評     価  

 
       
File No. 1673  
       
製作年 / 公開日   2012年 / 2012年10月12日  
       
製  作  国   アメリカ  
       
監      督   ジェームズ・マクティーグ  
       
上 映 時 間   110分  
       
公開時コピー   偉大なる作家エドガー・アラン・ポーは、
なぜ死んだのか・・・?
 

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最初に観たメディア  
Theater Television Video
 
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キ ャ ス ト   ジョン・キューザック [as エドガー・アラン・ポー]
ルーク・エヴァンス [as エメット・フィールズ警視正]
アリス・イヴ [as エミリー・ハミルトン]
ブレンダン・グリーソン [as ハミルトン大尉]
ケヴィン・マクナリー [as マドックス編集長]
オリヴァー・ジャクソン=コーエン [as ジョン・キャントレル]
ジミー・ユール [as エルドリッジ大尉]
サム・ヘーゼルダイン [as アイヴァン]
パム・フェリス [as Mrs.ブランドレイ]
ブレンダン・コイル [as リーガン]
エイドリアン・ローリンズ [as クレメンツ医師]
 
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あ ら す じ    1849年のアメリカ、ボルティモア。闇夜の中で凄惨な殺人事件が発生する。現場に急行したエメット・フィールズ警視正が目にしたものは、血まみれの母娘の無残な死体だった。その事件はトリックも殺害方法も、数年前に世間を震撼させたエドガー・アラン・ポーの推理小説『モルグ街の殺人』に酷似していた。その頃、酒場で騒ぎを起こして放り出されたポーは、恋人エミリー・ハミルトンと出会うが、彼女の父親のハミルトン大尉から、娘に近づかないようにと言われてしまう。
 ある日、新聞社のマドックス編集長と口論の後に帰宅したポーを、エミリーが訪ねてくる。自分の誕生日に行われる仮面舞踏会でプロポーズして欲しいというのだ。招待客の前であれば、父親も結婚を許してくれるのではないか、それが彼女の思惑だった。その頃、ポート敵対する文芸評論家のグリズウォルドが、木の台座に磔にされ巨大な刃の振り子によって胴体を真っ二つにされるという、『落とし穴と振り子』のような殺人事件が起き、フィールズはポーに捜査への協力を要請する。第2の殺人現場に“仮面舞踏会に死がやってくる”と書いたメモが残されていたのだ。それは、エミリーの誕生日の仮面舞踏会を指していた。
 舞踏会当日。フィールズと部下たちが警備する中、深夜12時を回ろうとした時、髑髏の仮面を付けた死装束の騎士が乱入。それは、まさにポーの『赤き死の仮面』を思わせる光景だった。会場が騒然とする中、忽然と姿を消すエミリー。しかも、死装束の男は金で雇われただけで、殺人鬼ではなかった。その手には、「ポーが新聞に連続殺人の偉業を書いて載せれば、今後の殺人で犠牲者が出るたびにエミリーの居所のヒントを与える」という、ポーに対する挑戦状が握られていた。。恋人を救うために、殺人鬼に従うしかないポー。模倣殺人犯の目的は一体、何なのか・・・・・?
 
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たぴおか的コメント    推理小説の父とも言われる、作家であり詩人のエドガー・アラン・ポー。1849年10月3日に異常な泥酔状態で発見され、その後4日間の危篤状態を経て10月7日に亡くなっている。新聞は「脳溢血」や「脳炎」のためと報道したようだが、その死因は実は未だに謎で、心臓病やてんかん、梅毒、髄膜炎、コレラ、狂犬病など様々な推測が飛び交っているようだ。そんなポーが死に至るまでの経緯を大胆な想定で解き明かすのがこの作品。当然ながら、主人公がポーで彼の作品を模倣した殺人の謎解きがテーマとあれば、推理小説に目のない私としては大いに期待してしまったのだが、謎解きの楽しさは味わえず、代わりにグロテスクな死体を次々と目にすることとなった。サスペンスというよりも、どちらかと言えばホラー的な色彩が強いようだ。
 実物のポーの写真を見ると、この作品のジョン・キューザックのような二枚目ではなく、むしろ醜悪な部類に属するルックスだったと言わざるを得ない。もちろんキューザックのポーも決して悪くはないが、個人的にはエドワード・ノートン辺りに演じさせても面白かったんじゃないだろうか。
 私はポーの小説は『モルグ街の殺人』『黄金虫』を遠い昔に読んだだけだが、彼の小説を熟知していればそれぞれの殺人が彼のどの作品を模倣しているかを推測する楽しみがあるのだろう。ただ、真犯人の動機が希薄に思えるし、真犯人が判明するに至るまでが推理の積み重ねで徐々に絞られていくのではなく、あまりに唐突に犯人に行き着くような展開には不満が残る。とは言っても、推理小説を原作とする映画は今までに何作か観たものの、その出来に満足した試しは一度もないことを考えると、この作品の結末もこれで仕方ないのだろうと思わなければいけないのだろう。