評     価  

 
       
File No. 1647  
       
製作年 / 公開日   2012年 / 212年08月18日  
       
製  作  国   アメリカ  
       
監      督   ジョー・カーナハン  
       
上 映 時 間   117分  
       
公開時コピー   生き残れ。本能が叫んでいる。  

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最初に観たメディア  
Theater Television Video
 
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キ ャ ス ト   リーアム・ニーソン [as オットウェイ]
フランク・グリロ [as ディアス]
ダーモット・マローニー [as タルゲット]
ダラス・ロバーツ [as ヘンリック]
ジョー・アンダーソン [as フラナリー]
ノンソー・アノジー [as バーク]
ジェームズ・バッジ・デール [as ルウェンデン]
ベン・ブレイ [as ヘルナンデス]
アン・オープンショー [as オットウェイの妻]
ジョナサン・ビトンティ [as 5歳のオットウェイ]
ジェームズ・ビトンティ [as オットウェイの父]
 
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あ ら す じ    ならず者たちが集まる石油採掘現場。オットウェイオットウェイは、野獣の攻撃から作業員たちを守るために雇われた射撃の名手だった。最愛の妻が去った後、彼は流れるようにこの場所に辿り着いていた。ある晩、彼は、休暇で家族の元へ帰る作業員たちと共に飛行機に乗り込むが、凄まじい嵐に遭遇し、アラスカの山中に墜落してしまう。放り出されたのは、激しい吹雪が荒れ狂い、全てが深い雪に覆われた想像を絶する極寒の地。目覚めたオットウェイが見つけたのはバラバラになった機体と、ディアスタルゲットヘンリックフラナリーバークヘルナンデスらの生存者たちだった。そして、ルウェンデンは7人の生存者たちに見守られながら、大破した機内で息を引き取ってしまう。
 残された少ない道具で火を起こし、わずかな暖を取っていた男たちは、やがて自分たちをじっと見つめ、暗闇に光るいくつもの眼に気付く。そこは野生のオオカミたちの縄張りだったのだ。そしてその夜、見張り番だったバークがオオカミの餌食となってしまう。
 オオカミの習性をよく知るオットウェイは、望みの薄い救助を待つよりも、この場所から移動することを提案する。生存者たちは確かな方角も定まらない中、生き残りを懸けて南を目指して歩き出した。しかし、まともに食料が手に入らない状況に加え、あまりにも過酷な大自然の猛威が彼らの行く手を阻む。ひとり、またひとりと生存者は減っていく。
 諦めれば一瞬ですべてが終わってしまう絶望的な状況の中、どうすれば生き延びることができるのか。愛する人の元へ帰りたい、もう一度会いたい。その切なる願いを胸に“生きること”に執着する彼らの、生死を賭けた壮絶な闘い。その果てに待っているものは・・・・・?
 
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たぴおか的コメント    劇場で作品のオープニングに表示されたタイトルを観て初めて、タイトルが“THE GRAY”ではなく“THE GREY”であることに気づいた。今までずっと灰色を“GRAY”だと間違って覚えたまま生きてきたのかと思ったが、調べてみると“GRAY”がアメリカ英語で“GREY”がイギリス英語だということが初めてわかった。ちなみにこの作品はアメリカ映画なのに、なぜ“GREY”なのか理解に苦しむ。製作に名を連ねるリドリー・スコットと製作総指揮のトニー・スコットの兄弟がイングランド出身のためだろうか?
 観る前に不思議に思っていたのは、リーアム・ニーソンをはじめとする7人が飛行機事故でアラスカの大雪原に放り出されるのに、なぜ“WHITE”じゃなくて“GREY”なのかということ。その答えはすぐにわかった。7人にとっての最大の敵は-20℃を下回る極寒や飢えじゃなく、縄張りを侵した彼らを執拗につけ狙うオオカミだったのだ。
 観ている間中ずっとワケのわからない違和感を感じていたのだが、その理由がやっとわかった。妻を失って生きる目的をもなくし自殺まで企てようとしたオットウェイが、7人の誰よりも強く生きようとしたことが、不自然に思えて仕方なかったのだ。それが人間の本能だと言いたいのかもしれないが、人間の生きようとする意志など絶望と直面したらいとも簡単に折れてしまうもの。いわゆる「こんなに辛い思いをするより、いっそ楽になりたい」という考え方で、自ら歩くことを放棄したディアスや、恐怖に耐えきれずにロープから手を離したタルゲットらを観ればそのことは一目瞭然だろう。
 それにしても、オットウェイがリーダーとなって一行は行動するのだが、そのリーダーの選択肢がことごとく悪い方へ悪い方へと向かっていく。もっとも、リーダーの選択がズバリ的中して一行が助かってしまっては、ストーリーが成り立たなくなってしまうけど(笑)。オオカミに追われて川に転落したヘンリックを助けようと、オットウェイも川に飛び込むのだが、-20℃を下回る極寒でそんな真似をするのは、私には自殺行為としか思えない。しかも、川から上がったオットウェイが上着ばかりか手袋までも脱ぎ捨てるとは、その時点で彼もまた死を覚悟したということなのだろうか。闘わずして死を覚悟するとは、彼のポリシーでもある父の詩の言葉に反しているんじゃないだろうか。
 機内では雪が落ちただけでインクが滲んだ、何が書かれているのかわからないが、オットウェイが大切に携帯する1枚の紙片。川に落ちてずぶ濡れになったオットウェイが懐から取り出した時には、なぜか文字が全く滲んでいなかった。