評 価
File No.
1599
製作年 / 公開日
2012年 / 2012年05月12日
製 作 国
日 本
監 督
英 勉
上 映 時 間
96分
公開時コピー
“S”の復活
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最初に観たメディア
Theater
Television
Video
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キ ャ ス ト
石原 さとみ
[as 鮎川茜]
瀬戸 康史
[as 安藤孝則]
高橋 努
染谷 将太
[as 榎本]
高良 光莉
山本 裕典
[as 柏田清司]
田山 涼成
[as 小磯勇吾]
橋本 愛
[as 貞子]
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あ ら す じ
女子高に勤務する教師の
鮎川茜
は、ある日授業中に携帯に夢中になっている生徒・典子を見つけ、彼女から携帯を取り上げる。典子は今噂になっている“呪いの動画”を探していたという。“呪いの動画”とは、ニコニコ動画というWebサイトで公開された自殺の生中継の映像で、その生中継を偶然見ていた人が不可解な死を遂げたというものだった。その動画は削除されたはずにもかかわらず、今もなおWeb上にゲリラ的にアップされていて、それを観た者もまた、謎の自殺を遂げていたのだ。
ところが、典子もまたその夜にマンションのガラス窓を突き破って転落死してしまう。そして茜は、事件を担当する刑事の
小磯勇吾
から他にも動画を観た直後に自殺するという不審死が相次いでいることを知らされる。怪奇現象などを信じない小磯は、事件を自殺で片付けようとしていたが、やがて茜はそれが単なる自殺でないことを思い知らされる事件に遭遇する。
典子の死の理由を知ろうと、放課後の自習室で“呪いの動画”を探していた生徒が、“呪いの動画”についにたどり着く。男が自殺するシーンが映された後、「お前じゃない」という言葉と共に、パソコンのディスプレイから女の手と髪が伸び、彼女の首を絞め殺そうとしているところに、茜は遭遇したのだ。女性とは危うく難を逃れたものの、彼女も茜も、実際に自分の目で見たものを信じられずにいた。
“呪いの動画”の提供者である
柏田清司
は、動画の中で“S”が復活すると語っていた。そして、自分が求める相手が茜であることを知った“S”の魔手は、茜自身へはもちろんのこと、恋人の
安藤孝則
の身にまでも伸びるのだった・・・・・。
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たぴおか的コメント
そもそもこの作品を劇場で観るつもりなんてなかったのだが、先週末の観客動員数が2位だったこと、自分の会社が製作していること、TOHOシネマズのフリーパスポートのおかげで3D料金の300円で観られること、それに石原さとみが主演であること、その4つの理由から劇場で観たのだが・・・・・後悔先に立たず。ナゼこの作品が『幸せの教室』よりも観客動員数が多かったのかふしぎだったのだが、劇場へ行ってみて何となく理由がわかった気がする。
平日の夕方という、普段では絶対にあり得ない時間の上映だったが、中学生らしき10名ほどの集団が陣取っていて、上映中も喋りまくってうるさいのなんのって・・・・・。ああいう、普段は映画なんてほとんど観ないような中高生が押しかけた結果の動員数に違いない。おそらく、レイトショーだったら客層も違っていたことだろうし、お喋りにイライラさせられることもなかったかもしれない。
邦画の中では3Dが生かされている作品であることは間違いない。PCのモニターから貞子の手が伸びてくるシーンは、3Dならではの迫力だ。ただ、それも最初だけで、2度目、3度目と貞子の手が伸びてきても、もはや全く驚くこともなかった。オフィシャルサイトのトップページでは、この作品を観て「怖い」という感想のコメントを動画で紹介しているが、私にはそれがヤラセに思えてしまうほど、怖いどころかむしろ滑稽に感じてしまった。
“滑稽”という言葉が最も的を射ているのが、井戸の中から次々と飛び出してくる貞子の化身(?)だか何だかわからない、得体の知れない化け物だ。そもそも、貞子が怖いのは実体がないためなわけで、あんな姿(私にはカマドウマにしか見えない)で具現化されてしまっては、怖さなど感じるはずもない。ただ、“怖い”という感覚はもちろん主観的なものだから、私は怖くなくても別の人が観れば怖いと感じるかもしれないが。
貞子がこの世に知れ渡ることとなった小説『リング』は面白いと思った。だが、シリーズ3部作の2作目となる『らせん』には幻滅させられたため、3作目の『ループ』は読む気がしなかった。ましてや、この作品の原作となる書き下ろし『エス』など存在すら知らなかった。まさか鈴木光司がここまで貞子ネタを引っ張るだなんて、思ってもいなかったから。そして、回を重ねる毎に、小説は間違いなくパワーダウンしている。映画『リング』から14年も経過して、今さら貞子が復活などと言われても、インパクトに欠けるのはやむを得ないだろう。