評     価  

 
       
File No. 1551  
       
製作年 / 公開日   2011年 / 2012年02月17日  
       
製  作  国   アメリカ  
       
監      督   アンドリュー・ニコル  
       
上 映 時 間   109分  
       
公開時コピー   すべての人類は25歳で
成長が止まる
 

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最初に観たメディア  
Theater Television Video
 
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キ ャ ス ト   ジャスティン・ティンバーレイク [as ウィル・サラス]
アマンダ・セイフライド [as シルビア・ワイス]
アレックス・ペティファー [as フォーティス]
キリアン・マーフィ [as レイモンド・レオン]
ヴィンセント・カーシーザー [as フィリップ・ワイス]
マット・ボマー [as ヘンリー・ハミルトン]
オリヴィア・ワイルド [as レイチェル・サラス]
ジョニー・ガレッキ [as ボレル]
コリンズ・ペニー [as タイムキーパー・ジェイガー]
ベラ・ヒースコート [as ミケーレ・ワイス]
シャイロ・ウーストワルド [as マヤ]
マイケル・ウィリアム・フリーマン [as ナーディン]
ジェス・リー・ソファー「 [as ウェブ]
アーロン・ペリロ [as ベル]
ニック・ラシャウェイ [as エックマン]
ウィリアム・ペルツ [as ピエール]
レイ・サンディアゴ [as ヴィクタ]
 
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あ ら す じ    近未来。科学技術の進化により老化は完全に無くなり、全ての人間の成長は25歳でストップする社会となった。この社会の大きな特徴は、唯一の通貨が“時間”であるということ。25歳になった瞬間から、左腕に埋め込まれたボディ・クロックが余命時間を刻み始める。限られた一部の“富裕ゾーン”の住人が永遠の命を享受する一方で、圧倒的多数の“スラムゾーン”の人々は余命23時間。生き続けるためには、日々の重労働によって時間を稼ぐか、他人からもらう、または奪うしかない。日々が熾烈なサバイバルだった。2つの世界には、“タイムゾーン”という境界線があり、互いの世界の行き来は禁じられていた。
 ある日、スラムゾーンに住む青年ウィル・サラスは、富裕ゾーンからやって来た、人生に絶望した男ヘンリー・ハミルトンから116年という時間を譲り受ける。ところが、その日用事を終えて帰宅しようとしたウィルの母親レイチェル・サラスが、残り2時間でバスに乗車しようとしたところ、前日までは1時間で乗車できた運賃が2時間に値上がりしていたために、やむなく走って帰宅する。けれども、ウィルから時間をもらえる寸前に時間切れとなってしまい、ウィルの腕の中で息絶えてしまう。残酷な運命に怒りを覚えたウィルは、この世界の謎に挑むことを決意し、タイムゾーンを超えて富裕ゾーンへ向かうのだった。
 富豪たちのタイム・ゾーンに着いたウィルは、カジノで出会った紳士フィリップ・ワイスにポーカーで勝利し、さらに大量の時間を手に入れる。そして、彼のパーティに招かれたウィルは、変化のない日常生活に辟易していたフィリップの娘シルビア・ワイスを紹介される。シルビアはウィルがタイム・ゾーンに到着した時から、好奇の目で彼を観察していたのだ。一方、時間を監視する時間監視局員のレイモンド・レオンは、スラム街で不審な死を遂げた大富豪ハミルトン殺害の容疑で、ウィルを追い始める。レオンに逮捕されたウィルは、残りわずかな時間を残してレオンに時間を奪われてしまうが、近くにいたシルビアを人質にとって逃走するのだった。
 ウィルの一方的な行動で始まった逃走劇だったが、絶体絶命の危機を潜り抜ける中で、シルビアはウィルの本当の目的に気づき始める。一体誰が何のためにこのようなシステムを作ったのか?2人の間には、いつしか共感を超えた恋心が芽生え、執拗な追跡をかわしながらの逃避行が続く。時間に支配された世界の果てで待ち受ける衝撃の結末とは・・・・・?
 
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たぴおか的コメント    『ステイ・フレンズ』のジャスティン・ティンバーレイクとアマンダ・セイフライドという組み合わせに惹かれて、初日のレイトショーに臨んだ。コピー通り人は25歳で成長が止まり、そこから先は裕福な者は100年、いや、1,000年あるいはそれ以上の余命が与えられ、貧しい者の余命は1年で時間が通貨、そんな近未来の世界を描いたSF作品で、文字通り“Time is money” の世界観だ。
 ジャスティン扮するウィルが帰宅すると、家にはオリヴィア・ワイルド扮する女性レイチェルが待っている。ウィルは彼女に対して「ママ」と呼びかけるのだが、それにはきっと誰もが「えっ!?」と思うことだろう。そして、ちょっと考えたら、誰もが見た目は25歳のままなのだからそれも当たり前だと気づくことになる。その辺りのつかみはなかなかのもの。
 全員が肉体的には25歳という設定だから、登場する俳優陣も皆若く、それだけで画面が華やかに感じられる。『ステイ・フレンズ』のジャスティン・ティンバーレイク(31)にアマンダ・セイフライド(26)、『アイ・アム・ナンバー4』のアレックス・ペティファー(21)、『トロン LEGACY』のオリヴィア・ワイルド(27)、そしておそらく最年長と思われるキリアン・マーフィですら35歳だ。
 わずかな余命を懸命に生きる貧困層に対して、余りある時間を湯水のように浪費する富裕層という描き分けは徹底している。シルビアがウィルを貧困層の人間だと疑ったのも、彼が走っているのを見たからだ。人生は限りあるからこそ輝けるし面白い。もしも無限とも言える時間を与えられたなら、確かに生きる目的を見失ってしまいそうだ。けれども、だからと言って、時間は余りあるがそれを使う術を持たない富裕層の人々にもそれなりの苦痛がある・・・・・なんて同情を私はしない。断じて。自らのために作り上げたシステムで自らが苦しむなど、自縄自縛もほどほどにしろと言ってやりたい。それでもなお、貧困層に時間を分け与えるくらいなら、自分で浪費した方がマシだというのか?時間はお金と違い、それを持たないと確実に人は死ぬというのに。
 予告編で観た限りでは、ウィルが一部の裕福な者たちのために現在のシステムがあることを知り、それを根本から覆すような展開が予想され、それに期待したのだが、蓋を開けてみると単にウィルとシルビアの2人が銀行強盗を繰り返して人々に時間を分け与えるというオチで、それには正直ガッカリした。人々のためとはいえ、所詮泥棒は泥棒、犯罪者に過ぎないのだから、彼らの行ったような行為が犯罪にならない社会に変える、そうこなくちゃ消化不良に陥ってしまうのは確実だ。
 キリアン・マーフィ扮するレオンの時間監視局員って、もっと高給取りだと思ったら、たった1日分の時間しかもらっていなかったとは意外。結構命懸けの仕事だと思えるし、事実もしもウィルに悪意があったならば、レオンは作品半ばで早々に時間切れとなってお役御免になるところだったし。彼もまた富裕層から時間を搾取される側の人間だったということだろうか?。
 いつものブロンドを隠して赤毛のウィッグでショート・ボブにしたアマンダ・セイフライドだが、私はこの作品の髪型の方が似合ってていいと思う。そしてそう感じた理由が、実は額を隠している点にあると、この作品で初めて気づいた。また、多分同じ事がオリヴィア・ワイルドにも言えると思う。彼女が最も可愛く見えた『トロン LEGACY』のクオラも、やはり肩まで届かないショートカットで、額は髪に隠れていたから。