評     価  

 
       
File No. 1649  
       
製作年 / 公開日   2012年 / 2012年08月25日  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   大友 啓史  
       
上 映 時 間   134分  
       
公開時コピー   かならず、帰る。  

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最初に観たメディア  
Theater Television Video
 
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キ ャ ス ト   佐藤 健 [as 緋村剣心]
武井 咲 [as 神谷薫]
吉川 晃司 [as 鵜堂刃衛]
蒼井 優 [as 高荷恵]
青木 崇高 [as 相楽左之助]
綾野 剛 [as 外印]
須藤 元気 [as 戊申番神]
田中 偉登 [as 明神弥彦]
奥田 瑛二 [as 山県有朋]
江口 洋介 [as 斎藤一]
香川 照之 [as 武田観柳]
 
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あ ら す じ    明治11年。東京では、人斬り抜刀斎を名乗る男が誰かれ構わず斬りつける事件が発生していた。亡父から継承した神谷道場を切り盛りする神谷薫が無謀にも男に立ち向かおうとしているところを、通りすがりの男が助ける。その人こそ、幕末には反幕府軍の暗殺者として活躍した人斬り抜刀斎こと緋村抜刀斎本人だった。今は緋村剣心と名乗り、斬れない刀・逆刃刀を携え流浪の旅をしながら、どんな悪人でも決して命を奪わない不殺の誓いに従いながら人助けをしていたのだった。そして剣心は薫に連れられ、神谷道場に身を置くこととなった。
 偽者の人斬り抜刀斎の正体は、実業家の武田観柳に用心棒として雇われた鵜堂刃衛だった。世界支配を目論む観柳は女医の高荷恵に阿片を精製させ、それを元手に得た莫大な金で武器を買い漁っていた。ところがある日、肝心の阿片精製法を知る恵が観柳の元から逃亡してしまう。そして、神谷道場の門下生の少年明神弥彦と出会った恵は、やはり神谷道場で観柳の目を避けて暮らすこととなった。
 恵が逃亡したことを知った観柳は、躍起になって配下に恵を連れ戻すよう命じる。そんな観柳の動きを絶え間なく監視していたのは、元・新選組で今は山県有朋の下で警官を務める斎藤一だった。彼は観柳の目論みに気付いていたものの、観柳が握る絶大な権力を前になかなか手出しができなかったのだった。
 観柳は神谷道場のある一帯を買い占めるべく、市井の人々を殺そうとする。神谷道場に身を寄せる剣心は苦しむ人々を見て、打倒観柳を決意する。250人もの護衛をつける観柳に、剣心は喧嘩屋の相楽左之助とともに立ち向かっていく・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    主役の2人、佐藤健と武井咲はどうでもよく、脇を固める江口洋介、香川照之、吉川晃司といったベテラン勢に惹かれて観た作品。この作品の原作コミックスは一度も読んだことはないが、時代劇は嫌いじゃないし、『暴れん坊将軍』の松平健のあまりに見事な殺陣にはいつもついつい見入ってしまう私としては、今までにない時代劇の境地を切り開いたというこの作品に期待するところも少なくなかったが、幸い期待はずれに終わることなく、充分に楽しめる作品に仕上がっていた。
 134分という決して短くない尺ではあるが、佐藤健演じる剣心がなぜ不殺(ころさず)の誓いを立て逆刃刀を携えるようになったのか、その辺りの経緯も初心者に解りやすく描かれている。自分が人を斬ることで平和な時代が訪れると信じていた剣心こと抜刀斎の目が、彼に殺された者の妻に向けられて初めて疑問を抱くようになる。彼は性根は優しい男で、誰かを守るためには誰かを斬ることもやむ無しとする江口洋介扮する斎藤一や、人を斬ることでしか自らの存在価値を確認できない吉川晃司演じる鵜堂刃衛とは対極的な存在なのだろう。
 作品を観るまで舞台はてっきり江戸時代だと思っていたら、これが意外にも明治維新から10年を経過した明治11年。和洋折衷期待していた殺陣のシーンは、そのあまりの速さには唖然とさせられた。おそらく現実には重〜い日本刀をあれほどの速さで振り回すことは、キン肉マンの吉川晃司ならともかく、佐藤健のような華奢な体型の者には不可能だろうけどね。
 そんな中異彩を放っているのが、言うまでもなく武田観柳を演じる香川照之の怪演だ。あの役柄にあの髪型(笑)、それを嫌々どころかむしろ嬉々として演じているのが見て取れる。逮捕された後のふてぶてしさもさすがだね。そして、今までは何気なしに観ていたが、武井咲と比較するといかに蒼井優の演技が上手かったのかを初めて思い知らされた気がする。