評     価  

 
       
File No. 1626  
       
製作年 / 公開日   2011年 / 2012年06月30日  
       
製  作  国   アメリカ  
       
監      督   マーカス・ニスペル  
       
上 映 時 間   112分  
       
公開時コピー   斬って!
斬って!
斬りまくれ!
 

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

最初に観たメディア  
Theater Television Video
 
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
キ ャ ス ト   ジェイソン・モモア [as コナン]
レイチェル・ニコルズ [as タマラ]
スティーヴン・ラング [as カラー・ジム]
ローズ・マッゴーワン [as マリーク]
サイード・タグマウイ [as エラ・シャン]
ロン・パールマン [as コリン]
レオ・ハワード [as コナン(子供時代)]
スティーヴン・オドネル [as ルシウス]
ラード・ラウィ [as ファサール大祭司]
ノンソー・アノジー [as アータス]
ボブ・サップ [as ウカファ]
ミルトン・ウェルシュ [as レモ]
 
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
あ ら す じ    有史以前。暗黒帝国アケロン族は、歴代王の骨を寄せ集めて作った仮面と王の娘を生贄にして得た無敵の妖術で地獄から霊を召喚し、ハイボリアの民を支配する。しかし、仮面はバーバリアンによって破壊され、その破片は各地に埋葬された。もしその仮面が復元されれば悪の魂が復活し、世界は再び闇に覆われてしまう。
 敵の剣に倒れた女戦士である母の死と引き換えに戦場で生を受けた男児コナン。11年後、コナンは小柄ながら戦意だけは人一倍強い少年に育った。ある日、コナンの暮らす村がアケロン族の騎士カラー・ジム率いる一団に襲撃される。彼の目的は村に埋葬された古代王の骨の破片。その骨は強大な地獄の力を得る為の儀式に必要な最後の破片であった。父コリンの犠牲と引き換えに生き延びたコナンは、父を惨殺したアケロン族の騎士に復讐の憎悪を募らせる。
 20年後、成長したコナンは、友人アータスと共に“ホーネット号”を駆る義勇海賊を率いていた。ある時コナンは、立ち寄った港で偶然にも父が殺された時にカラーに同行していた男を発見する。コナンは彼に近づき、父を殺したのはカラーで、現在ある女を“赤い森”で捜していることを聞き出す。カラーは、強大な地獄の力を得て、更に殺された妻を生き返らせようとしていた。その為には、古代王の骨を集めて完成した仮面の他に、生け贄となる“ある女”の血が必要であった。
 カラーの一団は僧院を襲撃するが、それを目撃したコナンが逃げ出した女性タマラに加勢し、カラーの手下たちを次々と剣でなぎ払い叩き落とす。カラーが狙う女なら囮に使えそうだと考えたコナンは、追ってきた手下の一人を生け捕りにして伝令に使いカラーを砦跡に誘き出す。だがカラーは、妖術の使い手である娘・マリークを潜ませていた。マリークの呪文によって、邪悪な砂の戦士が次々と大地から飛び出しコナンを襲う。意識が朦朧とするコナン、絶体絶命のピンチにタマラの手助けにより二人は断崖からダイブし難を脱した。
 その夜、タマラを狙いウカファ率いる奇襲団が“ホーネット号”を襲来。奇襲団を撃退したコナンたちであったが、明け方、一瞬の隙にタマラがマリークに捕まり難攻不落のカラーの砦に連行される。カラーが探していた“ある女”とはタマラだった。そして砦ではある儀式の準備が進められていた。仮面を復元したカラーは、タマラを生贄にし、地獄から妻マリバを復活させ、今、強大で邪悪な力を手に入れ世界を支配しようとしていた・・・・・。
 
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
たぴおか的コメント    なぜか今年は80年代にシュワちゃん主演で公開された『コナン・ザ・グレート』、『トータル・リコール』が立て続けにリメイク(『コナン』に関してはリメイクとは言えないかもしれないが)され、その先陣を切るのがこの『コナン・ザ・バーバリアン』。1982年のシュワちゃん主演『コナン・ザ・グレート』も原題はこの作品と同じ“CONAN THE BARBARIAN”で、父の敵を討つためにコナンが剣を手に闘うという大筋は同じだが、なぜか細部は微妙に違っている。
 主演のジェイソン・モモアは、若い頃のシュワちゃんと比べるとさすがに体脂肪率が高そうではあるけど、強烈な個性のバーアリアン・コナン像を作り上げている。ただ、『グレート』と比べると作風が全体的に軽くなり、『コナン2』とまではいかないまでも、娯楽作へと振られているような気がする。そのせいか、シュワちゃんのコナンがいかにも孤高の戦士というイメージで、タルサ・ドゥームに父ばかりか愛するヴァレリアをも殺されてしまったコナンの悲壮感、孤独さがひしひしと伝わってくるのに対し、モモアのコナンからは父親を失った悲しみが伝わってこなくて、しかも恋人を殺されたりなんてしないから、カラー・ジムを討つという動機が希薄に感じてしまう。もっとも、悲壮感を背負った孤高のヒーローなんて、今の時代には流行らないのかもしれないけど。
 コナンの宿敵も、謎めいたタルサ・ドゥームの怖さに比べ、今回のカラー・ジムは申し訳ないが迫力不足で怖さも感じられない。魔力を秘めた仮面を復活させて世界を手に入れたような大口を叩くわりには、その魔力を使って何をするかと言えば妻を甦らせるだけ。最後もあまりに呆気なさ過ぎる。むしろ、彼の娘・マリークの方が不気味で憎らしさ充分だ。そんな彼女、『プラネット・テラー in グラインドハウス』で片脚にマシンガンを装着したヒロイン・チェリーを演じていたとは、当然ながらまったく気づかなかった。『プラネット・テラー』から既に5年が過ぎているし、今回の彼女は強烈なメイクとヘアスタイルで、当時の面影なんて微塵も残っていないから、これで気付と言う方が無理だろう。
 そんなわけで、主役であるシュワちゃんとモモアの違いは抜きにして、私はそのダークな世界観からも『グレート』の方が素直に好きだ。ただ、どちらが原作の世界観を忠実に再現しているのか、それを確かめる術はないのが残念だけど。映像技術という点では、CGを駆使したモモア版が見応えあるし、一方の『グレート』の方はと言うと、映画としての出来映えの評価はあまり芳しくなかったようで、好き嫌いは分かれそうだ。
 また、この作品では最近名前を聞かなくなった懐かしい人物がにお目にかかれる。日本でも一世を風靡した格闘家ボブ・サップで、モモア扮するコナンとの船上での肉弾戦では、ここぞとばかりに存在感をアピールしている。