評     価  

 
       
File No. 1630  
       
製作年 / 公開日   2011年 / 2012年07月07日  
       
製  作  国   アメリカ  
       
監      督   アスガー・レス  
       
上 映 時 間   102分  
       
公開時コピー   なぜ、ここに・・・?
いま、起死回生のショータイムがはじまる。
 

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最初に観たメディア  
Theater Television Video
 
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キ ャ ス ト   サム・ワーシントン [as ニック・キャシディ]
エリザベス・バンクス [as リディア・マーサー]
ジェイミー・ベル [as ジョーイ・キャシディ]
アンソニー・マッキー [as マイク・アッカーマン]
エドワード・バーンズ [as ジャック・ドハーティ]
タイタス・ウェリヴァー [as ダンテ・マーカス]
ジェネシス・ロドリゲス [as アンジー]
キーラ・セジウィック [as スージー・モラレス]
エド・ハリス [as デイヴィッド・イングランダー]
アフトン・ウィリアムソン [as ジャニス・アッカーマン]
マンディ・ゴンザレス
バーバラ・マリノー
J・スミス=キャメロン
パトリック・コリンズ>
ロバート・クロヘシー
ジョー・リシ
 
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あ ら す じ    30億円のダイヤモンドを横領した罪で服役しているニューヨーク市警の元警察官ニック・キャシディは、面会に北元相棒のマイク・アッカーマンから父の訃報を聞かされ、葬儀への参列を許可される。ところが、葬儀に参列していた弟のジョーイ・キャシディと些細なことから口論となり、挙げ句に殴り合いの喧嘩を始めてしまう。そして、そのどさくさに乗じて警官から銃を奪ったニックは、車で逃走してしまう。
 脱走犯となったニックは、ニューヨークの高級ホテルの高層階の部屋に訪れる。食事を摂ったニックは指紋をすべて拭き取ると、窓から外に出るて衆人環視の中を飛び降りようとする。大勢の人が固唾をのみながらニックを見守る中、ニックは要求を伝えるための交渉人としてニューヨーク市警の女性刑事リディア・マーサーを指名する。
 ニックからある依頼を受けたジョーイとその恋人のアンジー、元同僚のニューヨーク市警警官たち、ニューヨークでも指折りのダイヤモンド王と呼ばれる実業家デイヴィッド・イングランダーらの様々な思惑が交錯する中、ニックの本当の目的が次第に明らかになっていくのだった・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    高層ビルから投身自殺を企てようとしている、サム・ワーシントン扮する主人公のニック・キャシディ。けれども、彼が本当に死ぬ気などないことは誰の目にも明らかで、だったら何が彼の真の目的なのか?という導入部から、観る者はグイグイと引き込まれて行く。重箱の隅をつつくような真似をすれば突っ込み所は少なくないが、細かい粗など気にせずに観れば、充分に楽しめる作品だと思う。
 ニックが飛び降りをしようとするホテルの向かいのビルに、彼の弟・ジョーイとその恋人のアンジーが侵入する。その時点で、ニックの行動が陽動作戦であることがわかると同時に、父親の葬儀でのニックとジョーイの喧嘩は芝居だったことに気づかされる。そして、「それではニックとジョーイたちの真の目的は一体何なのか?という新たな疑問が提供されるのだ。こういった、謎が何段構えかでになっている重層的な作りが、退屈させない最大の要因だろう。
 細部にまで結構しっかり作り込まれているのも気に入った。例えば、マーサーが差し出したタバコ。マーサーの行動の裏にはニックの指紋を採取しようという意図があったのだが、ニックはそれを察していて受け取ろうとしない。そして、時が訪れると勧められるままにタバコを受け取って一服するとそれをマーサーに返し、その後「そろそろ指紋鑑定が終わる頃だ」と、さすがは元警察官でマーサーの目論見などすべてお見通しだったのだ。
 それだけに、ラストへと一気呵成にというか、端折り気味に感じるのがもったいない。それに、いくら何でもあまりのご都合主義は、「重箱の隅をつつくような真似をせずに」といった前言を撤回したくなってしまう。確かに、ニックが25年の実刑を言い渡されたダイヤの盗難事件(単なる窃盗、あるいは強盗にしても、初犯で25年の実刑なんてアリか?)については冤罪だったが、ホテルから飛び降り自殺騒動を起こしたこと自体犯罪だし、ジョーイとアンジーは明らかに窃盗罪を犯していて、その主犯はやはりニックなのだから、無罪放免なんてあり得ない。やはり前言通り、その辺りには目をつぶって観るべき作品だということなのだろう。
 それにしても、あの憎々しい態度といいエド・ハリスの悪役ぶりはさすが堂に入っている。その分、ニックに肩入れしたくもなるし、ラストの爽快感も格別だ。そして、最後の最後にもうひとつだけどんでん返しが用意されているので、それもお楽しみに。