評     価  

 
       
File No. 1704  
       
製作年 / 公開日   2012年 / 2012年12月15日  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   狩山 俊輔  
       
上 映 時 間   124分  
       
公開時コピー   これで終わる。  

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最初に観たメディア  
Theater Television Video
 
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キ ャ ス ト   亀梨 和也 [as ベム]
[as ベラ]
鈴木 福 [as ベロ]
柄本 明 [as 名前の無い男]
堀 ちえみ [as 夏目菜穂子]
石橋 杏奈 [as 緒方小春]
杉咲 花 [as 夏目優以]
長岡 佑 [as 辻尚樹]
広田 レオナ [as 町村日出美]
あがた 森魚 [as 緒方浩靖]
北村 一輝 [as 夏目章規]
畠山 彩奈 [as 上野みちる]
中村 橋之助 [as 加賀美正輝]
筒井 道隆 [as 上野達彦]
観月 ありさ [as 上野小百合]
 
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あ ら す じ    暗く、音のない世界で1つの細胞から生まれた3つの生き物。それは、人間になれなかった妖怪人間、ベムベラベロだった。醜い身体に正義の心を持つ彼らは、“名前のない男”との最後の戦いで、人間になることよりも“人間を守って生きていく”事を選び、友人の刑事夏目章規たちの前から姿を消した。
 そして・・・・・。3人が辿り着いた街で、怪事件が連続して発生する。被害者は全て大手製薬会社、MPL製薬の社員。事件現場には巨大な爪跡が残されていた。犯人の正体と、その目的は何か?事件の謎を追うベムの前に、倒したはずの“名前のない男”が再び姿を現す。その一方、ベロは脚が不自由な少女みちるに恋をする。しかし、みちるはMPL製薬の新薬開発研究者上野達彦の娘で、母親は自動車事故で行方不明になっていた。
 人間になって恋を叶えたいと願うベロ。上野家に隠された大きな秘密を知らずに。やがて、彼らの目の前に未知の生物が出現する。植物を媒介に妖怪化したサユリ。その正体はみちるの母、上野小百合の変わり果てた姿だった。サユリは、人間でありながら妖怪の能力を宿す“人間妖怪”とでも呼ぶべき存在になっていたのだ。彼女は、自分をこのような姿に変えた上に、家族を脅かすMPL製薬への怒りと憎しみから、その圧倒的な力による復讐を決意したのだった。
 しかし、力を使えば使うほど、そのパワーはサユリの体を蝕み、やがてコントロール不可能なまでに増幅されていく。ベムたちは、その巨大な力の暴走を食い止めることができるのか!?“枯れない葉”、“新薬開発”、“サユリの妖怪化”。これらの出来事から、ベムたち3人は、自分たちが人間になれる唯一の方法が残されていることを知る。しかし、人間になれば妖怪の力を失ってしまう。それでも彼らは人間になることを選ぶのだろうか・・・・・?
 
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たぴおか的コメント    アニメ『妖怪人間ベム』の大ファンである私としては、幻滅してしまうのはわかりきっていたので、TVシリーズは全く観なかった。そして今回、例によってTOHOシネマズの1ヶ月無料パスポートを入手したこともあって、タダならいいだろうと劇場版に臨んだ。そして、やはり予想通り亀梨のベムじゃ何もかも物足りなく、ミス・キャストだとしか思えない。ベム役にふさわしい俳優と言えば・・・・・年齢からしても例えば渡辺謙とか。あ、でもそれじゃベムとベラが父娘になっちゃうか(笑)。
 鈴木福くんのベロも、あまりに幼すぎて幻滅。舌足らずな喋り方も耳について仕方ない。現在の子役で誰がベロにふさわしいのかはわからないが、イメージとしてはまだ子役時代の神木隆之介の方が似合っているように思う。そして、残るベラ役の杏だが、おそらく喋り方もかなりアニメを勉強したのだろうと思われ、彼女だけはアニメ版のイメージを壊すことが全くなかった。しかも、アニメのベラよりもずっと美人とあっては、私としては文句のつけようがない。これは絶対に他の女優では無理、まさに杏のハマリ役だと断言したい。ただ、アニメと実写版のベラのどちらが妖怪に近いかと言えば、明らかにアニメのベラではあるけどね(笑)。
 この作品で妖怪人間たちの敵を演じるのが観月ありさというのは、よくあんな役を引き受けたものだとちょっと驚いた。でも彼女、20代の頃よりも表情が柔らかくなって、ますます美人になった気がする。そして、やはり根っからの悪役ではなく、大手製薬会社のエゴのために望まずして怪物化してしまったという、悲しいヒロインだった。
 オープニングで、アニメと全く同様に「音の無い世界で、一つの細胞が・・・・・」という前置きが描かれていたのは、アニメのファンとしてはたまらなく嬉しい配慮だね。「♪闇に隠れて生きる 俺たちゃ妖怪人間なのさ」というテーマソングも同じだし。そして、ベロが人間の女の子を好きになって、なんていう掴みもアニメと同じ。アニメのファンに対する心配りが感じられて、その点には好感が持てる。
 ベムたちと同じ物質から生まれ、ベムたちが正義であるのに対して方や悪の塊のような柄本明演じる“名前の無い男”は、明らかに実写版のオリジナルキャラクターだ。顔を真っ赤にメイクして、あの歳でよくやるねぇ。彼の存在自体は鬱陶しくて邪魔に思えるが、正義であるベムたちは単独では人間になれない、悪である“名前の無い男”を取り込んで正義と悪を兼ね備えて初めて人間になれる、なんてのは、ちょっと洒落た皮肉が効いていて悪くないかも。理屈を言えば、私はあくまで性善説派で、人間は生まれたときは誰もが無垢で善の状態。それが、成長する過程の様々な経験によって、善くも悪くもなるものだと思うから、必ずしも人間誰もが善悪を兼ね備えているとは思わないけどね。
 この作品に登場する警官たち、常に相手をよく確認もせずに一斉射撃だなんて、SATじゃあるまいし絶対にあり得ねー(笑)。また、コピーには「これで終わる。」なんてあるけど、結局何一つ解決されないままで、「あわよくば続編を」という日テレの意図が窺えるような気がするのは気のせい?