評 価
File No.
1707
製作年 / 公開日
2012年 / 2012年12月21日
製 作 国
イギリス
監 督
トム・フーパー
上 映 時 間
158分
公開時コピー
愛とは、生きる力。
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最初に観たメディア
Theater
Television
Video
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キ ャ ス ト
ヒュー・ジャックマン
[as ジャン・バルジャン]
ラッセル・クロウ
[as ジャベール]
アン・ハサウェイ
[as ファンテーヌ]
アマンダ・セイフライド
[as コゼット]
エディ・レッドメイン
[as マリウス]
ヘレマ・ボナム=カーター
[as マダム・テナルディエ]
サシャ・バロン・コーエン
[as テナルディエ]
サマンサ・バークス
[as エポニーヌ]
アーロン・トヴェイト
[as アンジョルラス]
イザベル・アレン
[as 処女時代のコゼット]
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あ ら す じ
格差と貧困にあえぐ民衆が自由を求めて立ちあがろうとしていた19世紀のフランス。
ジャン・バルジャン
は、妹の子供のためにパンを盗んだ罪で投獄され、19年の服役の後にようやく仮釈放される。しかし、仕事を探しても彼を雇ってくれる口はなく、すぐに生活に行き詰まり、彼を助けてくれた修道院で再び盗みを働いてしまう。しかし、その罪を見逃し赦してくれた司教の慈悲に触れ、身も心も生まれ変わろうと決意したジャン・バルジャンは、マドレーヌと名前を変え、工場主として成功を収め、市長の地位に上り詰めるのだった。
ある日、そんなバルジャンの前に、彼が服役時代から因縁のある警官の
ジャベール
が着任の挨拶に現れる。そして、今でも執拗にバルジャンを追うジャベールは、マドレーヌが実はバルジャンではないかという疑念を抱く。そんな折、彼の工場で働いていた、娘を抱えて極貧生活にあえぐ
ファンテーヌ
が、些細なことから他の従業員と諍いを起こし、工場長から解雇されてしまう。為す術を失ったファンテーヌは長い髪を切り売りし、歯を抜かれ、挙げ句の果てに体を売るしかなくなる。そして、彼女を無理矢理襲った男に怪我を負わせたファンテーヌは、ジャベールに逮捕される寸前でマドレーヌに救われるのだった。
バルジャンはこれぞ神が彼に与えた使命だと、ファンテーヌと彼女の幼い娘
コゼット
の面倒を見る決意をする。ところが、ファンテーヌは間もなくバルジャンにコゼットを託して帰らぬ人となってしまう。そしてそんな折、マドレーヌの正体を疑っていたジャベールから、バルジャン逮捕の知らせを耳にした彼は、法廷で自分がジャン・バルジャンであると正体を明かしてしまう。再び追われる身となったバルジャンは、幼いコゼットを連れてパリへ逃亡し、そこでコゼットに実の父親以上の愛情を注ぎ込み、コゼットは美しい娘に成長するのだった。
その頃パリでは、フランス革命を再びと下町で革命を志す学生たちが同士を募っていた。そのリーダー格のひとり
マリウス
は、一目見ただけでコゼットに恋してしまう。そして、それはコゼットも同様だった。密かにマリウスに想いを寄せる
エポニーヌ
の気持ちに気づこうとしないマリウスは、信念とコゼットへの想いとの間で揺れながらも、武力蜂起を決意する。そして、バルジャンやコゼットも激動の波に呑まれていくのだった・・・・・。
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たぴおか的コメント
従来のミュージカル映画は、2週間ほど前にスタジオで歌を録音しておき、現場では口パクで歌うのが当たり前らしいが、この作品は実際に演じながら本当に歌うという、常識を覆すような方法で製作されたというのがこの作品の売り。俳優たちはイヤホンから聞こえる音楽に合わせて演じ歌い、後から音楽をアテレコしたのだ。当然ながら、その方がスタジオで歌うよりもはるかに声に感情が表れるというもので、俳優たちの歌唱力がどの程度なのかに興味があった。
歌唱力AAAクラス
・・・・・ヒュー・ジャックマン。ヒュー・ジャックマンの声は元々好きだったが、この作品では彼の圧倒的な声量と息の長さ、そしてまるでオペラ歌手のようなビブラートがかかった美声は、完全に私の予想を凌駕していた。2005年の『オペラ座の怪人』も、ヒュー・ジャックマン演じるファントム・オブ・ジ・オペラでリメイクして欲しいとさえ思う、そんなプロ顔負けの素晴らしい歌にはもうこれ以上はないほど満足。
歌唱力AAクラス
・・・・・アン・ハサウェイ、エディ・レッドメイン。アンの歌もまた素人の域を超えている。そして、あまりにも意外だったのがエディ・レッドメインだ。まさかあれほどの歌唱力を持ち合わせているなんて、悪いけど予想なんてできない。あの顔(失礼!)と細身の体から発せられるバリトンは、声量と声質ともに完全にプロの域に達している。やはり俳優は腹式呼吸でセリフを喋るから、正しく発声していれば自然と歌も上手くなるんだろうね。
歌唱力Aクラス
・・・・・アマンダ・セイフライド、サマンサ・バークス。正直一番心配だったのがアマンダだったのだが、透き通るような彼女のソプラノには聞き惚れてしまった。そして、アマンダよりも一枚上手だったのがサマンサ・バークスで、ちょっとヴァネッサ・ハジェンズを思わせる美形の彼女が、エディ・レッドメイン演じるマリウスへの届かぬ想いを切なく歌い上げるのには、さすがに胸にグッとくるものがあった。
歌唱力Bクラス
・・・・・ラッセル・クロウ。歌は決して下手じゃないし、柔らかな声は聴いていて心地いい。ただ、上記の面々の歌があまりに上手すぎるだけ。というわけで、絶対評価ではなくあくまでこの作品の中での相対評価ということで。
歌唱力はどうでもいいクラス
・・・・・ヘレナ・ボナム=カーター、サシャ・バロン・コーエン。この作品のキャストにサシャ・バロン・コーエンが名を連ねているのを知ったときは、正直我が目を疑ったね。こんなおふざけの要素が介入する余地の無い作品に、彼みたいな男(ゴメンナサイ!)を登場させて大丈夫なのか!?と。役柄を実際に観て、なるほどと納得はできたけどね。
作品のストーリーは多くの人が知るものだから、この作品を観て難解だなどと感じることも無く、それだけに誰もが自分なりの独自の評価ができるだろう。ただ、ミュージカルという形態で、しかも今までのミュージカル映画と違って、ほぼすべてのセリフが歌だから、苦手な方はもしかしたら眠気に襲われるかもしれない。尺も158分とかなり長めだし。個人的には、少女時代のコゼットを演じたイザベル・アレンの可愛らしさには星10個をあげたいが、クライマックスでジャン・バルジャンが神に召されるシーンはもう少し感動的に演出して欲しかったと思う。まぁ、それはあくまで私個人の意見であって、劇場内ではあちこちから鼻をすするのが聞こえてきたから、この作品に涙した女性は少なくなかったようだ。