評     価  

 
       
File No. 1613  
       
製作年 / 公開日   2011年 / 2012年06月01日  
       
製  作  国   アメリカ  
       
監      督   ザ・ヴィシャス・ブラザーズ  
       
上 映 時 間   93分  
       
公開時コピー   あなたも、必ず遭遇<エンカウンター>する。  

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最初に観たメディア  
Theater Television Video
 
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キ ャ ス ト   ショーン・ロジャーソン [as ランス・プレストン]
ユアン・リーディンガー [as マット・ホワイト]
アシュレイ・グリツコ [as サシャ・パーカー]
マッケンジー・グレイ [as ヒューストン・グレイ]
マーウィン・モンデサー [as T.C ギブソン]
 
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あ ら す じ    プロデューサーのランス・プレストン、アシスタントのサシャ・パーカー、カメラマンのマット・ホワイト、技術スタッフのT.C・ギブソン、そして霊能力者のヒューストン・グレイらクルーは、超常現象を追うリアリティー重視のTV番組「グレイヴ・エンカウンターズ」の撮影で、1960年に閉鎖されたコリンウッド精神科病院を訪れる。
 そこでは、かつてロボトミー手術が行われており、幽霊を見たり物音を聞いたという証言が多く寄せられている場所だった。超常現象を信じていないランスたちは、視聴者を怖がらせる映像を撮るためいつも通りの演出をしようと、軽い気持ちでカメラを手に病院内部に入った。そして、入り口には施錠をさせ、翌朝6時に管理人が迎えに来るまでの時間を、廃墟となった病院内で過ごすこととなったが・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    『パラノーマル・アクティビティ』以来、ホラーといえばフェイク・ドキュメンタリーといった感がある(それは、私がフェイク・ドキュメンタリー物しか観ていないからだとも言える)が、もういい加減この手の作品にも観飽きてきた。それでも、今までとは違った怖さ、怖がらせ方を体験できるのではないかと劇場へ向かったのだが、期待は虚しく散ってしまった。
 超常現象を追うグループ、“グレイヴ・エンカウンターズ(=墓との遭遇隊)”が、舞台となる廃墟と化した精神病院でインタビューを撮るが、それが実はヤラセ。メンバーに同行した霊能力者のヒューストンも偽者。そして何よりリーダーのランスが、これから超常現象と遭遇しようとするにはあまりに軽過ぎるノリ。そんな彼らが本物の超常現象に遭遇しても自業自得で、おかげで次に何が起きるのか、醒めた目で冷静に観察できてしまう。
 最初に少女の幽霊(?)と遭遇するまでは、ドアが勝手に開いたり、車椅子がひとりでに動いたりと、今時そんなもので怖がる観客がいるとは思えないほどありふれた描写の連続で、あまりに退屈過ぎる。そして、その時点ですでに劇場で観たことを後悔委させられた。ところが、怖がらせようという意識があまりに過剰なためか、後半になると打って変わって今度は幽霊ありゾンビもどきあり、果ては過去のロボトミー手術の場に遭遇するなど、脈絡などお構いなしの節操のなさはかえって逆効果だ。
 いくら科学で説明が付かないのが超常現象だとは言っても、それが実際に起こりうるような現象だからこそ怖いのであって、これほど何でもアリだと現実感など完全に喪失してしまい、もはや滑稽でしかない。いかにもアメリカらしいと言ってしまえばそれまでだが、音で驚かせる、あるいは突然暗闇から何者かが襲ってきて驚かされるような、そんなありきたりの手法ではなく、背筋に鳥肌が立つような心理的な怖さを味わえる作品を製作してほしいものだ。