評     価  

 
       
File No. 1669  
       
製作年 / 公開日   2012年 / 2012年09月28日  
       
製  作  国   アメリカ  
       
監      督   トニー・ギルロイ  
       
上 映 時 間   135分  
       
公開時コピー   ジェイソン・ボーンは
氷山の一角に
過ぎなかった。
 

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最初に観たメディア  
Theater Television Video
 
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キ ャ ス ト   ジェレミー・レナー [as アーロン・クロス]
エドワード・ノートン [as リック・バイヤー]
レイチェル・ワイズ [as マルタ・シェアリング博士]
ジョーン・アレン [as パメラ・ランディ]
アルバート・フィニー [as アルバート・ハーシュ博士]
デヴィッド・ストラザーン [as ノア・ヴォーゼン]
スコット・グレン [as エズラ・クレイマー]
ステイシー・キーチ [as マーク・ターソ]
コーリイ・ジョンソン [as レイ・ウィルズ]
ドナ・マーフィ [as ディータ・マンディ]
マイケル・チェルナス [as アーサー・イングラム]
 
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あ ら す じ    CIAの極秘プログラム“トレッドストーン計画”によって生み出された最強の暗殺者、ジェイソン・ボーンが、ロンドンで新聞記者に接触しようとしていた頃。ボーンと内部調査局のパメラ・ランディの告発によって計画が明るみに出ることを恐れたCIA本部では、国家調査研究所のリック・バイヤーが証拠隠滅のために全プログラムの抹消を命じる。一方、アラスカのCIA訓練地では、“アウトカム計画”によって生み出された暗殺者、アーロン・クロスが訓練を積んでいた。薬の服用を義務づけられていた彼は、相次ぐ予定変更によって自分の身に迫る危険を察知する。
 彼の体調を管理しているステリシン・モルランタ社では、突然、職員が銃を乱射する事件が発生する。居合わせたマルタ・シェアリング博士は九死に一生を得るが、研究所で行なっていたことに事件の原因があると知っていた彼女に、再び危機が迫る。その窮地を救ったのはアーロンだった。薬を求めてマルタのところへやってきた彼は、薬はすでに服用が中止され、プログラム従事者の体には半永久的な効果を持つ活性ウイルスが培養されていることを聞き、彼女とともにウイルスを製造しているマニラへ向かう。
 急転する事態に混乱するマルタに、“自分はかつてケネス・キットソンという名前で、イラクで戦死したとされる兵士だ”と告げるアーロン。一方、マルタ暗殺の失敗を知ったバイヤーは、彼女を病原体盗難の重要容疑者に仕立て上げ、安全保障局や国防省を巻き込んだ非常事態宣言を発令し、組織的な捜査によって2人の行方を洗い出す。マニラに到着し、研究所に向かうマルタとアーロンだったが、追跡を察知して逃走。バイヤーは精鋭の人間兵器“ラークス計画”の作戦員をタイのバンコクから送り込む。路地の入り組んだマニラのスラム街で、究極の暗殺者たちによるチェイスが始まるのだった・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    ご存じマット・デイモン主演『ボーン』シリーズ3部作の続編・・・・・と言うよりも、むしろスピンオフと言った方がいいかもしれない作品。ジェイソン・ボーン・を生み出したCIAによる国家的陰謀“トレッドストーン計画”の裏で同時進行していた“ブラックブライアー計画”の秘密を暴き出していくのは、『ハート・ロッカー』『ミッション:インポッシブル ゴースト・プロトコル』『アベンジャーズ』のジェレミー・レナー。そして、ジェレミー扮するアーロンと行動を共にマルタ・シェアリング博士を演じるのがレイチェル・ワイズというのが、個人的には実に嬉しい。『ナイロビの蜂』でオスカーを受賞して以来、『ハムナプトラ』シリーズのエヴリン役も降板してしまった彼女のこと、この手の作品でお目にかかれないと諦めていたから。
 ジェレミー・レナー扮するアーロンが、『ミッション:インポッシブル ゴースト・プロトコル』でブラントを演じる彼を観ているせいか、何の違和感もなく当たり前のように受け入れられる。ことアクションに関しては『M:i』とは比較にならないほどこの作品の方が過激であることは言うまでもないのだが、前3部作の“トレッド・ストーン計画”はともかく、今回の“ブラックブライアー計画”や“アウトカム計画”と、それぞれどういった内容の計画なのか説明も皆無なおかげで全く意味不明だ。だから、アーロンが最強の戦士と言われても、ボーンとどう違うのか、どこが最強なのか、説得力が全くない。
 ボーン3部作ではボーンが自分が何者なのか記憶がなかったが、アーロンはそうじゃない、その違いを除けば、凄腕のエージェントが組織から追われ、協力者となる女性と共に敵を倒しながら・・・・・って、全く同じだよ(笑)。前3部作で脚本を務めたトニー・ギルロイがこの作品ではメガホンも執っているが、彼は脚本に専念して、監督は『スプレマシー』『アルティメイタム』のポール・グリーングラスに任せた方がいいのかもしれない。
 さらに言えば、この作品は単独で完結する内容とはなっていなくて(あれで終わりじゃ、何の意味もないよ)、明らかに導入部分に過ぎない作りになっている。とは言え、導入部分がコケてしまっては続編の製作も危うくなるし、ボーン3部作で目が肥えたファンをもうならせるような作品にしてほしかったというのが、大方のファンの思いだっただろう。ジェレミー・レナーはいい俳優だし、共演がレイチェル・ワイズだけに、あまりにももったいない気がする作品だった。