なぜか今年は80年代にシュワちゃん主演で公開された『コナン・ザ・グレート』、『トータル・リコール』が立て続けにリメイク(『コナン』に関してはリメイクとは言えないかもしれないが)され、その先陣を切るのがこの『コナン・ザ・バーバリアン』。1982年のシュワちゃん主演『コナン・ザ・グレート』も原題はこの作品と同じ“CONAN THE BARBARIAN”で、父の敵を討つためにコナンが剣を手に闘うという大筋は同じだが、なぜか細部は微妙に違っている。
主演のジェイソン・モモアは、若い頃のシュワちゃんと比べるとさすがに体脂肪率が高そうではあるけど、強烈な個性のバーアリアン・コナン像を作り上げている。ただ、『グレート』と比べると作風が全体的に軽くなり、『コナン2』とまではいかないまでも、娯楽作へと振られているような気がする。そのせいか、シュワちゃんのコナンがいかにも孤高の戦士というイメージで、タルサ・ドゥームに父ばかりか愛するヴァレリアをも殺されてしまったコナンの悲壮感、孤独さがひしひしと伝わってくるのに対し、モモアのコナンからは父親を失った悲しみが伝わってこなくて、しかも恋人を殺されたりなんてしないから、カラー・ジムを討つという動機が希薄に感じてしまう。もっとも、悲壮感を背負った孤高のヒーローなんて、今の時代には流行らないのかもしれないけど。
コナンの宿敵も、謎めいたタルサ・ドゥームの怖さに比べ、今回のカラー・ジムは申し訳ないが迫力不足で怖さも感じられない。魔力を秘めた仮面を復活させて世界を手に入れたような大口を叩くわりには、その魔力を使って何をするかと言えば妻を甦らせるだけ。最後もあまりに呆気なさ過ぎる。むしろ、彼の娘・マリークの方が不気味で憎らしさ充分だ。そんな彼女、『プラネット・テラー in グラインドハウス』で片脚にマシンガンを装着したヒロイン・チェリーを演じていたとは、当然ながらまったく気づかなかった。『プラネット・テラー』から既に5年が過ぎているし、今回の彼女は強烈なメイクとヘアスタイルで、当時の面影なんて微塵も残っていないから、これで気付と言う方が無理だろう。
そんなわけで、主役であるシュワちゃんとモモアの違いは抜きにして、私はそのダークな世界観からも『グレート』の方が素直に好きだ。ただ、どちらが原作の世界観を忠実に再現しているのか、それを確かめる術はないのが残念だけど。映像技術という点では、CGを駆使したモモア版が見応えあるし、一方の『グレート』の方はと言うと、映画としての出来映えの評価はあまり芳しくなかったようで、好き嫌いは分かれそうだ。
また、この作品では最近名前を聞かなくなった懐かしい人物がにお目にかかれる。日本でも一世を風靡した格闘家ボブ・サップで、モモア扮するコナンとの船上での肉弾戦では、ここぞとばかりに存在感をアピールしている。