評     価  

 
       
File No. 1609  
       
製作年 / 公開日   2011年 / 2012年06月02日  
       
製  作  国   フランス  
       
監      督   ベルトラン・ボネロ  
       
上 映 時 間   125分  
       
公開時コピー   20世紀初頭、パリ
美しく儚い女たち
 

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最初に観たメディア  
Theater Television Video
 
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キ ャ ス ト   アフシア・エルジ [as サミラ]
セリーヌ・サレット [as クロチルド]
ジャスミン・トリンカ [as ジュリー]
アデル・エネル [as レア]
アリス・バルノール [as マドレーヌ]
イリアーナ・ザベート [as ポーリーン]
ノエミ・ルボフスキー [as マリー・フランス]
 
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あ ら す じ    20世紀初頭、華やぐパリ。高級娼館“アポロニド”の女たちは、毎夜美しく着飾り、男たちの欲望を満たす。しかし、美しく華やかな表舞台とは裏腹に、娼館の日常は女たちの孤独、苦悩、不安、痛みが渦巻いている。
 娼館一の美人だったが、客の男に騙され、顔に酷い傷を負ったマドレーヌ。自分の常客に本気で恋をし、いつか彼が娼館から連れ出してからくれることを信じるジュリー。若いときから12年もの間娼館で働き、先が見えないレア。美しく華やかな世界に憧れてやってきた16歳の新人ポーリーン。そして、女たちに金を貸し、彼女らを決して手放さない家主マリー・フランス。しかし、娼館と女たちを取り巻く状況が次第に変わっていき、閉館を余儀なくされる・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    ヒューマントラストシネマ渋谷で行われていた「未体験ゾーンの映画たち」の最後となる作品で、キャンペーン対象作品はすべて1,200円という割安価格で公開されていたために、この作品も劇場で観ることにした。多分、通常の1,800円では観なかったはずのこの作品、観終えた感想は「1,800円だったら観ずに済んだのに」だった。
 登場人物が多く、しかも際だった特徴が見られないために、常連客に顔を切られるという悲劇に見舞われたマドレーヌ以外は、結局誰が誰なのかわからずに終わってしまった。数多い登場人物の中、主人公と言うべきキャラクターが存在しないのがその理由だろう。誰か一人を中心に据えて、彼女との関わり合いで他の女性たちを描いてくれていれば良かったのだが、残念ながら焦点がぼやけてしまっていて、単なる出来事の積み重ねを描いた平板な映像で終わってしまったようだ。
 マドレーヌがなぜ顔を切られたのか、その点だけが気になって仕方ない。それに、マダムに借りた金を返すためにやむなく働く他の女性たちと違い、借金もないのに志願して娼館で働くこととなったポーリーンがどうなってしまったのか。何もわからず、消化不良のまま終わってしまった後味の悪さだけが残る作品だった。