評     価  

 
       
File No. 1547  
       
製作年 / 公開日   2011年 / 2012年02月04日  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   飯塚 健  
       
上 映 時 間   115分  
               AUTB  
公開時コピー  
宝物はきっと、こ こ にある
 

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最初に観たメディア  
Theater Television Video
 
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キ ャ ス ト   林 遣都 [as リク(市ノ宮行)]
桐谷 美玲 [as ニノ]
小栗 旬 [as 村長]
山田 孝之 [as 星]
城田 優 [as シスター]
片瀬 那奈 [as マリア]
安倍 なつみ [as P子]
徳永 えり [as ステラ]
有坂 来瞳 [as ジャクリーン]
駿河 太郎 [as ラストサムライ]
平沼 紀久 [as ビリー]
末岡 拓人 [as 鉄雄(兄)]
益子 雷翔 [as 鉄郎(弟)]
手塚 とおる [as シロ]
井上 和香 [as 島崎]
浅野 和之 [as 高井照正]
高嶋 政宏 [as 国道交通大臣]
上川 隆也 [as 市ノ宮積]
 
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あ ら す じ    “他人に借りを作るべからず”その家訓に育った大企業の御曹司市ノ宮行は、恐れる父市ノ宮積から荒川の開発の妨げとなる不法占拠者を退去させろと命じられる。だがそこへ向かった矢先トラブルに遭遇した行は、自分を“金星人”だと名乗る謎の美少女ニノに助けられ、生まれて初めて他人に借りを作ってしまう。どうにか借りを返したい行にニノが出したお願いは「私に恋をさせてくれないか」というものだった。
 ニノに案内されて河川敷を訪れた行がまず紹介されたのは、どう見ても着ぐるみを着た河童の村長で、彼は行に“リク”という呼び名を付ける。さらに荒川河川敷には2人以外にも、星型のマスクらしきものをかぶったロックミュージシャンのやドSのマリア、男なのに尼僧の格好をしたシスターら、合計13人の奇怪で常識はずれな人々が住みついていた。
 理解不能の状態に戸惑いながらツッコミを入れるばかりのリクであったが、彼らと共に過ごすにつれて自分の居場所がここにあると思うようになっていく。金や権力がすべての生活では知りえなかった、束の間の楽しい日々。だが、強制退去の期日、そしてニノが金星に帰る日は刻一刻と近づいていた・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    こういう荒唐無稽なキャラクターが登場する破天荒な作品に弱いんだよなぁ。理屈抜きに打ちのめされてしまった。誰一人としてまともじゃない奇妙なキャラクターの13人が共同生活を送る荒川河川敷。どうしてあんな格好をして、なぜあんな場所で暮らしているのか?なんてことを考えちゃいけない。そうしたいから、そこにいたいから、理由なんてそれだけで充分なのだ。そして、そんな13人を退去させることとなったのが、彼らとは正反対で今まで理詰めで生きてきた林遣都扮するリクで、リクにとって河川敷の13人は当然ながら理解不能な存在なのだ。
 オフィシャルサイトのキャスト欄には、登場人物の顔写真と共に原作のキャラクターの画が添えられていて、それを見るといかにこの作品の登場人物のイメージが原作にピッタリに作られているかがわかる。そして、個人的には山田孝之の星が非常に気に入った。何度観ても飽きないあの顔をアップで見せられると、ついついひとりで笑いをかみ殺さずにはいられないんだよね。
 林遣都くんが主役で頑張っているけど、小栗旬扮する河童の村長や、山田孝之扮する星はもちろんのこと、金星人の桐谷美玲にも圧倒されてしまっているように思う。いや、圧倒されていると言うよりも、常識の塊のようなリクが、常識などという枠組みに縛られない自由で鷹揚な河川敷の13人と比べると、ちっぽけな存在に見えてしまったのかも知れない。誰もが何物にも囚われることのない真に自由な生き方を求め、けれども常識や良識が邪魔をしてしまい、自由でいるつもりでも実は不自由な生き方を強いられている。そんな鬱憤を13人が自分に成り代わって晴らしてくれる、そんなカタルシスが得られる作品なのだ。
 リクと対立することになる、上川隆也扮する父親・市ノ宮積も、リクに窮屈な生き方を強いている張本人のように見えて、実は自分のような生き方を踏襲して欲しくないと考えていたのは、ちょっと意外だった。だが、考えてみれば、彼が仕事至上主義のような生き方を選んだのも、妻を失ったことの反動であることは明らかで、だからこそ息子には自分と違う生き方を選んで欲しかったのだろう。もしかして、荒川河川敷の住民を退去させることを命じた裏には、リクの本質を見極めるという真の目的があったのかもしれない・・・・・なんて思うのは飛躍しすぎかな?
 それにしても、未だに気になって仕方ないのは、河童の村長の正体が何者なのかということ。高嶋政宏扮する国交大臣さえも震え上がらせるような存在とは?それと、ニノは一体どこへ飛んでいってしまったのだろうか?まさか、本当に金星まで飛んで行ったとは思えないけど・・・・・。