評     価  

 
       
File No. 1667  
       
製作年 / 公開日   2012年 / 2012年09月28日  
       
製  作  国   フィンランド / ド イ ツ / オーストラリア  
       
監      督   ティモ・ヴオレンソラ  
       
上 映 時 間   93分  
       
公開時コピー   ナチスが月から攻めてきた!!  

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最初に観たメディア  
Theater Television Video
 
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キ ャ ス ト   ユリア・ディーツェ [as レナーテ・リヒター]
クリストファー・カービイ [as ジェームズ・ワシントン]
ゲッツ・オットー [as クラウス・アドラー]
ウド・キア [as ウォルフガング・コーツフライシュ総統]
ペータ・サージェント [as ヴィヴィアン・ワグナー]
ステファニー・ポール [as アメリカ合衆国大統領]
ティロ・プリュックナー [as リヒター博士]
マイケル・カレン [as 防衛参謀]
ベン・ジーマー [as サンダース]
 
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あ ら す じ    2018年。アメリカ合衆国大統領は自らの大統領選再選に余念が無く、そのPRの一環として黒人モデルのジェームズ・ワシントンを宇宙飛行士として月へと飛ばせる。ところが、ジェームズはそこで想像を絶する光景を目にすることになる。それは、ハーケンクロイツを紋章にした月面ナチスの基地だった。
 ジェームズはナチスに捕獲されてしまい、基地内で月面ナチス親衛隊准将のクラウス・アドラーから取り調べを受けることとなる。そして、ジェームズが持っていたスマホが、月面ナチスの誇る巨大戦艦“神々の黄昏”号を始動させるために有効であることが判明すると、大量のスマホを確保すると同時にアメリカ合衆国大統領に取り入るために、恋人でもある月面青年団伍長のレナーテ・リヒターと共に、ジェームズを水先案内人に地球へ向かうこととなった。
 あくまで月面ナチスによる地球征服を遂行しようとするクラウスに対し、ジェームズと行動を共にするレナーテの考えは次第に反ナチスへと傾いていく。そして、クラウスが月面ナチス帝国総統のウォルフガング・コーツフライシュを裏切り、自らが総統となって地球攻撃を命じると、レナーテはナチスの地球侵攻を阻止するためにジェームズと共に月へ戻るのだった。
 一方地球では、月面ナチスの攻撃に対し、アメリカが中心となって地球防衛軍が結成される。こうして、月面ナチス対地球軍の、そして、クラウス対レナーテ&ジェームズの戦いが始まる・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    第二次世界大戦に敗れたナチスの残党が、なんと月に逃れて地球(特にアメリカ)に対する復讐の機会を狙っていたという、何とも荒唐無稽なナンセンス・コメディ作品だ。んなわけだから、「空気のない月で一体どうやって生き延びてこられたのか?」などといった理屈を追求してはいけないし、細部にこだわる人は観るべき作品じゃない。
 ここまでナチスをパロディ化した作品だから、当然ながら製作国にはドイツも名を連ねている。もしもハリウッドがこんな作品を製作したなら、ドイツの映画ファンは激怒したかもしれない(笑)。と同時に、アメリカをも皮肉った作品でもあって、極端にデフォルメされてはいるものの、ドイツから見たアメリカはあんな風に映っているのかと思いながら観るのもまた一興だろう。また、意外な場面で北朝鮮が登場するのだが、いかにも北朝鮮を小馬鹿にしたような作りが個人的には非常に痛快に感じられた。こういうジョークをかの国の金さん一族は理解できないだろうなぁ(笑)。
 黒人モデルのジェームズが、第四帝国のナチスに捕らえられ、地球偵察の先遣隊の水先案内人にされるのだが、彼を白人化して「アングロサクソンにしてあげた」だなんて台詞、人種差別には当たらないのだろうか、ちょっと気がかりだ。おまけに、英語圏においては黒人に対する蔑称とされている“ニガー(=nigger)”なんて言葉も使われているし、ニューヨークではニガーという言葉の使用が条例で禁止されているというのに。
 異星人が地球を攻めてくるというテーマのSF作品は数多く、その場合の異星人の知的水準は地球人を遙かに上回っているのが通例だが、この作品の敵はナチスだから、科学力のレベルが地球よりも劣っていたりして、それがまた笑える。だから、彼らが地球に攻撃を仕掛けてきても、迎え撃つ地球軍の戦闘機の方がどう見ても優れているとしか思えないし、今ひとつ迫力に欠ける地球侵略なのがいかにも地球人らしい。