評     価  

 
       
File No. 1715  
       
製作年 / 公開日   2012年 / 2013年02月16日  
       
製  作  国   ノルウェー  
       
監      督   アレクサンデル・ノダース  
       
上 映 時 間   75分  
       
公開時コピー  
妖しき美女
彼女は人体実験の産物か、
伝説の生物か?
 

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最初に観たメディア  
Theater Television Video
 
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キ ャ ス ト   シリェ・ライノモ [as ターレ]
アーレン・ネルヴォル [as エルビス]
ヨン・シーヴェ・スカルド [as レオ]
 
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あ ら す じ    犯罪現場の清掃の仕事をするレオエルビスはある日、森の中にある一軒家で今までにない凄惨な現場の清掃をすることになった。そして、レオが制止するにもかかわらず家の中をあちこち見て回るエルビスは、地下室の浴槽の中に潜んでいた全裸の若い女性を発見するのだった。
 言葉を発せず怯えた様子の女は、そこに監禁されていたのだ。そして、1台のカセットテープレコーダーには、その家の主人と思われる男の声が録音されていた。テープによると、その女の名はターレというらしい。そして、テープの声に誘われるように冷蔵庫を開けたエルビスは、そこにそこに保管されていたものに驚愕する。
 冷蔵庫にあったのは動物のもののような尻尾で、テープによるとそれはターレから切断されたらしい。ターレは、北欧神話で語り継がれてきた伝説の生き物フルドラなのか?それともこれは人体実験なのか・・・・・?
 
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たぴおか的コメント    “未体験ゾーンの映画たち2013”の1作品。ノルウェーの伝説の妖精“フルドラ(Huldra)”をモチーフにしたホラー作品(私にはホラーだとは思えないが)。フルドラとは、美しい女性の姿をして牛の尾を持つと言われており、美しい歌声で男性を誘惑し、その歌声に誘われて森に向かった者は誰一人として帰ってこなかったということだ。
 北欧ノルウェーで製作されたのこの作品、舞台となるのもノルウェーの森林の奥深くにある一軒家で、北欧独特の重苦しい雰囲気が作品にピッタリだ。そして、エルビスとレオがその一軒家での惨事の後始末をするところから物語は幕を開ける。その惨事がなぜ起きたのか、何者によって起こされたのかはわからないが、その辺りからすでに「早く“しっぽのある美女”を見たい!」という衝動に駆られる。
 正確に言うと、地下室で発見されたのは“しっぽのある美女”ではなく、“しっぽのなくなった美女”だった。その美女ターレを演じるシリェ・ライノモだが、例えば『スピーシーズ』のナターシャ・ヘンストリッジのような典型的な美人タイプではなく、どこか幼さの残る可愛らしいルックスなのがいい。そのルックスの中でも特に際立って印象的なのは大きな目で、人間に対する怯えや敵意といった感情が目の表情だけで伝わってくる。
 いわゆる“彼ら”にそんな特殊能力があるのかは知らないが、レオの肺癌を消したのはターレだろう。惨劇の被害者だった男に軟禁状態にされていても、なおかつ人間を憎むばかりではなく助ける優しさも持っていたわけだ。そんなターレのこれまでの生は、果たして幸せだったのだろうか?そして、男の庇護を失ったターレは、果たして尻尾がなくても生きていけるのか?いわゆる“彼ら”は、明らかに“彼ら”とは違う姿に成長し、しかも尻尾のないターレを仲間として受け入れてくれるのだろうか?そんなことを考えさせられる、ちょっと切ない終わり方が印象的だった。