評     価  

 
       
File No. 1619  
       
製作年 / 公開日   2012年 / 2012年06月16日  
       
製  作  国   アメリカ  
       
監      督   スコット・ヒックス  
       
上 映 時 間   101分  
       
公開時コピー   一枚の写真が、二人を出逢わせ、愛を揺さぶる。  

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最初に観たメディア  
Theater Television Video
 
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キ ャ ス ト   ザック・エフロン [as ローガン・ティーボウ]
テイラー・シリング [as ベス・グリーン]
ブライス・ダナー [as エリー・グリーン]
ライリー・トーマス・スチュワート [as ベン]
ジェイ・R・ファーガソン [as キース・クレイトン]
アダム・ルフェーヴル [as クレイトン判事]
ロバート・ハイエス [as ヴィクター]
ジョー・クレスト [as ムーア保安官代理]
シャロン・モリス [as ミラー校長]
アン・マッケンジー [as シャルロッテ・クレイトン]
ケンドール・タトゥル [as エース(ベスの兄)]
コートニー・J・クラーク [as ローガンの姉]
 
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あ ら す じ    イラク戦争に派遣されたアメリカ海軍軍曹ローガン・ティーボウ。ふと、見知らぬ女性が写った一枚の写真が落ちていることに気づき拾ったところ、それまで彼が座っていたところが爆破され、彼は九死に一生をえる。それ以来、多くの仲間たちが戦争に散っていく中、ローガンは3度の任務派遣を終え無事に帰国する。帰国後、戦争の後遺症に苛まれる彼だったが、写真の彼女に会いに行こうと思い立つ。写真の景色の灯台がルイジアナにあることをネットで探し当てたローガンは、戦地での相棒だった犬のゼウスとともに彼女を探す旅に出るのだった。
 写真に写る本人・ベス・グリーンの居場所を知り訪ねたローガンだが、ベスにスタッフに応募してきたと勘違いされて、写真を手渡すことができないまま彼女が祖母エリーと営むケンネルで仕事をすることになる。そして間もなくローガンは、ベスが7歳の息子ベンを連れて離婚したが、元夫のキースは彼女に未練があり、彼が判事の父親の権力を使ってベンを取り上げてしまうことをベスは唯一恐れていることを知るのだった。
 当初ベスはローガンに心を開かなかったが、熱心に働く様子や家族たちとともに接するうちに、2人は次第に惹かれあうようになる。しかし、ローガンが写真を頼りにベスを探していたことを知ったキースが、勝手にローガンの部屋から盗み出した写真をベスに見せてしまったことで、ローガンとベスの間に亀裂が生じてしまう・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    相変わらず爽やかなザック・エフロン君を主演に据えて、『きみに読む物語』の原作者の手になる同名小説を映画化した作品。ザック・エフロンといえば、『ヘアスプレー』や『セブンティーン・アゲイン』で観た時のスリムなイメージが強いのだが、この作品では意外にゴツイ体型を披露してくれていることに驚いた。それが役作りのためのボディ・コントロールの成果なのか、あるいは単に太っただけなのかはわからないけど。
 『君読む』もそうだったが、この作品の舞台となるミネソタも、水のある景観が美しい。そして、ヒロインのベスを演じたあテイラー・シリングのクセのない美しさが景観に映える。夫と離婚して子供を育てながら生きる母親の強さが感じられるのは、キャスティングが成功だった証左だろう。ただ、そんな彼女がキースのようなトンデモ男を好きになったとはちょっと考えにくく、さらには、海兵隊である兄が味方に誤射された可能性があるために、同じ海兵隊員だったローガンに偏見を抱くのは理解できなくもないが、彼が自分の元に訪れた真の理由を知った途端ローガンを拒絶するのにはどうしても不自然さを感じてしまった。
 彼女が肉親である兄を大切に思うのは当然だし、その死にトラウマを持ってしまうのも無理ないだろう。けれども、ローガンが誤って兄を撃って死なせたワケでもなく、むしろ兄が自分の命と引き替えにローガンという伴侶となるべき男性を導いてくれたのだと考える方が自然じゃないだろうか。その辺りに、一波乱の場面を作り出そうとしたフィクション作品の作為を感じてしまった。それにしてもキースを演じるジェイ・R・ファーガソンの悪役ぶりは見事で、父親の権力を笠に着てやりたい放題の卑劣さには、スクリーンの上での話であるにもかかわらず腹立ちを感じずにはいられない。これほど卑劣な男が2人の邪魔をする以上、ローガンとベスが結ばれるには彼が死ぬしかないと思えるほどで、事実その通りの展開だったのはやはり創作である所以かもしれない。
 そんなことを感じながらもなお、2人がそのまま別れてしまうのではないかという展開にはハラハラさせられる。そして、見事作者の思うツボにはまった私は、結局ラストシーンでは胸が熱くなるのを抑えられなかった。やっぱり私はこの手のラブストーリーに極端に弱いということを再確認した作品だった。