評     価  

 
       
File No. 1559  
       
製作年 / 公開日   2011年 / 2012年02月25日  
       
製  作  国   アメリカ  
       
監      督   マイケル・ブラント  
       
上 映 時 間   98分  
       
公開時コピー   「ウォンテッド」のマイケル・ブラントが仕掛ける
100%予測不可能な罠!
 

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最初に観たメディア  
Theater Television Video
 
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キ ャ ス ト   リチャード・ギア [as ポール・シェファーソン]
トファー・グレイス [as ベン・ギアリー]
スティーヴン・モイヤー [as ブルータス]
オデット・ユーストマン [as ナタリー]
スタナ・カティック [as アンバー]
クリス・マークエット [as オリバー]
テイマー・ハッサン [as ボズロスキー]
マーティン・シーン [as ハイランド]
 
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あ ら す じ    メキシコ、アメリカに隣接するソノーラ砂漠。国境警備員を殺害し、アメリカに渡ろうとする一団がいた。それから6ケ月後、ワシントンでロシアと密接な関係を持つダーデン上院議員が暗殺され、その手口から浮かび上がったのは、死んだはずのソビエトの伝説のスパイ“カシウス”の痕跡だった。CIA長官ハイランドは、カシウスをリーダーとする暗殺集団“カシウス7”の追跡にキャリアを捧げ、今は引退した元エージェントのポール・シェファーソンを呼び戻し、議員を内偵していたFBIの若手捜査官ベン・ギアリーと共に事件解決にあたらせる。ポールは、すでにカシウスは死亡し、議員殺害も模倣犯によるものと考えていたが、渋々捜査に協力することとなった。
 一方、カシウスに魅せられ、大学で彼についての修士論文も書いているベンは、カシウスが殺しを復活させたと確信する。そんな中、2人はかつてポールが射殺したはずの“カシウス7”の一人ブルータスがまだ獄中で生きていることを知る。ポールはカシウスの死を証明するため、ベンを連れて刑務所へ赴くと、ブルータスから「暗殺者の掟を破ったカシウスにはある“罰”が下された」と聞かされる。そして2人が帰った直後、情報と引き換えに入手したラジオの電池を飲み込み病院へ運ばれたブルータスは見事脱走に成功するがが、カシウスを名乗る男に捕まり惨殺されてしまう。
 カシウスの魔の手は、ベンにも伸びていた。家族のいないポールは、自分と違い妻や子供という守るべき者がいるベンに捜査から外れるよう命じるが、カシウス逮捕にこだわるベンは全く聞く耳を持たない。そんな中、半年前の国境警備員殺害事件の際に奪われた車が発見される。監視カメラに映っていたのは、元特殊部隊でKGBのボズロスキーの姿だった。彼とカシウスが同じ時期に表舞台から姿を消し、20年後に再び出現したことから、本部ではポールの考えに従ってカシウス=ボズロスキーの線で捜査が進められていく。しかしベンは、過去の事件の検証から、カシウスの真の正体に気づく。一方、ポールも最後の落とし前をつけるため、ボズロスキーの元へ向かっていた・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    どうもこのところ単館系の作品が多いように思えて仕方ない、リチャード・ギアの主演作。スケールメリットで集客を見込めるメジャー作品には、彼のような演技の巧さよりも、話題性や華やかさ・若さといった表面上の訴求力を求めるからなのかもしれないが、先日の『ドラゴン・タトゥーの女』などは、ダニエル・クレイグよりもリチャード・ギアがミカエルを演じた方が良かったのではないかと、この作品を観て気がついた。
 原題の“The Double”とは二重スパイを意味するようで、実は・・・・・・と言いたいところなのだが、この先を書いてしまうと強烈なネタバレになってしまうので、この場でぶちまけるわけにはいかない。そして、邦題『顔のないスパイ』とは明らかにソ連のスパイ、カシウスを指していて、驚くべきことに彼の忠臣とも言うべき“カシウス7”のメンバーでさえも、カシウスの顔を知らないのだ。そして、カシウスが一体何者なのか?が当面の最大の謎として提供されるのだが、実は随分早い段階でカシウスの正体がわかってしまう。こんなに早く最大の謎を解き明かしてしまっていいのだろうか?なんて思っていたら、最後にさらなるどんでん返しが用意されているのだ。
 上院議員を殺したのは、リチャード・ギア扮するポールが睨んだ通りカシウスの模倣犯だったのだが、皮肉なことにCIAがその犯行をカシウスの仕業だと考えたために、20年もの間眠っていたカシウスを目覚めさせてしまうのだ。カシウスが20年間表舞台から姿を消していたのには当然理由があり、おそらく虚しさのためから仕事への情熱を失ったことが最大のであり、もうひとつは彼を虚しさへと追いやった仕打ちに対する報復を終えたと判断したからだ。ところが、上院議員暗殺をきっかけに、カシウスは自分の為すべき仕事が残っていたことを知らされるのだ。
 こんな書き方をしてしまうと、自ずとカシウスが何者なのかがバレてしまうが、先にも書いた通りカシウスが何者かという謎はそれほど重要ではなく、原題の二重スパイの意味が明らかにされる、さらに大きなどんでん返しが待っているのでご安心を(笑)。ただ、真相が明らかにされるシーンがあまりに駆け足で、あれあれ?なんて思っているうちに過ぎてしまうので注意が必要だ。実は私も真相が明らかにされて、それまでの事実と頭の中で照らし合わせているうちに場面が切り替わってしまい、よく理解できなかった点が残っている。尺も短めなことだし、無料ポイントを使ってもう一度劇場で観てみたいなんて思っている。