評     価  

 
       
File No. 1716  
       
製作年 / 公開日   2010年 / 2013年01月19日  
       
製  作  国   カ ナ ダ / イタリア  
       
監      督   リチャード・J・ルイス  
       
上 映 時 間   134分  
       
公開時コピー       

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最初に観たメディア  
Theater Television Video
 
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キ ャ ス ト   ポール・ジアマッティ [as バーニー・パノフスキー]
ダスティン・ホフマン [as イジー・パノフスキー]
ロザムンド・パイク [as ミリアム・グラント=パノフスキー]
ミニー・ドライヴァー [as バーニーの2人目の妻]
ラシェル・ルフェーブル [as クララ・チャノフスキー]
スコット・スピードマン [as ブギー]
ブルース・グリーンウッド [as ブレア]
マーク・アディ [as 刑事]
ソウル・ルビネック [as チャノフスキー(クララの父)]
アトム・エゴヤン
デヴィッド・クローネンバーグ
ジェイク・ホフマン
ドゥニ・アルカン
 
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あ ら す じ    酒とタバコ、そして女をこよなく愛するバーニー・パノフスキーは、風変わりな元警官の父イジー・パノフスキー、そしてジャンキーの親友ブギーらと自由気ままに生きていた。そんなバーニーが最初に結婚したのはクララ・チャノフスキーで、いわゆる出来婚だった。ところが、死産となったその子供の父親があろうことか友人だったことがわかり、バーニーはクララに冷たく当たるようになる。そして、それを苦にしてクララは自殺してしまう。
 次にバーニーは、父から紹介された才媛の資産家令嬢と結婚する。ところが、バーにはあろうことか結婚パーティーの真っ最中に、来客の中の青いドレスの女性に一目惚れしてしまう。その日以来、ニューヨークに住むその女性ミリアム・グラントに毎週欠かさずバラの花を贈り続けるバーニー。妻がブギーと浮気しているのを目の当たりにしたことをきっかけに、ついに妻との離婚にこぎ着けたバーニーは、晴れてミリアムと結婚するのだった。
 それからというもの、バーニーはミリアムとの間に2人の子供にも恵まれ、満たされた生活を送っていた。彼はミリアムに対する思いは少しも色褪せることはなかったが、それが逆にミリアムには重荷に感じられるようになっていく。子供も成長し、再び仕事に戻たミリアムは、仕事仲間のブレアに惹かれていく。そして、つい魔が差したバーニーが他の女性と浮気してしまったことで、幸せだったミリアムとの夫婦生活は終わりを告げるのだった・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    主人公バーニーを演じたポール・ジアマッティがゴールデングローブ賞の主演男優賞を受賞し、アカデミー賞では最優秀メイクアップ賞を獲得している作品・・・・・というのは映画を観終えた後にオフィシャルサイトを見て知ったことで、冒頭に登場したバーニーを演じるポール・ジアマッティが異様に老けていたのを観た時には、「あれ?ポール・ジアマッティって、こんなに歳いってたっけ?」と驚かされたというのが正直な話。一瞬、ダニー・デヴィートかと思っちゃったよ(笑)。
 ポール・ジアマッティとダスティン・ホフマンという2大俳優が共演することしか予備知識はなかったが、まさか息子と父親を演じていたとは、ダスティンも歳をとったものだとしみじみ感じた。ポールが1967年生まれの現在45歳、ダスティンが1937年生まれの75歳(!)だから、親子でも年齢的は何の不思議もないわけだ。ダスティン演じるバーニーの父・イジーが型破りな父親で、「この父にしてこの子あり」と言わんばかりに、バーニーの半生が展開する。
 最初の結婚では妻が友人の子を身ごもった挙げ句に自殺、そして次の結婚が上手くいくかと思いきや、何と結婚パーティの最中に客として訪れていた女性に一目惚れしてしまうとは、その節操のなさにはほとほと呆れ返ってしまう(笑)。まだ結婚生活のスタートラインに立っただけだというのにねぇ。ただ、おそらく彼に言わせれば、パーティに来ていたその女性に“運命の出会い”を感じてしまった、それだけの単純な理屈なのだろう。その女性、ミリアムを演じたロザムンド・パイクが、バーニーが運命の相手だと感じるにふさわしい、魅力的な女性像を作り上げている。そして、自分のために離婚までしてしまったバーニーを受け入れて、ついには結婚までしてしまうのだ。この結婚、2人の娘に言わせれば「ママはもっといい相手と結婚できたのに」らしいが、それはおそらく事実あのだろう。
 「釣った魚に餌をやらない」という言葉があるように、結婚した途端にそれまでの愛情が手のひらを返すように冷めてしまう男性もいる中、バーニーのミリアムに対する愛情は少しも変わることがなかったのだが、皮肉なことにそれがミリアムを縛り付けることになってしまう。ミリアムがそんな夫の束縛を逃れたいと思う気持ちはわかる。だが、そんな一途な愛し方しかできないのがバーニーという男なのだ。ミリアムとの出会いからしても、バーニーは恋愛の駆け引きなどというテクニックを弄することなく、ただストレートに愛情をぶつけてきた、そんな不器用な男なのだ。愛に不器用な男が真摯な愛情を注ぐ、それは端から見れば滑稽に映るかもしれない。喜劇と悲劇は、実は表裏一体なのかもしれない。