが、わがままで考えの浅い少年だった。高校では絶大な人気を誇り、自分の容姿にうぬぼれ自信過剰になり、まるで王子様のように振る舞っていた彼はある日、ゴシック・ファッションに身を包み、陰で魔女と噂されているクラスメイトのケンドラを面白半分に侮辱してしまう。しかし、ケンドラはカイルの心無い仕打ちにも動じず、逆にカイルを戒めるのだった。
 噂は本当で、実際に魔法を使うことのできるケンドラは、カイルの外見を内面と同等の醜い姿に変えてしまう。そして、元の姿に戻すよう詰め寄るカイルに対して、一年以内に外見ではなく内面を見て愛してくれる人を見つけ、彼女から“I love you”の一言を言ってもらえれば、元の姿に戻れると答えた。しかし、もしもそれができなければ永遠に“ビーストリー(=忌まわしい)”の姿のままだというのだ。
 父が借りたマンションに盲目の家庭教師ウィルと家政婦のゾラをあてがわれて缶詰にされ、学校へも行かなくなったカイルのただ一つの望みは、控え目で今まで存在も気づかなかったクラスメイトのリンディ・テイラーの存在だった。カイルは密かにリンディの行動を見守るようになり、偶然にもリンディの父が2人の暴漢に脅迫されて相手の一人を射殺してしまうと言う場面に遭遇する。そして、生き残った男が殺された兄の敵に娘を狙うと言い残して逃げ去ったため、カイルはハンターと名乗ってリンディの父を強引に説き伏せ、リンディを自分が守るという理由で彼女を自分のマンションに引っ越させるのだった。
 こうして、ハンターを演じるカイルとリンディの奇妙な共同生活が始まる。果たして、カイルは1年以内にリンディの愛を得て元の姿を取り戻すことができるのだろうか・・・・・?
 
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たぴおか的コメント    実はホラー色の濃い作品を予想していたのだが、実は『美女と野獣』を現代版にデフォルメした小説を原作に描かれた作品だった。主演の2人が、『アイ・アム・ナンバー4』のアレックス・ペティファーに、『ハイスクール・ミュージカル』のヴァネッサ・ハジェンズという美男美女の組み合わせ。しかも、この手のファンタジーにはめっぽう弱い私としては、この作品を気に入らないはずはない。
 ラストはハッピーエンドで終わることがわかっている作品だから、気になるのはそこに至るまでのプロセスで、ビーストリーと化したカイルがあの手・この手を使ってリンディの気を自分に向けようという努力が滑稽だ。今まで何不自由なく暮らし、努力しなくても女性の方からアプローチしてきた、そんな羨ましいかぎりの人生を送ってきたカイルの魅力は、外面的な要素がすべてだったのだ。現実にそんな男が存在するかどうか、いささか疑問ではあるけど、それは多分私が今までカイルのような境遇に置かれたことがないためにそう感じるのかもしれない(泣)。
 そんなカイルが頼みの綱にしたのが、クラスでも目立たないリンディだったのが、彼女ほどの綺麗な女の子がクラスの中で目立たないというのは、カイルのような男が存在すること以上に疑問を感じる・・・・・と言うより、あり得ないと断言したい。性格は控え目だとしても、あれほどのルックスがあればそれだけで、男子生徒の注目を浴びることは間違いない。
 カイルがリンディを選んだのは打算からなのか、それともリンディに好意を抱いてのことなのか、後者の理由であって欲しいと思うものの、その辺りはハッキリと描かれてはいない。ただ、もしも打算から彼女を選んだとしても、リンディが次第にハンターに惹かれていったように、彼もまた計算抜きでリンディを愛するようになったことは間違いない。だから、“I love you”の一言を聞けないままに、旅立つリンディを見送りに行った時の彼は、晴れやかな態度でリンディの背中を押した。おそらくは、元の姿に戻れなくてもかまわないと思っていたことだろう。なぜなら、そんな姿のハンターをリンディは醜くないと言ってくれたからで、そのときの彼にはたった一人リンディだけがそう思ってくれれば他の誰が何と言おうと関係なかったはずだから。大勢の人がいる中でフードを脱いで素顔を晒した、そんな彼の行為からもそのときの気持ちが充分にくみ取れる。
 もう1人のキーパーソンである魔女のケンドラだが、私に言わせれば彼女は魔女どころか、むしろ女神とでも言うべき存在だ。彼女がしたことは決してカイルに対する腹いせなどではなく、あくまでもカイルに本当の愛を気づかせるためなのだ。しかも、さらにカイルが頼み込んだ2つの願いをちゃんと叶えてくれるとはね。カイルがリンディじゃなくてケンドラに恋するなんていう設定もまた悪くないんじゃないだろうか。ただし、もちろんケンドラを演じるのはヴァネッサ・ハジェンズでお願いしたいけど(笑)。