評     価  

 
       
File No. 1697  
       
製作年 / 公開日   2010年 / 2012年12月01日  
       
製  作  国   アメリカ / スペイン  
       
監      督   ウディ・アレン  
       
上 映 時 間   98分  
       
公開時コピー   懲りない大人が
“恋の幻想”にとらわれて
寄ると触ると大騒ぎ!
 

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最初に観たメディア  
Theater Television Video
 
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キ ャ ス ト   ジェマ・ジョーンズ [as ヘレナ]
ポーリーン・コリンズ [as クリスタル]
アンソニー・ホプキンス [as アルフィ]
ナオミ・ワッツ [as サリー]
ジョシュ・ブローリン [as ロイ]
フリーダ・ピント [as ディア]
アントニオ・バンデラス [as グレッグ]
フェネラ・ウールガー [as ジェーン]
ユエン・ブレムナー [as ヘンリー]
ロジャー・アシュトン=グリフィス [as ジョナサン]
ルーシー・パンチ [as シャーメイン]
エレノア・ゲックス
ジム・ピドック
セイア・イムリー
アンナ・フリエル
 
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あ ら す じ    アルフィヘレナはおしどり夫婦だった。しかし、突如としてアンチエイジングに目覚めたアルフィは若さを取り戻そうと猛特訓に励み、挙げ句の果てに家を出て行ってしまう。ショックで憔悴したヘレナはクリスタルという怪しい占い師の元に通い始める。アルフィとヘレナの一人娘サリーは、小説家の夫ロイがデビュー作以降スランプに陥っているうえに、子作りにも消極的で、苛立ちを募らせていた。やむなくロンドン市内のアートギャラリーで働き始めたサリーは、オーナーで既婚者のグレッグに惹かれ、彼と歩む未来を妄想し始める。
 ロイは友人ヘンリーから初めて書いた小説を読んでほしいと頼まれるが、それは並外れた才能がみなぎるものだった。ロイは、向かいのアパートに引っ越してきたエキゾチックな美女ディアを、窓越しに眺めることを心の慰めにするようになる。そんなある日、アルフィが自称・女優のシャーメインという若い女性と再婚すると言い出す。実はシャーメインの正体はコールガールで、彼女を買ったアルフィが抜群のベッド・テクニックで骨抜きにされたのだった。
 ある雨の日、ロイはディアをランチに誘い出すことに成功し、恋人との結婚に不安を抱く彼女を口説く。仕事帰りにグレッグとオペラを鑑賞したサリーは、彼が妻と上手くいっていないことを打ち明けられる。クリスタルのインチキ予言に心酔するヘレナは、オカルト系ショップを営むジョナサンと出会い、意気投合。やがて、シャーメインの浪費癖のためにアルフィは困窮し、グレッグが妻を捨てるというのはサリーの思い違いであることがわかる。また、ディアの結婚を阻止したロイは、交通事故に遭ったヘンリーの小説を自分のものにしようとして泥沼にはまるのだった・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    先に公開された『ミッドナイト・イン・パリ』の前年の製作であるのに、何故か公開が1年後となったウディ・アレン監督作品。例によってウディ・アレン独特のウィットを利かせて、恋にあたふたする大人連中をコミカルに描き出している。とは言うものの、今ひとつウィットと言うか、あるいはシニカルさとでも言うべきか、もっと強い毒気を含んでいてもよかったのではないかとは思う。だから、この作品を観終えた時の正直な感想は「ちょっとあっさりし過ぎている」だった。
 ジェマ・ジョーンズ扮するヘレナとアンソニー・ホプキンスが演じるアルフィの老夫婦、そしてナオミ・ワッツ扮する2人の娘・サリーとジョシュ・ブローリン扮するその夫・ロイの、おそらく結婚10年近い夫婦、この2組の“恋のから騒ぎ”がテーマなのだが、これを観るにつけ、つくづく「男ってバカだなぁ」と改めて思い知らされると同時に、バカだとわかっていても共感せずにはいられないのだ。コールガールのテクニックに骨抜きにされ、結婚までしてしまうアルフィ。老いらくの恋とはいえ、アンチエイジングに目覚めてもう一花咲かせようという思いは、誰だって抱くものだろう。そして、やっと目が覚めてヘレナの元へ戻ろうとしたが時既に遅し。ヘレナにも新しいパートナーができていたという結末で、こういう展開って現実にも結構ありがちだよね。
 サリーという美人の妻がいながらも(そのことだけは、ナオミ・ワッツのファンである私には到底許しがたい(笑))、出版社に持ち込んだ小説が出版されるのかが不安で苛立つロイ。そんな彼の前に、フリーダ・ピントのような若くて美しい女性が現れたら、フラッとしてしまうのも無理はない・・・・・かな?フィアンセを押しのけて彼女と結ばれたろいだったが、こちらもまたアルフィ以上の窮地に陥ってしまうのだ。ま、自業自得だけどね。
 そんなこんなで、決して特別ではなくどこにでもありがちな男女の空騒ぎを、軽妙なタッチで描いた作品。特別じゃないからこそ、誰もが共感できたり、思い当たる節があったりするんじゃないかな。