評     価  

 
       
File No. 1638  
       
製作年 / 公開日   2012年 / 2012年07月28日  
       
製  作  国   アメリカ  
       
監      督   クリストファー・ノーラン  
       
上 映 時 間   164分  
       
公開時コピー   伝説が、壮絶に、終わる。  

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最初に観たメディア  
Theater Television Video
 
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キ ャ ス ト   クリスチャン・ベイル [as ウルース・ウェイン]
ゲイリー・オールドマン [as ジェームズ・ゴードン市警本部長]
トム・ハーディ [as ベイン]
ジョセフ・ゴードン=レヴィット [as ジョン・ブレイク]
アン・ハサウェイ [as セリーナ・カイル]
マリオン・コティヤール [as ミランダ・テイト]
モーガン・フリーマン [as ルシウス・フォックス]
マイケル・ケイン [as アルフレッド]
リーアム・ニーソン [as ラーズ・アル・グール]
マシュー・モディーン [as フォレイ]
ベンアロン・アバウトボウル [as パヴェル博士]
ベン・メンデルソーン [as ダゲット]
ダニエル・サンジャタ [as ジョーンズ隊長]
 
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あ ら す じ    人々の尊敬を集めた地方検事ハービー・デントの罪を一身に被り、ゴッサム・シティから姿を消したダークナイト(バットマン)。それから8年、ゴードン市警本部長は真実を心におさめ、街の平和のために尽力していた。犯罪防止のために制定されたデント法が表面上は功を奏し、ゴッサム・シティーにおける犯罪活動はことごとく制圧されていた。
 そんなある日、ブルース・ウェイン邸にメイドを装って侵入した女盗賊のセリーナ・カイルが、ブルースの金庫から真珠のネックレスを盗み出す。ネックレスには発信器がついているからと落ち着き払うブルースだったが、実はセリーナの目的はネックレスではなく、ブルースの指紋を採取することだった。採取された指紋はウェイン産業乗っ取りを企てるダゲットに渡されてしまう。
 ダゲットはブルースの指紋を使って証券取引を行い、ブルースは多額の損害を被って破産へと追い込まれてしまう。ブルースはウェイン産業のすべてをミランダ・テイトに委ねるが、それはその後訪れる惨劇のほんの序章に過ぎなかった。ダゲットが金で雇っていた、鋼のような肉体をまとった巨漢のテロリストベインがついにその本性を露わにし、ゴッサムを次々と破壊して市民を恐怖と絶望によって支配していく。
 ブルースは自らの封印を解かざるを得なくなり、再びケープとマスクを身にまとってバットマンとなり、単身ベインの本拠地へと乗り込む。しかし、圧倒的なベインの身体能力の前に為す術もなく敗れ、かつてベイン自身が囚われていたという牢獄に幽閉されてしまう。そして、ブルースはそこにいた囚人から、ベインがかつてブルースも師事したラーズ・アル・グールの息子であり、その牢獄を自力で脱出した唯一無二の子供であったことを知るのだった・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    クリストファー・ノーラン版バットマン3部作の完結編となるこの作品、この週末のイチオシ作品とあって、1日早い前夜祭で観ることとなったのだが・・・・・これは凄い、凄すぎる。色んな意味で。今年観た作品の中では、洋画・邦画を問わず文句なしに最高ランクに属する作品だ。何が凄いかといって、まずは尺の長さ。164分という、予告編を含めたら3時間にも及ぶという長尺なのだが、全く退屈させない。それどころか、通常なら2時間を超える作品だとあと何分で終わるのかが気になるところだが、この作品の場合は時間さえも忘れてスクリーンに釘付けにされてしまった。多分、あと1時間尺が長くても全く平気だっただろうと確信している、それほど中身の濃い作品だ。
 ノーラン監督の『バットマン』3部作は、単なるアメコミの実写化という枠を完全に超える壮大なスペクタクルなのだが、この作品は3部作の最後を飾るにふさわしい重厚さで観る者を圧倒する。キャスティングもクリスチャン・ベイル、ゲイリー・オールドマン、モーガン・フリーマン、マイケル・ケインと言ったレギュラー陣に加え、一作目で死んだ設定になっていたリーアム・ニーソン演じるラーズ・アル・グール、それに、私の見間違いでなければ一作目とは全く脈絡のない別のキャラクターでキリアン・マーフィも登場していたはず。また、女優陣ではアン・ハサウェイにオスカー女優マリオン・コティヤールまでが名を連ねている。気になったのは今回の悪役ベインを演じた俳優だが、結局エンド・クレジットを観るまでトム・ハーディだとは気づかなかった。そう言えば、ゲイリー・オールドマンとトム・ハーディは、2ヵ月前の『裏切りのサーカス』でも共演していたな。
 そのムキムキ筋肉マン、トム・ハーディが演じるベインだが、まさに全身が悪の塊のようなキャラクターで、前作でヒース・レジャーが演じたジョーカーの陰湿さとはひと味違うのが、思えば作品が過度に重苦しくならないための一助となっている気がする。そして、『インセプション』同様に圧倒的な迫力の映像も素晴らしく、特に予告編では何度も見せられたとは言うものの、アメフト競技場が次々と爆破されて陥没していくシーンやゴッサムに繋がる橋が次々と爆破されていくシーンはやはり圧巻だ。
 ラストシーンに関しては、おそらく意見が分かれるところだろうが、私はこの終わり方の方がひねりがあって良かったと思う。なんせダーク・ナイトなんだから、ストレートに終わらずに、意外な抜け道を用意しているのがそれらしく思える。いずれにしても、壮大なこの3部作、これで終わってしまうのはあまりにもったいない気がするが、するずるとシリーズを続けて色褪せさせてしまうことのない、その潔さを褒めるべきなのだろう。