評     価  

 
       
File No. 1566  
       
製作年 / 公開日   2011年 / 2012年03月10日  
       
製  作  国   アメリカ  
       
監      督   ガイ・リッチー  
       
上 映 時 間   129分  
       
公開時コピー   もう一人の天才、現わる。  

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最初に観たメディア  
Theater Television Video
 
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キ ャ ス ト   ロバート・ダウニー・Jr [as シャーロック・ホームズ]
ジュード・ロウ [as ジョン・ワトソン]
ノオミ・ラパス [as シム]
ジャレッド・ハリス [as ジェームズ・モリアーティ教授]
レイチェル・マクアダムス [as アイリーン・アドラー]
スティーヴン・フライ [as マイクロフト・ホームズ]
エディ・マーサン [as レストレード警部]
ケリー・ライリー [as メアリー・ワトソン]
ジェラルディン・ジェームズ [as ハドソン夫人]
ポール・アンダーソン [as セバスチャン・モラン大佐]
ウィリアム・ヒューストン [as クラーク巡査]
ウォルフ・カーアー [as ホフマンシュタール医師]
 
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あ ら す じ    ヨーロッパ各地で連続爆破事件が発生する。それぞれ独立して起きたと思われていた一連の事件だが、実はそれらの事件すべての裏である人物が糸を引いていると確信していた男がいた。名探偵シャーロック・ホームズだった。ホームズが事件の黒幕と睨んでいたのは、世界的に高名な数学者のジェームズ・モリアーティ教授で、表面上は温和な人格者を装っているものの、その正体は良心のカケラも持ち合わせていない“犯罪界のナポレオン”で、ホームズも認める“もう一人の天才”だった。
 悪の天才・モリアーティ教授の野望を阻止することができるのは、ホームズの他に誰もいない。ところが、そんな一大事を前にして、ホームズの助手を務める親友のジョン・ワトソンは、メアリーとの結婚そして新婚旅行を控えていた。そんなワトソンに危害が及ばないようにとのホームズの願いも虚しく、モリアーティはワトソンをもホームズと共に抹殺すると宣言するのだった。
 新婚旅行に旅立ったワトソンとメアリーを、モリアーティの一味が襲撃するが、事態を予見していたホームズに助けられ、メアリーはホームズの兄・マイクロフト・ホームズに預けられる。こうして、ホームズとワトソンの2人は、事件の鍵を握るジプシーの占い師シムの一行と共に、モリアーティの陰謀を阻止するために行き出す。しかし、ことごとくモリアーティに先手を打たれてしまうホームズたちの行動は、常に後手に回ってしまう。そして、世界平和会議が行われるスイスへ、両者の決戦の地は持ち越されるのだが・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    2作目にして早くもホームズの宿敵・悪の帝王モリアーティ教授が登場するこの作品。前作にも増してアクション色の強い作品になっていて、探偵物というよりもアクション・エンターテイメントに大きく振られている。ただ、世界の名探偵を机上の探偵と体を使って解決する探偵に2分するならば、ホームズは明らかに後者に属する探偵で、確かボクシングをたしなんでいたはずだから、この作品のようなアクションにもさほど不自然さは感じなかったけど。
 そのホームズ役のロバート・ダウニー・Jrだが、さすがに1作目の時は違和感があったのだが(むしろ私が勝手に抱いていたホームズのイメージはジュード・ロウの方が近かった)、2作目ともなると違和感も消え失せてそれらしく見えてくる。ホームズらしい茶目っ気もタップリで、冒頭とラストで見せる保護色のスーツや、ワトソンの新婚旅行の列車内で見せる女装には笑わせてもらった。そして、ワトソンがタイプライターで“The Endo”と結んだその後に、ホームズがこっそりと“?”を付け加えるあたり、続編が製作される可能性がうかがえるね。ただ、もし続編が作られたとしても、レイチェル・マクアダムス扮するアイリーンにはもうお目にかかれないのが非常に残念ではある。
 やっぱり出てきたね。『ミレニアム』3部作で元祖ドラゴン・タトゥーの女・リスベットを演じたノオミ・ラパスが、ついにハリウッド進出だ。しかも、この後にはリドリー・スコット監督の大作『プロメテウス』で堂々と主演を務めるようだ。どうも見慣れてしまったせいか、あのピアスだらけの顔の方が美人に見えてしまう彼女だが、残念ながらこの作品では彼女の個性が生かされているとは言い難い・・・・・なんて思ってしまうのは、やはりリスベットのイメージがあまりにも強烈に記憶に焼き付いているせいだろうな。いかにしてリスベットのイメージを払拭するのか、そこが今後の彼女の成否の鍵になるんじゃないかな。
 私はシャーロック・ホームズシリーズはほとんどを小学生の時に読破しているが、そうじゃない観客にとっては、ホームズ最大の敵であるモリアーティ教授がいかに優れた知能犯であるかが描かれていないため、単に膨大な資金と組織力に物を言わせる悪党の親玉的な存在にしか見えないんじゃないだろうか。ホームズが命を懸けてまで対決するにふさわしい相手であることを示さなければ、あのクライマックスは単にホームズが肉弾戦で勝てないためにあんな行動をとったと勘違いされても仕方ないだろう。ちなみに、あのホームズもろとも滝壺に転落するというモリアーティの最後は、原作に忠実に描かれているようだ。